生のものと火を通したもの

ゆでる以外の調理はしないウィリアです。

皆さん、食事は好きでしょうか?

僕は、あまり好きじゃなかったです。

自分が食べるって行為自体が、なんだか汚い欲求のような感じがしていて、嫌いでした。
人に食べているところを見られるのも嫌いでした。

でも、潰瘍性大腸炎になって、食べものが好きに食べられなくなると、無性に食への欲求が高まりました。 

肉とか野菜とか、触るのも嫌いだったんですけど、今は食べられるだけで、すごい幸せなんです。

難しい料理はできないので、野菜とか肉を買ってきてゆでて塩をつけて食べるだけなのですが、めちゃくちゃ美味しいんです。

何も考えずに、何でも食べられるって、すごい幸せなことだったんだな~って、今は思います。

Twitterでは、美味しい料理の画像をあげてくれる人が多いので、癒されます。
ありがとうございますm(_ _)m関係ない話しをしてしまいました。

今回は火の使用、調理方法が腸内フローラに与える影響を書きたいと思います。

論文紹介

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6886678/

カリフォルニア大学とハーバード大学の共同研究で発表された論文です。

内容は、

「調理された食べ物」が人間とマウスの腸内フローラを根本的に変えてしまうことが初めて確認された。

というものです。

意外だったのですが、調理方法による腸内フローラへの影響って、ほとんど調べられてないんです。

考えてみれば「調理」ってすごい大事なんですよね。

火を使う調理をするのは人だけなので、これを実験するときに考えないと、論文でも重要なことを見落としてしまうと思うんです。

小規模(男性3名、女性5名)なのですがハーバード大学の学生にお願いして、人でも実験しています。
参加者は非喫煙者で、胃腸疾患の既往歴、食事成分に対するアレルギー歴、登録後60日以内の抗生物質の使用歴はなし。
各参加者は3日間の食事の介入を2回行い、生の食品を、そのあと1ヶ月の間隔をおいて、加熱した食品を摂取してもらったようです。

マウスには、

サツマイモ
じゃがいも
とうもろこし
エンドウ豆
ニンジン
ビーツ

生と火を通したものを、それぞれ与えたようです。

人には、プロのシェフに依頼して、栄養学的に適切な植物由来(ヴィーガン、オーガニック、グルテンフリー)の食事とおやつ(ナッツ)を、生のものと、火を通した調理食のみで提供できるメニューを考案してもらったようです(コーヒーと紅茶も1日1杯許されている)

マウスは何を食べているかがわかるのですが、人のは、スムージーと書いてあったり、何を食べているかが、わかりませんでした…(ですが、人でも明らかな腸内細菌叢の変化があったようです)

人の方は規模も小さいので、まだマウス実験の段階の情報と考えてもらった方がいいと思います。

火を通して何が変わるか?

肉も生か火を通したものを食べる実験をしたのですが、肉はどちらにしても、腸内細菌叢には大きな影響がなかったので省略させてもらいます。

大きな影響があったのは「植物」なんです。

生の植物、火を通した植物を食べると、大きく2つのことが変わるようです。

1つめは、火を通した植物を食べると、人やマウスはカロリーを吸収しやすくなり、細菌の取り分が少なくなるということ。

これはデンプンをゼラチン化することで炭水化物の小腸での消化率を高め、最も多くの微生物が存在する大腸に到達する量を減少させ、腸内細菌の発酵能力に影響を与えているからと考えられます。

2つめは、生の植物には抗菌作用がある物質を含むことがあり、これが細菌に直接ダメージを与える場合があることです。

この抗菌作用がある物質は4-ヒドロキシ桂皮酸、フェルレート、バニリン酸などが火を通すことで有意に減少したようなので、これらと、その他の物質が協調して腸内細菌の生理機能に影響を与えている可能性が考えられます。

重要なのは腸内細菌の変化は炭水化物代謝によって引き起こされるのではなく、

「植物に含まれる化学物質によって引き起こされている」

ということなんです。

感想

でも書いたのですが、人が植物や動物、いろいろなものを食べれる「雑食」ができているのは、腸内細菌に助けてもらっている部分が大きいのですが、「調理」をすることにより、さらに人は食べられるものを増やしていったのではないかと思います。

うした植物の化学物質はアルカロイド、ポリフェノール、フィトケミカルと呼ばれていたりして、人間の身体の機能では分解できないものが多く、ほとんどが分解されずに大腸まで到達して腸内細菌が酵素を使ったりして分解することにより、人の健康に良い効果を出してくれています。

もし、慢性疾患になってしまっていたら、

「植物」

との関わりを考えた方がいいかもしれません。

植物は、毒にも薬にもなります。

健康な人であれば、腸内フローラが多少崩れても元に戻るのですが、長期間の食習慣の乱れ、ストレス、薬(抗生物質など)で崩れた状態が続くと元に戻らなくなり、食べたもので不調になりやすくなり、慢性疾患になってしまうのではないかと僕は考えています。

親から子へ腸内フローラが受け継がれることもわかってきているので、崩れた腸内フローラを受け継いで、これから産まれてくる子どもたちは、食べたもので不調に、感染症や慢性疾患になりやすくなってしまうかもしれません。

それを防ぎたくて、失われていく腸内フローラを回復できるように、僕は腸内フローラ移植を普及させたいと思っています。

余談なのですが、人は何万年と火を使ってきたので、火を通した炭水化物を分解する酵素を使えるように、微生物と共進化してきたということも、最近わかってきたようです。

https://www.a.u-tokyo.ac.jp/topics/topics_20211025-1.html

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

この記事を書いた人

ウィリア
ウィリアライター
小学生の理科の授業の時に食物連鎖の図を見て、分解者になりたかったです。
その夢が叶ってか、菌のことを書くライターになれました。
菌に救われた身として、菌と人の世界を繋ぐような文章を書きたいです。
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