1982年から続けてきた微生物の基礎研究や医療機関における臨床を経て、独自の腸内フローラ移植(便移植)方法を開発しました。微生物たちとの共存共栄には、無限の可能性があると信じています。
シンバイオシス研究所 -微生物との共存共栄-
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脂質異常・高血圧に対する腸内細菌のアプローチ3つ

高血圧

高血圧とひとくちに言ってもいろいろありまして、原因もいろいろあります。
太っている人や、塩分大好きな人だけがなるものではありません。
わたしのおじいちゃんなんて、がりがりで甘いもの大好き人間やのに、高血圧やもんな。上180とか。
ほんで病院で、「もう歳ですもんね〜」の定番のマジックワードをいただいてくる。

糖尿病性腎症でうまく腎臓が機能していないとか、心臓のポンプ機能に異常があるとか、もう原因はほんとさまざま。
スタバのカスタマイズぐらい、さまざまやと思う。

そんな高血圧ですが、最近わたしたち日本人に増えてきているのが、脂質異常による高血圧。
血管に脂肪が蓄積して、血管を圧迫してしまうことで起こる症状です。

欧米型の食事や睡眠不足、運動不足などの環境変化が原因だと考えられます。

わたしたちの身体は、年齢とともに代謝が下がってきます。
同時に、血管の壁に脂が蓄積し、固くなっていきます。これが代表的な動脈硬化です。
動脈硬化は自覚症状があまりないものの、高血圧を引き起こしたり、ある日突然心筋梗塞や脳卒中を引き起こしてしまう可能性があり、放置すると大変危険です。

とはいえ、脂質異常や動脈硬化、高血圧などは要因が複雑に絡み合っていてなかなかスッキリとは説明しづらいものがあります。

今日は、そんな脂質の代謝異常が原因の動脈硬化に対して腸内細菌たちがどのように作用し、結果としてどのように高血圧・突然死のリスクからわたしたちを守ってくれているのかというお話をします。

アプローチ1 短鎖脂肪酸を出す腸内細菌

バクテロイデス

短鎖脂肪酸というのは、主に「バクテロイデス」というグループに属する腸内細菌たちが作ってくれる物質です。
具体的には「酪酸」「酢酸」「乳酸」「プロピオン酸」などのことで、このうち特に「酢酸」がいい働きをしてくれます。

わたしたちが食事をすると、糖や脂が腸から吸収され、エネルギーになってくれます。
その糖や脂が血液を通して全身にいきわたり、わたしたちは生命を維持できているのです。
血中に含まれる糖や脂の量が多すぎると、高血糖や脂質異常症になってしまい、高血圧や動脈硬化につながってしまっています。

ここですこし余談ですが、実は人間の身体の栄養となってくれるのは、糖と脂だけです。
野菜などに多く含まれる食物繊維は、人間は直接吸収できません。
ではどうして食物繊維を摂るといいのかというと、腸内細菌たちのエサになるからなのです。

流れとしてはこうです。
バクテロイデスなどの腸内細菌が食物繊維を分解し、短鎖脂肪酸を出してくれます。
その短鎖脂肪酸が腸から吸収されて血中を通り、脂肪細胞という細胞にたどり着きます。

脂肪細胞の働きは、万が一のときのために脂肪を身体にためこんでおくことなのですが、現代の日本ではそんな万が一は兆が一ぐらいです。
ほうっておくと、脂肪細胞もそれを持つ人間もぶくぶく肥えていってしまいます。

