女性に便秘が多く、男性に下痢が多い理由を考えてみる

ほぼ毎日快便のちひろです。

下痢になることはほぼなく、ウンコが出ない日があったとしてもせいぜい一日飛ぶくらいです。
でも、一日飛ぶだけでも結構モヤモヤします。ごくごくまれに三日、四日飛ぶと、発狂しそうになる。

そんなときは、若干お尻緩めの夫に八つ当たりすることになります。
「出えへんより出るほうがいいに決まってるやんか!!!」

そして夫はちょっと悲しそうにしながら、出勤直前にお腹がゴロゴロ言い出す不便さについて、ぼそっと何かに言い訳するようにつぶやきます。
いつもごめんね。

ところで、便秘って女性に多くて、下痢って男性に多い傾向があるような気がしませんか?
もちろん100%ではないけれど、比率でいうと圧倒的にそうやと思う。

今日は、なんでそうなってるんかいろいろ考えを巡らせてみて、男女間の世界平和に一歩近づいてみようと思います。

神経伝達物質の性差説

2020年の末、クリスマスの準備をしている頃に岐阜大学から出されたこの論文がたぶん一番、科学的には有力な説です。

男性に下痢、女性に便秘が多い原因・神経伝達物質の性差を発見|研究成果・採択情報 | 国立大学法人東海国立大学機構 岐阜大学

(本文)
Sexually dimorphic response of colorectal motility to noxious stimuli in the colorectum in rats – Horii – 2021 – The Journal of Physiology – Wiley Online Library

岐阜大学のサイトから、概要を引用します。

岐阜大学 応用生物科学部 獣医生理学研究室 志水泰武教授らのグループは、ラットの大腸内に痛みの刺激を与えた場合、オスでは排便と関連する大腸の動きが誘発されるが、メスでは誘発されないことを確認しました。このメカニズムとして、脳から脊髄に下行性疼痛抑制経路を通じて供給される神経伝達物質の成分がオスとメスで異なり、そのため脊髄排便中枢による排便調整の働きがオスとメスで異なることを発見しました。本研究成果は、男性には下痢が多く、女性には便秘が多いという排便異常の性差の一端を明らかにするとともに、過敏性腸症候群などの病態解明に近づくものです。

男性に下痢、女性に便秘が多い原因・神経伝達物質の性差を発見|研究成果・採択情報 | 国立大学法人東海国立大学機構 岐阜大学

日本語の要約があるので、興味のある方はリンク先を見てみてください。
ちなみに、英語本文のほうはアブストラクトだけ無料で読めます。

大腸運動と関連のあるホルモンの供給

下記の論文の岐阜大学紹介ページより引用
Horii, K., Ehara, Y., Shiina, T., Naitou, K., Nakamori, H., Horii, Y., Shimaoka, H., Saito, S., & Shimizu, Y. (2020). Sexually dimorphic response of colorectal motility to noxious stimuli in the colorectum in rats. The Journal of Physiology599(5), 1421-1437. https://doi.org/10.1113/jp279942

大腸に痛みを感じると、その痛みを和らげるためにホルモンが脳から出ます。(すげえ)
ここで登場するホルモンが「ドーパミン」「セロトニン」「GABA」の3つです。

これらのホルモン、それぞれ大腸の運動を促進するのか、促進しないのかに分けられます。
岐阜大学の分類分けに従って、それぞれ+とーで表記しますと、こうなります。

  • ドーパミン(+)
  • セロトニン(+)
  • GABA(ー)

オスの場合、痛みを緩和するためにドーパミン(+)とセロトニン(+)が供給されます。
大腸促進効果が(+)と(+)なので、大腸が促進されすぎてしまって下痢になっていると思われます。

メスの場合はセロトニン(+)とGABA(ー)が供給され、大腸を促進する効果が打ち消されるために便秘になる、と研究チームは推測しています。

この、痛みに対して供給されるホルモンの差が、男女の下痢と便秘の分かれ道になっているようです。

ところで、「ドーパミン」「セロトニン」「GABA」って聞いたことありませんか?
そう、睡眠と覚醒を左右するホルモンたちです。
これが意味することは、「良質な睡眠が快便につながる」ということではないかと思います。

寝る直前の食事、スマホ、お風呂のタイミングなど、調節できそうなことは調節していきましょう。

ただ、この論文で「大腸に痛みの刺激を与えた場合」ってのがちょっと引っかかるんですよね。
下痢や便秘になるから腸が痛いんであって、痛みが先にあってから下痢や便秘になっている体感ってあんまりなくないですか?

