1982年から続けてきた微生物の基礎研究や医療機関における臨床を経て、独自の腸内フローラ移植(便移植)方法を開発しました。微生物たちとの共存共栄には、無限の可能性があると信じています。
シンバイオシス研究所 -微生物との共存共栄-
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腸内フローラバランスは、生まれつき決まっているのか

腸内フローラ十人十色

人生って不公平ですよね。(突然どうされたんでしょうか)

わたしの敬愛する村上春樹氏も、こう語っています。

人生は基本的に不公平なものである。それは間違いのないところだ。

だって、まず顔の問題があるやん。
別にイケメンが得ばっかりするわけでもないと思うけど、それでも。

ほんでお金の問題とか、親がええ人かどうかとか、体力あるタイプかとか、誕生日がクリスマスにまとめられてしまうとか、なぜかいつも目の前で人気商品が売り切れるとか、好きになった人がたまたま火星に帰らなあかん人やったとか、体臭の問題とか(耳くそウェットな人は体臭するらしい。あ、わたしやわ)。

数えだすとキリがない。
でも、村上春樹氏はこう続けます。

しかしたとえ不公平な場所にあっても、そこにある種の「公正さ」を希求することは可能であると思う。走ることについて語るときに僕の語ること

要は「まあ、ものは捉えようやで」ってことですね。(一気に文章的価値下がった)

やっぱり村上さん、ええこと言う。
もう今回はこれで記事終わってもいいんじゃないですかね。

あかん? やっぱり? 腸内フローラバランスの話、まだまったくしてないですもんね。

今回は、横道に逸れるのではなく、最初から横道スタートの記事にしてみました。(どこで新しい試みしてるねん)

腸内細菌にかかわる不公平さで言うと、「何食べても太らへん」とか、「何もケアしてないのに肌がきれい」とか、そういうことになります。
努力によって勝ち得た腸内細菌の恩恵ならわかるけど、それが生まれつきやとしたら、神様ってイジワル。

というわけで、我々の健康を左右する腸内細菌のバランスも、生まれつき決まってるんですかね、そうやとしたら、人生って隅から隅まで不公平ですよねって話をします。(えらいネガティブ。なんか嫌なことでもあったん?)

赤ちゃんが腸内細菌を獲得するタイミング

赤ちゃんの腸内フローラ

我々、はじまりは無なわけです。(哲学的!)

卵子と精子が出会って受精卵になって、それが胎児と胎盤(ざっくり言うと胎児の栄養)になるじゃないですか。

それでまず腸管ができて(いいですかみなさん、我々、腸管からできるんです。)、身体っぽくなっていきます。
男の子か女の子かわりと早めにわかるし、下半身からできていくんですかね。そのへんわかりませんけど。

で、もう間もなく産まれるやんってとき、お母さんのお腹がめっちゃおっきくなってるとき、赤ちゃんはもう腸内細菌を獲得しているんでしょうか?

どうします? クイズ形式にしますか?(めんどくさいな)

じゃあ答えを言いますけど、お母さんの胎内にいるとき、赤ちゃんは無菌状態なんです。
無菌です、無菌。
外科手術をするオペ室でも、1平方メートルに1,000個ぐらいは菌いるのに、無菌ですよ。
お母さんの身体って、すごいです。ほんと。

じゃあどのタイミングで腸内細菌たちが腸に住み着き始めてくれるかというと、「産道」がポイントなんです。

いざ生まれるというとき、産道を通りながら細菌が口や鼻から赤ちゃんの体内に入っていきます。
大半は胃酸で死んでしまいますが、生き残ったわずかな菌たちが腸で繁殖し、赤ちゃんの腸内で細菌たちが働き始めてくれます。

生まれたての赤ちゃんって、粘液的なものに覆われて見た目汚いですよね。(ごめんなさい)
すぐにあたたかいお湯で洗って清潔なタオルでくるんでもらえますが、腸内細菌獲得という意味合いにおいては、あれってあんまり洗い流さないほうがいいんかもしれへん。

でも、もしわたしが自我のあるタイプの赤ちゃんやったとしたら、すぐさま洗い流してほしいですけどね!!!
ほっといたら、ただでさえデリケートなお肌がカッピカピになりそうやし。

ちなみに、コアラの赤ちゃんはお母さんのうんちを食べることで腸内細菌を受け継いでいるという興味深い事実もあります。
生物たちの実によくできた本能の働きに感動を覚えるほどです。

帝王切開の場合の腸内細菌

帝王切開

では、産道を通らずに帝王切開で生まれた赤ちゃんには腸内細菌がまったくいないのでしょうか。

ご安心ください、そんなことはありません。
生後の成長過程でご両親のキスの洗礼を受けたり、床やおもちゃを舐めたりする中で、赤ちゃんは腸内細菌を獲得していきます。
うちの父は虫歯だらけでしたが、かまわずキスされてたらしい。
しかも、彼の咀嚼したものを食べさせられてたらしい。知りたくなかった。

