1982年から続けてきた微生物の基礎研究や医療機関における臨床を経て、独自の腸内フローラ移植(便移植)方法を開発しました。微生物たちとの共存共栄には、無限の可能性があると信じています。
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現代人は腸内細菌の住処を奪っている【腸と免疫シリーズ10】

住処

正座って、どれくらいできます?
わたしは20分くらいです。(最近、この前座部分がなかなか思いつかん)

昔の人は、何時間でもできたそう。
椅子に慣れていると、正座ってできませんよね。

ちなみに、最近の若い子って、うんこ座りできへんらしい。
洋式便所ですもんねぇ。足も長いし。

うちの弟、足を揃えてかかとをつけてしゃがむと、後ろにコテーンと転がってしまうんです。
これ動画撮ったんですが、めちゃかわいい。

さぁ、あなたはできますか?

今日の話題は、現代人は足の長さの代わりに、腸の長さを犠牲にしているというお話です。
腸が短いと、免疫力も落ちてしまいます。それは、大腸に住んでいる菌たちの住処にありました。

その前に、まず小腸と大腸に分けて「腸管免疫」を見ていきましょう。

小腸における腸管免疫

腸

「腸管免疫」とひとくくりにしていますが、腸には小腸と大腸があります。

小腸は、お腹の中心あたりでウニャウニャってしてる細めのやつで、
大腸は、お腹のまわりとぐるっと一周している太めのやつ。

一般的に「腸管免疫」というと、小腸の最後の方にある「M細胞」と「パイエル板」あたりの免疫機能を指すことが多いみたいです。
M細胞が、B細胞やT細胞などのリンパ球たちに、「うわ、こんなん来てるで。攻撃準備ー!」とお知らせします。

《もっと詳しい》免疫の要、腸管免疫のしくみ【腸と免疫シリーズ7】

他にも小腸には、タイトジャンクションという物理的なバリアや、抗菌ペプチドの働きもあります。
こういったことから、腸管免疫といえば、小腸がメインとみなされていました。

大腸における腸管免疫

さて、時代は進み。
腸管免疫でのIgAの働きや、腸内細菌たちの働きが注目されるにつれ、実は大腸のほうがメインで免疫してるんじゃない? という見方がでてきました。(免疫してる。ぜひ使って)

IgAは、この記事で解説しています。

男子のケンカ(細胞性免疫)と女子のケンカ(液性免疫)【腸と免疫シリーズ5】

少なくとも、シンバイオシス研究所では、大腸がメインだと考えています。

大腸粘膜の上には、抗体の受け取り窓口があります。
免疫グロブリン(IgAとか)などの抗体が、「なあなあ! お母さん! 悪い虫つかまえた! いま手の中にある!」と報告に行く先があると思ってもらえたらいいです。

そしてお母さんは、
「いやあああ!タケシが手にゲジゲジを掴んで帰ってきたわよぉぉぉ!」とヒステリックになったり、
「もう、毒があったら危ないでしょう。テッシュにくるんで捨てときなさい。近所のお母さんに言っておかなくっちゃ」とクールに振る舞うかはわかりませんが、
とりあえず全身に通達してくれます。

これが、小腸のタイトジャンクションなどの細胞性免疫が働く引き金にもなります。

大腸の腸内細菌、小腸の腸内細菌

バクテロイデス

そして何より、腸内細菌。

腸内細菌には、「空気はマジ無理。空気きらい」っていうタイプの偏性嫌気性菌と、
「空気? 別にどっちでもいいよー。いたけりゃ、いれば?」っていうタイプの通性嫌気性菌がおりまして。

偏性嫌気性菌には、クロストリジウム属やバクテロイデス属の菌がおり、健康な人の腸内細菌の約8割を占めます。
一方で通性嫌気性菌には、乳酸菌やビフィズス菌などがおり、2割程度にとどまります。

小腸には、基本的には通性嫌気性菌しか住めないので、腸内細菌の大半は大腸にいることになります。
腸内細菌が免疫にいかに重要な役割を果たしているか、みなさんならもうおわかりだと思います。

(ちなみに、免疫機能を正常に働かせるために必須であるIgAという抗体、Tregという細胞は、腸内細菌のまったくいな無菌マウスでは、少ないんです。)

その腸内細菌たちにとって、由々しき事態が起こっています。

現代の食事は、食べやすく柔らかい、口どけの良いものが多く、食事時間も短くなりがちです。
さらに、わずか50年前と比べても野菜に含まれる食物繊維(ミネラルやビタミンも)が激減していますので、意識して野菜を摂っている人でも、食物繊維不足になりがち。(どないせえと)

若い方の腸の長さが短くなっているのもこれが原因で、結果としてクロストリジウム属やバクテロイデス属の住処が失われつつあります。
クロストリジウム属やバクテロイデス属といえば、免疫力の働きを調節するTregを作る菌としても有名。(乳酸菌なども作りますが)

若い年齢層でクローン病や潰瘍性大腸炎が増えているのも、腸内細菌の住処が奪われることで腸内フローラ全体のバランスが崩れちゃうことに起因していると、わたしたちは考えています。

次回は、腸内細菌のパワーで免疫力を上げていこうぜ〜!ってお話をします。

【前回までの免疫シリーズ目次】
免疫力が大切っていうけど、そもそも何なん?【腸と免疫シリーズ1】
免疫の異常と疾患のものすごく深い関係【腸と免疫シリーズ2】
四段構えで身体を守ったり保ったり【腸と免疫シリーズ3】
自然免疫でパトロールして、獲得免疫でいざ出陣【腸と免疫シリーズ4】
男子のケンカ(細胞性免疫)と女子のケンカ(液性免疫)【腸と免疫シリーズ5】
免疫の要、腸管免疫のしくみ【腸と免疫シリーズ6】
《もっと詳しい》免疫の要、腸管免疫のしくみ【腸と免疫シリーズ7】
不定愁訴の原因は「経口免疫寛容」にあるかもしれん【腸と免疫シリーズ8】
不妊と妊娠を隔てている一因は、Tregと腸内細菌のコンビ愛である【腸と免疫シリーズ9】

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自分の目で見えて、自分の手で触れられるものしか信じてきませんでした。 でも、目には見えないほど小さな微生物たちがこの世界には存在していて、彼らがわたしたちの毎日を守ってくれているのだと知りました。 いくつになっても世界は謎で満ちていて、ふたを開けると次は何が出てくるんだろう、とわくわくしながら暮らしています。 ご挨拶と自己紹介も併せてご覧ください。
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