それとも、ラットにとっては痛みでも、人間にとっては「ささやかな刺激」くらいでしかないんだろうか。
わからん。

このあとは、わたしの経験則と勝手な推測による理由を述べていきます。

食べ物の好みの差

男性が好きな食べ物と、女性が好きな食べ物って違いますよね。
いや、もしかしたら両者は一致しているのかもしれんけど、女性には敬遠されがちな食べ物(見た目が可愛くないとか、太るとか)ってありますよね。

当然のごとく、あくまで平均的に、男性と女性が日々口にするものは違ってきます。

例えば男性は、揚げ物やラーメン、丼ものなどでテンション上がる方が多いようです。
お野菜はどちらかというと苦手で、トンカツに添えられた千切りキャベツは「トンカツの枕」なんだと信じているのかもしれません。

男性のこういった食事で下痢が多くなるのは、主に酸化した身体によろしくない油の摂取が原因かと思われる。
あとはアルコールの摂取量とか、冷えた飲み物が好きとか、そういうのもありそう。

一方で、多くの女性はお野菜を意識して食べていたりします。お昼ごはんはコンビニのサラダとか。
腸内細菌たちのご飯になる、食物繊維を多く含んだ炭水化物の量としては心もとないけど、男性よりは意識して摂っている方が多いイメージ。

「便秘には食物繊維を多く含んだ食品を」っていうのは間違ってないねんけど、同時に適量の油や糖を摂らないと、ウンコはどんどんカチカチになってしまいます。水分不足もある。

「朝はヨーグルト60g、昼はコンビニのサラダとおにぎり一つ、夜は蒸した野菜とささ身一切れ、ご飯は抜きでご褒美に糖質オフのプリン」
これで健康にならないほうがおかしいわよね!
っていう女性は、これで便秘にならないほうがおかしいです。

こういう場合は、適量の動物性たんぱく質・脂質と、ご飯(できれば玄米)をもう少し多めに取り入れることで一発で解消したりします。

いや、揚げ物とラーメン好きな女性も、サラダ好きな男性ももちろん山ほどいらっしゃいますけどね。

月のサイクル、生理の有無

生理前はひたすら便秘になって、
生理になるといきなり快便、または下痢気味になるって女性は少なくないのではないでしょうか。

このあたりのメカニズムは、生理に関係する女性ホルモンの働きが鍵を握ります。

前に詳しく書いたので、気になる方はこちらの記事を参考になさってください。
生理痛/月経痛を起こすのも楽にするのも、腸内細菌が関わっている

身体の構造の差

男性に比べて、女性は筋肉が少なく皮下脂肪が多いです。

その結果、普段の生活で大腸が刺激される際の力のかかり方に差があったり、ウンコをきばる力が弱くなったりします。
お年寄りになるとだんだん便秘がちになるのも、この筋力低下も原因に挙げられます。

その他にも、子宮の位置や骨盤の大きさなどの影響で、女性の腸があまり刺激されにくい構造になっているなんてこともありそうです。

いかがだったでしょうか。
もちろんこれだけですべてを説明できるわけではないし、男女差どころか個人差も激しいテーマです。

ここからは個人的な体験談になりますが、わたしは生まれたときから便秘でした。

ウンコがすっきり出てくれるには、交感神経と副交感神経のバランスが大切です。
わたしの幼少期から20代は、思い返せば交感神経のみで成り立っていたような気もします。

それが腸内フローラ移植でいったん改善したんですが、毎日出勤と残業を繰り返しているうちに、また便秘体質になりました。
わたしの場合、朝にばたばたするとウンコが出ないので、在宅勤務を増やしていただけたこと、残業をなくしていただけたことで便秘がなくなりました。
(参考:便秘になる理由と、ぶりぶり出た後の快感について語るときに我々の語ること

会社でのウンコの優先順位が高いと、自分のウンコ事情の優先順位も上げられるのでありがたい限り。

この記事を書いた人

ちひろ
ちひろ研究員・広報(菌作家)
自分の目で見えて、自分の手で触れられるものしか信じてきませんでした。
でも、目には見えないほど小さな微生物たちがこの世界には存在していて、彼らがわたしたちの毎日を守ってくれているのだと知りました。
目に見えないものたちの力を感じる日々です。
いくつになっても世界は謎で満ちていて、ふたを開けると次は何が出てくるんだろう、とわくわくしながら暮らしています。
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《特許出願中》
腸内フローラ移植

腸内フローラを整える有効な方法として「腸内フローラ移植(便移植、FMT)」が注目されています。
シンバイオシス研究所では、独自の移植菌液を開発し、移植の奏効率を高めることを目指しています。(特許出願中)