そういうあれこれの中で、ちゃんと赤ちゃんの腸には腸内細菌たちが住み着いていきます。

ただし、帝王切開で生まれた赤ちゃんは自然分娩で生まれた赤ちゃんとは大きく違う腸内フローラバランスになることが知られています。この違いが、赤ちゃんのその後の免疫機能や脳の発達に影響している可能性があるとされ、世界で研究が進められています。

腸内フローラバランスが決まる時期

腸内フローラ年齢

誕生直後の赤ちゃんは、初めての呼吸、初めての光景、初めて尽くしで大忙しです。
その感動たるや、相当なものやと思う。
一切記憶がないのが、惜しいくらい。(君の場合は、5分前の会話忘れてるけどね)

それは腸内細菌たちも同じようで、様々な菌が増えたり減ったりを繰り返します。
それが生後3日目あたりからビフィズス菌が増殖し始め、生後6ヶ月頃にはビフィズス菌が腸内細菌の9割を占めるまでになります。

その後、離乳食が始まると再び劇的なフローラバランス変化が起こり、最終的にビフィズス菌は腸内細菌の1〜2割ほどに落ち着きます。

ビフィズス菌の割合が減って、その代わりに免疫力を司るクロストリジウム属の菌や、身体を運営していく上で重要な構成物をたくさん出してくれるバクテロイデス属の菌が割合を増やしてくれます。

守ってもらってばかりの存在から、世間の荒波に自分の力で対応できるようになっていく人生の過程と似ていますね。
腸内細菌のありようって、ほんまに人生そのものに似ているわ、と思う今日この頃。

そういうふうにして、だいたい1歳から2歳くらいまでには、「その後の人生をどんな腸内フローラバランスで過ごすか」というのがほぼ決まってしまいます。

おまけ 腸内フローラバランスを後天的に変化させる要因

フローラバランス

1〜2歳で腸内フローラバランスがおおよそ決まると申し上げました。
そしたら、その時期にうまいこと腸内フローラが形成できなかった場合は、もう諦めるしかないってこと?
逆に、いい腸内細菌を獲得できていたら、その後の人生は安泰ってこと?

そんなん、完全に運やん。
1歳になるかならんかの子に、いったいどんな種類の自助努力や自制心、向上心を求めろというのか。

ただ、ある程度は日頃の生活習慣などで変化を受けるようです。年齢でも変化するらしい。
やっぱりここに戻ってくるんですが、食生活や睡眠、適度な運動が一番です。

流行りの糖質制限やファスティング、サプリメントとかも悪くはないんですが、そんな不思議なことをする必要は特になくて、身体の声を聞きながら普通に暮らす。

わたし、こういう「金のかからん健康」的なのが好きなんです。高度資本主義社会とは一線を画するものとしての、健康。
睡眠とって、ヨガしたりウォーキングしたり、食べたいものを「おいしすぎ、たまらん」と思いながら食べる。

そうすると、だんだん味覚も思考も研ぎ澄まされてきます。
ちょっと疲れてるなとか、今自分これ食べたいなとか、身体によどみが溜まってるなとか、そういうのがわかるようになってくる。
大きな病気をする前に、日常の微妙な変化に気づいて、軌道修正ができるようになっていく気がします。

こういう生活を心掛けることで、「ある程度は」腸内フローラを後天的に元気にすることができます。
持って生まれて、幼児期におおよそ決まってしまっているのなら、あとは与えられた環境でベストを尽くすしかないじゃないですか。(ええこと言うた?)

ただ、とくにフローラバランスが悪くなる方向へは、後天的な影響が大きいとのこと。
ほんま人生って……(もうええわ)

生活習慣もなんですが、一番あかんのはストレス。
ほら、またストレスやわ。
自分でどうにもコントロールできないストレスって、現代社会には掃いて捨てるほどあります。

せめて生活習慣を整えることで避けられるストレスは避けましょう。

まあ、腸内フローラ移植がやっぱり近道ですけどね。(結局それかい、ですね。すみません。)

お後がよろしいようで。

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Comments (2)
  1. える より:

    睡眠時間や食生活って意識しないとなぁなぁになってしまうので気をつけたいと思いました。
    ちひろさんに質問ですが、腸の長さは背の高い人も低い人も同じですか?
    背の高い人の方が腸が長くて腸内細菌もたくさんいるのかな、と思ったので。

    1. ちひろ より:

      えるさん
      いつもコメントありがとうございます。
      たしかに、わたしも食生活や睡眠に関しては、最近は人にエラそうなことを言えなくなってきました…
      でもそういうことこそ大事ですよね。
      腸の長さは、身長によって違っているようです。
      腸内細菌の数はどうなのかな…研究が待たれます。

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