腸内フローラ移植臨床研究会 第2回総会が開催されました
昨日10月14日(日)、「腸内フローラ移植臨床研究会 第2回総会」が大阪にて開催されました。
ぴったり8時間スヤスヤと眠りまして、ゆっくり朝ごはんも食べて、ウンコして、
「時間余ったし、化粧でもしよかな」と思ったところ、まともな化粧道具を所持していないことに気が付きました。
普段、ムーミンのTシャツとユニクロのジーパンに頼り切っていると、こういうことになります。
今回の総会は、かなり盛り上がりましたので、ちょこっとだけレポートしますね。
目次
第1部 正会員対象の突っ込んだお話
見て。キリッとしてはるでしょ、みなさん。
ここでは、今年申請した特許のお話、ボランティアドナーバンクのお話、新しい解析方法のお話、今後研究会として腸内フローラ移植をどんなふうに世界に広げていこうかというようなお話がありました。
各大学の顧問の先生方と、臨床医の先生方がお顔を合わせて、基礎研究と臨床研究のあり方を話し合われる貴重な機会でした。
第2部 基礎研究と臨床研究の報告(医療関係者向け)
そう、医療関係者向けだったんです。
にもかかわらず、なんとわたしがトップバッターの発表になってしまいました。
消化器専門外どころか、医師でもなければ、何なら医療関係の資格すらなく、生物と化学の知識は中学生レベル、「DNAって何なん?」って5才児に聞かれたら多分うまく説明できへん、そんなわたしが。
(えーっと、君の鼻のデカさを決める指示書やね)
と言っても始まらないので、とりあえず、
「今日の朝ウンコした人ー!」と冒頭で叫んでみました。
内容はせっかく会費を払って来てくれた人に申し訳ないので、一部だけ要約という形でお話します。
いい腸内フローラとは?
まず、いい腸内フローラってそもそも何ぞやというお話。
善玉2割、日和見7割、悪玉1割とか言われていますが、最近は前に悪玉と分類されていたクロストリジウムたちが有用な働きをすることが次々にわかってきていて、簡単には決められない部分があります。
でも「良し悪し」がまったく存在しないのかというとそうではなくてですね。
世間は、「○○菌が多いとガンにならへん」、「○○菌が少ないとデブる」みたいな考え方をするじゃないですか。
でもそうじゃないんですよ〜、大切なんはバランスなんですよ〜、しかもそれも「その人に合ったバランス」があるんですよ〜。
いや、これマジなんですよ〜というお話をしました。
(このブログ仕様に、フザけた言い方に翻訳し直していると思われるかもしれません。
でも、「実際に」かなりフザけたプレゼンだったかもしれません。ほら、笑うの大事ですし)
前に書いたこのあたりのお話。
ドナーの選び方
ドナーを使い分けているということは、実は結構すごいことなんです。
(昨日は全然すごく聞こえませんでしたよね。すいません。)
なぜって、「ドナーの持つ腸内フローラが、どういう症状に一番効率よく効くかがだいたいわかっている」ということだから。
しかもシンバイオシスでは、ドナーを選ぶ時に腸内フローラバランスだけを見るのではありません。
いちばん大事なのは、「生き方」です。
そういえば、昨日のプレゼンはこのあたりぶっ飛ばしてしまった気がするわ。
なんせ、前で城谷先生とか田中先生とか、ホルム先生とか萬先生がこっちを見つめているもんやから、
そりゃもうドギマギしてしまって目が逸らせなくて、カンペを見る余裕がまったくありませんでした。
前に書いたこのあたりのお話。
腸内フローラ移植菌液はどうやって決める? 検査結果より大事なこと。
マウス実験の中間報告
これまで研究会では、「患者さんの治療費で実験するのは忍びない」という理由で、あまり実験を積極的にできませんでした。(ドナー検査はしまくってた)
でも、今後より学術的な研究を進めるなら、ここらで実験は必要ですよということになり、マウス実験を進めています。
マウス実験のことをいろいろ調べてみて思ったのは、「ヒトの腸内細菌をマウスに移植しても、単純に人に近づくわけではないな」ということ。
異種間の移植で、結構思いもよらない反応がいろいろ出てきました。
この部分だけ、ちょっと真面目にプレゼンしました。(いつも不真面目なんで、この部分恥ずかしかったわあ)
このあとも、宿主の状態によって身体に負担の少ない腸内フローラが備わるんやみたいな話もしましたが、このへんはニュアンスが伝わりにくいかもしれないんで、
クラウドファンディングで検査を申し込んでいただくか(ドリルもらえるんで)、
来月の日本先制医療臨床医学会でも発表するんで、こちらに来ていただければうれしいです。
わたしは今のところ、来月は参加なしの予定なんですが……
同じ話の流れを2回発表するのイヤなタイプなんで、また新しいネタ考えなあかんやんっていう。
しかも東京って、スベりそうやし…(失礼やな)
症例報告(過敏性腸症候群、アトピー、うつ)
それから、かわい内科クリニック川井先生、はるなクリニック春名先生、ルークス芦屋クリニック城谷先生による症例報告。
もうね、やっぱり症例報告はインパクトありますよね。
見て、城谷先生のスライドの本格的感。
自分が今しがた、「ドナーはね、フローラバランスがイケメンなんです!」ってドヤ顔で二次元の男前を羅列したことを激しく後悔しました。
第3部 基調講演とパネルディスカッション
第3部では、今年から代表理事に就任してくださった田中善先生から研究会の設立経緯をお話いただきました。
田中先生のファンめっちゃ多いし、「よしむを囲む会」とかにしたら、かなり集客力上がると思うわ。
ちょっと趣旨変わってまうけど。(だいぶ変わってまうわ)
それから、京都府立医大の内藤裕二先生による基調講演。
圧巻のデータ力。うらやましい。
面白い内容でした。
最後に、シンバイオシスが密かに敬愛する喜多村クリニックの喜多村先生と、和久医院の和久先生がお話してくださいました。
喜多村先生は、自閉症の女の子の移植事例を、ご両親の言葉を借りながら率直なお言葉で報告してくださり、
和久先生は、ご自身の長年の下痢が移植で止まり、「オオサンショウウオのような」便が翌日出たといううれしい報告でした。
大切に、大切に、苦しんでいる患者さんのもとへ一刻も早く、安全でより確実な腸内フローラ移植を届けるために精進します!
この記事を書いた人

- 研究員(菌作家)
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自分の目で見えて、自分の手で触れられるものしか信じてきませんでした。
でも、目には見えないほど小さな微生物たちがこの世界には存在していて、彼らがわたしたちの毎日を守ってくれているのだと知りました。
いくつになっても世界は謎で満ちていて、ふたを開けると次は何が出てくるんだろう、とわくわくしながら暮らしています。
個人ブログ→千のえんぴつ
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《特許出願中》
腸内フローラ移植
腸内フローラを整える有効な方法として「腸内フローラ移植(便移植、FMT)」が注目されています。
シンバイオシス研究所では、独自の移植菌液を開発し、移植の奏効率を高めることを目指しています。(特許出願中)