1982年から続けてきた微生物の基礎研究や医療機関における臨床を経て、独自の腸内フローラ移植(便移植)方法を開発しました。微生物たちとの共存共栄には、無限の可能性があると信じています。
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自然免疫でパトロールして、獲得免疫でいざ出陣【腸と免疫シリーズ4】

免疫システム

微妙に風邪です。
免疫力はめちゃくちゃあるほうなんで、いつも風邪は引きかけで終わります。

その「引きかけ」状態が何週間か続いてる。
免疫力が下がってるんかもしれん。

でも中途半端にベースがいいせいで(お母さん丈夫に産んでくれてありがとう)、寝込むことはまずない。
食欲もまったく落ちない。むしろ「しっかり食べて早く治そう!」という謎の使命感が発生する。
仕事もまあ、できる。

あれやな、「顔の濡れたアンパンマン」みたいな感じ。
強いねんけど、顔は濡れてます状態。力が出ないよ〜状態。

というわけで、わたしの身体の中でいま頑張ってくれている免疫細胞たちに思いを馳せながらお送りします。

前回の記事では、わたしたちの身体を外敵から守ってくれる仕組みとして、4つのバリア・免疫を紹介しました。

今日はそのうち、「自然免疫」と「獲得免疫」にスポットライトをあてて、その中で頑張ってくれている免疫細胞たちの紹介を交えながらすすめていきたいと思います。

前回は、自然免疫=「マニュアル最高!マクドの店員」パターンと、獲得免疫=「常連さんの好みばっちり把握」パターンの、なんともふわっとした書き方で誤魔化しましたが、今日はもうまな板の上の鯉になった気持ちで、皆さんにさばいていただこうと思います。
お腹の柔らかいところは痛いから、優しくしてね。(何の話や)

覚えてらっしゃいますでしょうか。
この免疫シリーズの2つめの記事、免疫とはなんぞやというところでこんな話をしたのを。

わたしが『塔の上のラプンツェル』やとします。

歩兵や鉄砲部隊、監視塔、右大臣と左大臣、深い外堀、お城までの入り組んだ道、強固な鉄の扉。
ラプンツェルであるわたしを敵の侵入から守るために、これらの様々な要素が絡み合います。免疫の異常と疾患のものすごく深い関係【腸と免疫シリーズ2】

ここでいう「深い外堀、お城までの入り組んだ道、強固な鉄の扉」にあたるのが、前回の記事で言うところの「物理的・化学的・微生物学的バリア」です。

そして、歩兵とか監視塔とか大臣とかの実際に守ってくれる人たちが、免疫細胞たちというわけです。(正確には「免疫担当細胞」)
免疫担当細胞=白血球という見方をしてもらって、だいたいいいと思います。

日々の平和を守るパトロール部隊「自然免疫」

自然免疫

いくらかわいいお姫様がいると言っても、国が年がら年中、敵に攻め込まれているわけではありません。(ごめんやけど、27歳独身やから、このぐらいの妄想許してや)

なので、毎日大勢の歩兵・鉄砲部隊を国中に配置して出動体制を整えてなくてもいいわけです。
そんなんしたら、国民も萎縮してしまうし、税金もムダづいかいやしな。

というわけで、パトロール部隊が編成されます。
彼らに求められるのは、こんな役割。

  1. 敵をいち早く察知すること
  2. しょぼい敵ならその場でやっつけること
  3. ヤバい敵なら、とりあえずコショウで目潰しぐらいしておくこと
  4. 右大臣と左大臣に報告して、歩兵と鉄砲部隊を出動させてもらうこと

パトロール部隊は、常に外回りをしながら敵がいないか目を光らせています。
実はこの国には合言葉があって、ちょっと怪しいかもと思うやいなや、パトロール部隊は合言葉を相手に求めます。

パ「邪魔すんでぇー」

正しい返答「邪魔すんねやったら帰ってー」

パ「あいよー、、、、ってなんでやねん!!」

これ新喜劇見たことない人は全然わからんと思うんで、よかったらこの動画見てください。

この合言葉が言われへんかったら、敵とみなされますので。

ちなみにこの合言葉、「パターン認識受容体」という名前で、免疫担当細胞たちが病原体を感知するための嗅覚みたいな役割を果たしています。

パターン認識受容体にもいろいろ種類があって、「スカベンジャー受容体」、「Toll様受容体」、「NOD様受容体」などなどあります。
病原体を感知した後に、しょぼいからここで処理しちゃおうとか、これは上に報告せなあかんなとか、そういう判断を下したりもします。

この辺の名前、たぶん試験には出ますけど、別に覚えなくていいと思います。
ざっくり、イメージだけつかめれば。
日本の試験って、ほんまムダに名前だけ覚えさせてきますからね。