短鎖脂肪酸は、そんな脂肪細胞の健気な頑張りというか、ありがた迷惑な脂肪の蓄積にブレーキをかけてくれる人なんです。

例文:会うたびにキットカットのパーティーパックをくれる伯母に、兄がやんわり「妹は今ダイエット中なんです」と言ってくれた。

お兄ちゃん(短鎖脂肪酸)優しい。

しかも、短鎖脂肪酸は脂肪が過剰にたまるのを防いでくれるだけではなく、全身の代謝も活性化してくれます。

アプローチ2 エクオールを出す腸内細菌

血管を元気に

エクオールって、どこかで聞いたことありませんか?
そうです、前回の記事「スーパーイソフラボン「エクオール」で、お肌ぷりぷりぷりん。」で出てきました。

このエクオール、皮膚の線維芽細胞を活性化し、コラーゲンの生成を促してくれることでお肌をぷりんぷりんにしてくれるんですが、それだけじゃなかったんです。

血管って筋肉じゃないですか。(3日前にはじめて知ったんですけどね)
で、エクオールって血管(筋肉)を狭窄させることなく、柔らかくしなやかにする働きをしてくれるんです。
しなやかな肉体を持った血管にしてあげることで、血管に蓄積した脂も燃えやすくなります。

なんか、人間のダイエットとほぼ一緒ですね。
そういえば、ジムに入会してそろそろ5ヶ月ですが、そろそろ退会しようかと思っています。
もう一週間以上行っていないし、なんか混んでるし、おかげさまで仕事も忙しいし、食欲の秋やし。(運動の秋でもあるけどな)

というわけで、2つめのアプローチは、エクオールを生み出してくれる腸内細菌たちを増やすこと。

アプローチ3 LDLコレステロール比率を下げる腸内細菌

コレステロール

LDLコレステロールとHDLコレステロールは、それぞれ悪玉コレステロール、善玉コレステロールとも呼ばれます。
健康診断をわりにまめに受けられている方には耳馴染みのある言葉かもしれません。

LDLコレステロール(悪玉)というのは、血管などの組織に脂を運び込む働きをします。
一方のHDLコレステロール(善玉)は、逆に組織(血管)から肝臓に脂を運び出し、分解するほうへ働きます。

これらの数値はそれぞれ独立して見るのではなく、LDLとHDLの比率として見ます。
HDLの比率が多いと、組織(血管)から脂肪が肝臓へ運ばれる割合のほうが高くなり、動脈硬化が起こりにくくなります。

コレステロールを作っているのは肝臓なので、肝臓がHDLコレステロールのほうをたくさん作ってくれればいいわけです。

そのとき、肝臓に「HDLコレステロール出してね」と指令を送るのも、腸内細菌の働きなのでした!

脂質異常症、高血圧を防ぐための腸内細菌的アプローチまとめ

  • アプローチ1 短鎖脂肪酸を出す腸内細菌
  • アプローチ2 エクオールを出す腸内細菌
  • アプローチ3 LDLコレステロール比率を下げる腸内細菌

これら3つをうまく機能させることで、脂質異常症や高血圧を改善し、動脈硬化を防ぐ効果が期待できます。

腸内細菌バランスが崩れていると、この機能もうまく働かなくなってしまいます。
そこで腸内フローラ移植の出番です。

どの菌がどう作用するか、まだまだメカニズムが完全に解明されたわけではありませんが、それでも徐々に明らかになってきています。
ただ、どの患者様にどのような腸内フローラバランスの移植をさせていただくのがいいのかは人それぞれ。

頻度も回数も、移植菌液のブレンド比率も患者様ごとに変わります。
医療というのは、理論だけではなく、ひとりひとりの患者様ありきなのだな、と感じる日々です。

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自分の目で見えて、自分の手で触れられるものしか信じてきませんでした。 でも、目には見えないほど小さな微生物たちがこの世界には存在していて、彼らがわたしたちの毎日を守ってくれているのだと知りました。 いくつになっても世界は謎で満ちていて、ふたを開けると次は何が出てくるんだろう、とわくわくしながら暮らしています。 ご挨拶と自己紹介も併せてご覧ください。
腸内フローラ移植(便微生物移植)を知っていますか?
わたしたちの腸に暮らす腸内細菌たちと健康との関連が、世界中で次々に明らかになってきています。 「すべての病気は腸から始まる」と言われるように、腸内環境が崩れると病気を引き起こすことが知られています。
健康な人の腸内フローラを移植することで、ふたたび健康を取り戻そうという治療法に期待が高まっています。
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