第36回 日本DDS学会「DDSが創る未来の医療モダリティ」出展レポート&そもそもDDSって何。
DDSという創薬分野の言葉をご存知でしょうか。
私は恥ずかしながら、最近まで存じ上げませんでした。

腸内フローラ移植でウルトラファインバブル(UFB)を使っているのは、菌たちを腸へ確実にお届けするためなんです〜って話をしたとき、弊社顧問の塚本先生が「それはDDSなんだよ!」と、もはや剣幕に近いレベルで語ってくださったのをよく覚えています。
KFCにしろ(ケンタッキーフライドチキン)、
TDLにしろ(東京ディズニーランド)、
AKBにしろ(なんの略やったっけ、アキバハラ?)、
なんでもかんでもアルファベット3文字にされがちですよね。
アルファベットが26個あるから、ダブリを除外しても単純計算で26の3乗通りあるわけやな。
話を戻すと、DDSは正式にはドラッグ・デリバリー・システム(薬物送達システム)と呼ぶそうです。
その名のとおり「お薬をお届けする仕組み」に特化した学問と言えそうです。
なるほど、菌たちをお薬とするならば、たしかにUFBを使った腸内フローラ移植はDDSってことになるな。
目次
DDSとはいったい何なのか

体内での薬物分布を制御することで、薬物の効果を最大限に高め、副作用を最小限に抑えることを目的とした技術。
それがDDSの定義です。
病気に効きそうな物質を発見したり、作ったりすることができても、それだけではお薬として十分とは言えません。
例えばハゲ薬やと思って飲んだら、ワキ毛ぼーぼーなったらめっちゃクレームになると思わへん?
食べても食べても太らへんけど、鼻の穴が直径3cmになることを避けられない副作用がある薬とか、絶対需要ないやん。
不眠に劇的に効くねんけど、2分毎に服用せなあかんから、睡眠不足になる本末転倒薬とか。
こんなふうに、薬っていうのはその成分や効能だけじゃなくて、
「どこで効いて」「どのように作用して」「どのくらい持続するのか」ってことが重要なわけです。
狙った患部でだけ効くようにするとか、
効いたあとはすぐに代謝されるようにして副作用を減らすとか、
溶けやすいコーティングと溶けにくいコーティングを合わせることで、長く緩やかに効くとか。
DDSについてまだ調べ始めたばっかりのわたしでも、この概念がいかに重要かってのがわかるわ。
Amazonとヤマト運輸を足して二乗したくらいすごい。
今の創薬の流れはDDSの存在を大前提としている

むかしむかし。
まだ人間にとって「何が良い物質か」がわからんかった時代。
薬の開発というのはすなわち、体に良さげな薬草なりなんなりを探すとか、ペニシリンとか、
そんなふうに「病気に効く物質を探す」ということとほぼ同義でした。
それから時代はくだり、1980年代ごろからは低分子医薬品と呼ばれる人工的な有機化合物が創薬の主流になりました。
虫眼鏡を携えて目を凝らしていた時代から、クモの巣みたいなマークの化学的な人工的操作に突入したわけです。
そして今。
創薬の世界は再び大きな転換点を迎えています。(たぶん。そんな気がする。そんな空気感を感じる)
詳しくは「バイオ医薬品」「中分子医薬品」「ペプチド」「抗体・タンパク質」「核酸」「リボソーム」あたりで調べるとよさそうなんですが、すみません、もう少し勉強しないと、みなさんにうまくお伝えできそうにないんで今日は勘弁してください。
なにが伝えたいかと言うと、これらの新しい創薬には、DDSの概念がデフォルトで組み込まれているということ。
体に送り込む物質そのものも大事なんですが、それを「どのように活躍させるか教育する」学問って感じ。
理系科目はセンター試験で物理を受けただけなんですが、なんか創薬の世界って、
「生物」→「化学」→「物理」
という遷移を遂げている感じがしますね。
思いっきり創薬畑の塚本顧問はこんなふうに考えられているようです。

私の想いは今は生理活性物質の探索も然ることながら、既知の沢山知られている生理活性物質のDDS化研究に注力するのが、創薬確率は高くなり国策にしてもと思うくらいです。
日本DDS学会に出展しました
前置きが長くなりましたが、DDSとはなんぞやというのを何とか入り口だけでも理解できたところで(あんたの理解のために何時間費やしてるんや)、
シンバイオシス研究所が日本DDS学会に出展させていただいた話をします。
武田教授率いる神戸学院大学薬学部薬物送達システム学研究室と、ウルトラファインバブル(UFB)がDDSの役に立てないか、共同研究をさせていただいています。
シンバイオシスからは、清水と森下が研究員として参加しています。
研究室のウェブサイトにも載せていただいているようで、感激。

2020年8月28日と29日、武田教授が大会長を務められた第36回 日本DDS学会に出展企業として参加しました!
快晴 UFB試飲コーナー オンライン発表
コロナ対策も万全で、シンバイオシスからは「研究を瞬かせる次世代新素材 ウルトラファインバブル(UFB)」と題して、二日間のオンライン発表を行いました。
森下研究員と清水研究員は、学会の他の演題も聴講し、とても有意義な時間となりました。
創薬と病気はいたちごっこであるという印象があります。
薬の技術がすすむと、新しい病気や新型ウイルス、耐性菌が出現する。
それはたぶん、これまでの研究が(決して否定する気はないのですが)、
「菌・ウイルスを殺す、病気と闘う」という考え方で行われてきたからである気がします。
ウルトラファインバブル(UFB)技術が、これからの医療に新しい風を吹かせられますように。
そうそう、神戸学院大学と共同研究中のDDS×UFBに関しては、9月21日の腸内フローラ移植臨床研究会の学術大会で詳しく発表予定です。
こちらもオンライン参加でも会場参加でもOKなので、ぜひみなさん聞きにいらしてください。
この記事を書いた人

- 研究員・広報(菌作家)
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自分の目で見えて、自分の手で触れられるものしか信じてきませんでした。
でも、目には見えないほど小さな微生物たちがこの世界には存在していて、彼らがわたしたちの毎日を守ってくれているのだと知りました。
目に見えないものたちの力を感じる日々です。
いくつになっても世界は謎で満ちていて、ふたを開けると次は何が出てくるんだろう、とわくわくしながら暮らしています。
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《特許出願中》
腸内フローラ移植
腸内フローラを整える有効な方法として「腸内フローラ移植(便移植、FMT)」が注目されています。
シンバイオシス研究所では、独自の移植菌液を開発し、移植の奏効率を高めることを目指しています。(特許出願中)