1982年から続けてきた微生物の基礎研究や医療機関における臨床を経て、独自の腸内フローラ移植(便移植)方法を開発しました。微生物たちとの共存共栄には、無限の可能性があると信じています。
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獲得免疫はアップデートできる?なぜ他人の腸内フローラが定着するのか。【腸と免疫シリーズ11】

獲得免疫

生まれつき丈夫な人と、生まれつき病気がちな人が存在します。
ありがたいことに、わたしは完全に前者。

やや免疫過敏なところがあり、幼少期はアトピー、スウェーデンではなぜか9ヶ月ほど激しい下痢に見舞われるなどのハプニングもありましたが、
順調にすくすく育ち、28歳です。

わたしの免疫力は、生まれつき決まっていたのでしょうか?
それとも、胸腺が免疫の教育を終える、17〜8歳頃に決まったのか?
あるいは、今も変化し続けているのか?

腸内フローラバランスが生まれつき決まっているかどうかに関しては、前にこんな記事を書きました。

腸内フローラバランスは、生まれつき決まっているのか

免疫力が落ちるとは? 自然免疫と獲得免疫

免疫力落ちる

「免疫力が落ちる」という表現を、よく耳にしますよね。

実は、免疫力は一度獲得してしまえば一生変わらない、というのが今の免疫業界の常識です。(免疫業界ってあるんや)

じゃあ、
「年取ったら免疫力が落ちる〜」とか、
「体温が下がると、免疫力の働きが30%ダウンする」とか、
「免疫力が落ちると癌になる」とかいうのは、いったいどういうことなんでしょう。

それは、自然免疫と獲得免疫の違いなんです。(よかったら下の記事でおさらいしてみてください)

自然免疫でパトロールして、獲得免疫でいざ出陣【腸と免疫シリーズ4】

自然免疫の代表的なものは、好中球。
怪我をしてから細菌などが侵入すると、それを攻撃するために「好中球」と呼ばれる自然免疫のひとつが働きます。
傷口が膿んでしまうのは、好中球が細菌と戦ったあとの残骸(死骸)です。
おつかれ、好中球。

さきほどの「免疫力が落ちる」というのは、この好中球、ナチュラルキラー細胞などの自然免疫の働きのことを指します。

一方で、獲得免疫として働くB細胞やT細胞の働きは、年寄りでよぼよぼになっても変わりません。
小さいときに水ぼうそうにかかって、80歳を超えた頃に免疫力落ちたからもう一回かかりました、とならないのはこういうわけです。

獲得免疫を鍛えられるのは18歳まで?

胸腺

獲得免疫は、変わらない。
このような認識から、免疫の学者たちのあいだでは、以下のような認識が同時にされていました。

獲得免疫は、一度獲得した免疫情報を上書きできない。
つまり、ニュータイプの敵が現れても、今まで知っている技、持っている武器でしか戦えないということです。

獲得免疫は、胸のあたりにある「胸腺」という免疫の学校のようなところで授業を受けます。(T細胞を教育)
まちがえて自分を攻撃しちゃう子たちは、留年どころか退学。
超厳しい学校です。

ここで鍛えられた子たちが生涯、獲得免疫として身体で活躍してくれます。
ただ、わたしたちが学校を卒業して社会に出ていくように、獲得免疫の教育期間にも制限があります。

それは、およそ18歳まで。
18歳を過ぎると、学校は閉校してしまいます。

そのあとでは、自然免疫は鍛えられても、獲得免疫は鍛えられない。
だから、18歳までに治らなかったアレルギーは、もうずっと治らないし、逆に18歳までにできるだけ多くの「敵情報」と「武術」を叩き込むことが大事なんだ!

と、ここまでが今までの常識です。

今から、シンバイオシス研究所で考えている、最新の獲得免疫の考え方をお伝えします。

獲得免疫はアップデートできる

獲得免疫

確かに、T細胞の記憶を塗り替えるのは容易なことではないでしょう。
なんなら、ヒトの記憶を塗り替えるほうが簡単な気がすることさえある。

ここだけの話にしておいてほしいんですが、うちの所長は結構忘れっぽいんですね。
人と会う約束とか、期日のある仕事とか、すぐ忘れるんです。

それでわたしがリマインドしてフォローさせていただいているんですが、それだけだとなんかただの秘書みたいでつまんないじゃないですか。
なので、たまに悪いことします。

「え、清水さん、これ自分でやるって言ってはりましたよ。しかも、明後日までにできるって自信満々に」と言って、自分の担当の仕事を押し付けたことが2回くらいあります。
この場を借りて、ごめんなさい。