さて、では遅ればせながら、パトロール部隊メンバーの紹介といきましょうか。

好中球
白血球の50〜60%を占める、メジャーな子たち。
病原体が入ってくると、まず最初にこの子たちが現場に到着します。
そして細菌や真菌などの病原体に覆いかぶさって、あわよくば殺す。
樹状細胞
敵の顔写真を撮ったり、持ってる武器や人数なんかを、T細胞(お城の内部の人)に報告。
ついでに敵の服を脱がせたりもする。情報取りながら、陰ながら応戦もする子。
単球・マクロファージ
好中球が覆いかぶさっている病原体に追い打ちをかけるようにのしかかる、お相撲さん免疫細胞。
死んだ細菌だけじゃなくて、いらんようになった細胞を食べて処理してくれる。
なにせ声がデカイので、樹状細胞が伝達してくれるのに並行して、その声だけでT細胞(お城の内部の人)にお知らせもできる。
好酸球・好塩基球
数は多くないものの、寄生虫などの感染にはこの子たちが活躍します。
ナチュラルキラー(NK)細胞
残念ながら、国民の中には自国の情報を漏らしたり、うまく相手の口車に乗せられて自国を攻撃しようとする人間も現れるかもしれません。
ナチュラルキラー(NK)細胞は、そんな「昨日の友は今日の敵」(がん細胞、ウイルス感染細胞)を見つけ出して、冷酷なまでの殺傷能力で消し去ります。

※今回、マスト細胞の説明は割愛します。

このように、パトロール部隊は病原体にいち早く対応できるチームです。
ただ、あんまり記憶力がよろしくないので、以前出会ったことのある敵であっても、相手の弱みとかパターンとか一切考慮せずに、同じように対処する。

ちなみに、パトロール部隊には「抗菌ペプチド」、「リゾチーム」、「レクチン」、「補体」などといった抗菌分子が含まれることもあります。
この子たちは病原体を直接攻撃して、穴を開けたり溶かしたりすることができます。
そして、「ここに悪いヤツいてる!!」と、先述のマクロファージたちに教えてくれる働きもあります。

ただこのへんの話をすると収集がつかなくなるので、やめときましょう。
ね、やめときましょうね。(これ以上突っ込まないでくださいという意味です)

相手の特徴を記憶し、戦略的に相手を倒す「獲得免疫」

獲得免疫

しょぼい敵でもヤバイ敵でも、毎度毎度パトロール部隊だけが対応していると、効率が悪いわけです。
「うわ、誰やこれ! どんな武器持ってんねやろ。どんな技持ってんねやろ。何を企んでんねやろ」と、勘ぐりながら攻撃せなあかんわけです。

そこで発達したのが、「獲得免疫」です。
獲得免疫は、「一度遭遇した敵は二度と忘れない」という素晴らしい機能を備えています。

はじめて敵に遭遇した時は、樹状細胞たちがあらゆる情報をかき集めて、獲得免疫チームに伝えます。
初回だけは、その敵のことを何も知らないままに戦略を練るわけですから、自然免疫チームが頑張っているあいだに3日くらいかけて戦略を練ります。
けれど、獲得免疫チームがいったんその敵への対応方法を覚えると、次回からは自然免疫チームが写真を撮って送ってくるだけで、すぐに適切な対応ができます。

大勢の歩兵で向かうのが効率的か?
それとも鉄砲部隊でピンポイントに狙うべきか?
あるいは相手は知能派だから、話し合いで解決するのがいいのか?

この獲得免疫チームの働き次第で、同じ病原体が入ってきたときに、感染までいかないまま病原体が排除されたり、感染しても軽度で済んだりします。

それでは、獲得免疫チームの紹介に移ります。
ちなみに、獲得免疫チームに所属する白血球は、「リンパ球」と呼ばれます。

ヘルパーT細胞
自然免疫チーム、獲得免疫チーム両方の司令塔。
右大臣と左大臣が合わさったような、この国のブレイン。
樹状細胞たちからの情報をもとに、自然免疫チーム、獲得免疫チームを適切に人員配置し、外敵を確実に、かつ効率的に処理します。
細胞傷害性T細胞(キラーT細胞)
主にヘルパーT細胞の指示を受けて、病原体に感染した、もしくは損傷した細胞を殺します。その時に、民家を壊してしまうこともあるやろうし、この中にはかつて自分たちの味方やった人たちも含まれているかもしれないわけやけれど、それはやむを得ん。殴ったり刺したり、わりと直接的な攻撃が特徴。
B細胞と抗体
B細胞は、抗体と呼ばれる武器を持っていることが特徴です。矢、鉄砲、火炎放射器、足を絡め取るネバネバの物体、コケやすくなるビー玉、めっちゃ不快な音を出す機械など。(後半、攻撃力下がっていない?)
敵に応じて、適切な武器でどんどん攻撃します。

自然免疫と獲得免疫の連携プレイが鍵

免疫担当細胞

獲得免疫は脊椎動物にしか備わっていない高度な免疫システムです。
自然免疫がまずお知らせして、獲得免疫が発動するまで繋いでくれる。
そしていざ、獲得免疫が本格的に敵に対処する。

こんなふうにして、わたしたちは多様性に満ちたこの世界において、「個」をうまく守ってこられたんですねえ。

次回は、獲得免疫についてさらに掘り下げてみたいと思います。
ほんまは掘り下げたくないねんけど(おい)、B細胞の出す抗体(特にIgA)とか、T細胞の働きすぎをなだめるTregとかは、このシリーズの本題である腸管免疫にめちゃくちゃかかわってくるもんで。。。

もう少しだけ、お付き合いくださいませ。

せっかく自分を『塔の上のラプンツェル』に見立てて話を進めてるのに、一切登場できへんわ。
お姫様はあんまり放置されるとスネるので、今から白ワインでも飲みます。

風邪は、アルコール消毒するねん。(免疫システムが泣くで)

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男子のケンカ(細胞性免疫)と女子のケンカ(液性免疫)【腸と免疫シリーズ5】

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