でもね、所長の仕事を代わりにやらないといけなくなったことが、今まで少なく見積もって257回はあったので、許してください。

話を戻しましょう。
獲得免疫を司っているのは、実はT細胞やB細胞だけではないんです。

獲得免疫って、「今までの免疫履歴を記憶し、異物を適切に処理し、受け容れていいものは受け容れる」という働きですよね。
これ、腸内細菌が思いっきり仕事してる場面なんです。

つまり、食べ物にしろ、新しい細菌やウイルスにしろ、
身体に受け容れていいかどうかを判断するのは、T細胞よりも腸内細菌のほうが早いんです。

彼らは腸管の中にいるんですから、当たり前といえば当たり前なんですが。

で、せっかくなので腸内フローラ移植を例にとって説明しますと、
普通に他人の腸内フローラを入れただけでは、弾かれてしまうわけです。

「他人の腸内フローラを受け容れていいですよ」なんてことは、免疫の学校では習っていないはずなので。

けれど、本来の自分の腸内フローラや、獲得免疫陣たちが気づかないような移植の方法を取ると、腸内フローラが書き換わるんです。

住む家が変わっていくようなもの

ライフステージ

遺伝情報とともに、乳幼児期にほとんど決定してしまう腸内フローラ。
これは、「実家に住んでいる」のようなものです。

今までの免疫の常識だと、その人は一生実家暮らし。18歳という時間制限がきたら、もうそれ以上は新しい家具も運び込めないという常識でした。

これからの常識は、「大学に入ってワンルーム一人暮らしして、社会人になって、結婚して、子供が巣立ったら夫婦で暮らすように、住む場所や広さも変えられる」ということになります。
そのときに次の家に持っていく思い出の品もあるだろうし、思い切って捨ててしまうものもあるでしょう。
めちゃくちゃ乱暴な言い方をすると、そういう感じ。

そして、その「アップデート可能な」腸内フローラは、獲得免疫と強くリンクしています。

つまり、現在の免疫系の常識は、わたしたちと同居している腸内細菌という体外臓器によって覆る。
一度身に付いた免疫力は一生そのままなのではなく、進化することができ、獲得免疫はグレードアップ出来ると考えています。
住む世界が変わって部屋の形や広さが変わると、柔軟にそれに対応することが出来ると思うのです。

自分の腸内フローラ、そして獲得免疫をグレードアップさせるのにもっとも効果的な方法は、腸内フローラ移植です。
これは間違いありません。すいませんけど。

ただ、食生活を変えることで、経口免疫寛容として獲得していくこともできます。

不定愁訴の原因は「経口免疫寛容」にあるかもしれん【腸と免疫シリーズ8】

理想を言えば、経口免疫寛容は、18歳までに作るべきです。
もっと言うと、6歳くらいまでにいろいろな食べ物に触れておいたほうがいいです。

そう考えると、なんでわたしの親は、キャビアとフォアグラと松阪牛と回らん寿司に連れて行ってくれんかったんやろう。
おかげで経口免疫寛容が育まれず、「高級そうな店アレルギー」になってしまったわ。(好きな食べ物は、チゲ鍋です! 庶民です!)

でも、経口免疫寛容は大人になっても育まれます。腸内フローラを通して。
というわけで、誰か回らん寿司を一緒に食べてください。
店で食べるのは緊張するので、「銀のさら」にしましょう。(庶民)

いやいや、こないだおばあちゃんの法事で食べた銀のさら、めちゃくちゃおいしかったですよ!

【前回までの免疫シリーズ目次】
免疫力が大切っていうけど、そもそも何なん?【腸と免疫シリーズ1】
免疫の異常と疾患のものすごく深い関係【腸と免疫シリーズ2】
四段構えで身体を守ったり保ったり【腸と免疫シリーズ3】
自然免疫でパトロールして、獲得免疫でいざ出陣【腸と免疫シリーズ4】
男子のケンカ(細胞性免疫)と女子のケンカ(液性免疫)【腸と免疫シリーズ5】
免疫の要、腸管免疫のしくみ【腸と免疫シリーズ6】
《もっと詳しい》免疫の要、腸管免疫のしくみ【腸と免疫シリーズ7】
不定愁訴の原因は「経口免疫寛容」にあるかもしれん【腸と免疫シリーズ8】
不妊と妊娠を隔てている一因は、Tregと腸内細菌のコンビ愛である【腸と免疫シリーズ9】
現代人は腸内細菌の住処を奪っている【腸と免疫シリーズ10】

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自分の目で見えて、自分の手で触れられるものしか信じてきませんでした。 でも、目には見えないほど小さな微生物たちがこの世界には存在していて、彼らがわたしたちの毎日を守ってくれているのだと知りました。 いくつになっても世界は謎で満ちていて、ふたを開けると次は何が出てくるんだろう、とわくわくしながら暮らしています。 ご挨拶と自己紹介も併せてご覧ください。
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健康な人の腸内フローラを移植することで、ふたたび健康を取り戻そうという治療法に期待が高まっています。
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