年末年始のごちそうに備えて、腸内細菌にとっての「ごちそう」を考える

子どもたちは冬休み、お勤めの方はすでに仕事納めをされた方も多くいらっしゃるであろう時期。
もういくつ寝ると、お正月です。
冬至は過ぎて日照時間は延びていっている一方、日増しに冷えてきています。
わたしたち、もう随分会っていないけれど、あなたのいる国では今まさに太陽が大地に降り注ぐ夏なんですものね。地球って不思議。(突然始まる南半球への手紙)
クリスマスのあとはなんとなく惰性になる西洋と比べ、日本は年末から年始にかけてが本番! という感じになります。
最近の日本は、ハロウィーンやらクリスマスやらでわけがわからなくなってますが、とりあえず盆と正月はメイン感がありますね。
年末ぎりぎりまでお店を開けて鯛とか売っていただいている方、
元旦から神社とかで働いてくださってる方、
テレビで生放送とかしてはる方(ほとんど録画らしいけど)、
その他もろもろのインフラ関連の方、
そしてもちろん郵便局さん、
ほんとありがとうございます、どっかのタイミングで休んでくださいね!!(TдT)
わたしのように、
「別に正月からバーゲンとかコンビニとか行かへんし、みんな家で寝てたらええねん。そんなんやから、長時間労働なくならへんねん」みたいな人間も、上記のような方々がいらっしゃらなければ家で楽しいお正月を迎えることもできないわけです。
そういえば去年は、大晦日まで年賀状の売り子をしていました。
この一年、いろいろと激動でした。
こういう台詞って、ありとあらゆるところで使いまくられているんでしょうけれども。
さて、この投稿が今年最後の更新になると思うので、年末年始のごちそうを想定してお話してみます。
「おせちはこんなふうに食べると、腸内細菌にとってGood」みたいな情報は、この記事からはまったく得られませんので、ご了承ください。
目次
人間にとっての「ごちそう」と、腸内細菌にとっての「ごちそう」

年末年始と言えば、なんと言ってもごちそうです。
明けても暮れても食べてますよね。
幼少期は、年明けに母親の実家に行くと、ピザとケンタッキーと寿司が一度に食べられるという夢のような体験が毎年できました。
当時のお相撲さんに似ていると親に言われるくらいの子どもだったので、ピザ3枚、ケンタッキー2個、寿司はまるでブルーベリーでもつまんでいるくらいの感覚で食べてました。
食後はアイスクリーム。
最高です。
美味しいものさえあれば、幸せな時代やった。
子どもって、幸福の基準がシンプルで素敵ですよね。
今は、りんごとアーモンドとマシュマロとアイスクリームとヨーグルトと森永のラムネがないと幸せになられへんもん。(成長してへんがな)
鳥取県「ちむら」のちくわと、北海道の「きのとや」のソフトクリームと、「八天堂」のくりーむパンがたまに食べられる人生なら、ほんまに言うことない。
そのために延々と働ける。(バカにした皆さん、こういう性格って幸せですよ)
好きなものを美味しそうに食べることに関しては、CMに出れるレベルやと思います。
なので、食べ物を不味そうに食べる人とか、平気で食べ残す人とか、ダイエット中やからってわたしの好きなトマトやおからなんかを義務のように食べる人を見ると、張り倒したくなります。
それを見るのが嫌で、飲食店でバイトしたことないです。
だって、廃棄予定のもの全部食べてたら、マツコ・デラックスよりも大きくなるやん。(食べる気やったんかい)
そんな普段の食事でも幸せやのに、正月はごちそうやし、料理たちもよそ行きで特別な感じがするし、家族や親戚が揃うし、ついつい食べ過ぎちゃいますよね。
前にいた職場の上司に、
「正月食べすぎて太りました」って言ったら、
「正月に太らへんやつは病気や」ってフォローされたことがあります。
年末年始の食事といえば、塩分や糖分が高かったり、お酒がついていたり、高カロリーだったり。
あまり人間にとっても、腸内細菌にとっても、健康的ではなさそうに思えます。
実際、どうなんでしょうか?
その前に、いわゆる腸内細菌にとっての「いい食事」を確認しましょう。
腸内フローラを整える食べ方、食材とは

わたしたち人間にとってのエネルギー源は、糖と脂です。(厳密には糖と脂とたんぱく質)
トクホのウーロン茶のボトルに書いてそうな二文字ですが、糖と脂って人間を活かしてくれる大切な存在です。
パーソナルジムの皆さん、あんまり邪険に扱わんといてあげて。(現代人は摂り過ぎなんかもな。そうなんかもな。)
そして、腸内細菌にとってのエネルギー源は食物繊維であるということは、このサイトでも何度もお伝えしてきました。
それに加えて、腸内フローラを整えてくれる食材というのも、いくつもあります。
プレバイオティクスとプロバイオティクスたち
- 乳酸菌…チーズ、ヨーグルト、漬物、甘酒など
- 納豆菌…納豆(←当たり前すぎる)
- 酢酸菌…お酢
- グルタミン…牛乳、大豆、かつお
- オリゴ糖…お米、玉ねぎ、ゴボウなど
(書籍『うんちのクソヂカラ』清水真 著 P115より一部抜粋)
前に、こんな記事も書きました。
いい食生活をしているつもりの人が陥りがちなパターン

ところで、上記の食材のみならず、腸内フローラにとって理想的な食生活や食材は、いろんな説があります。
腸内フローラに限らないのであれば、身体にいいと言われる食事メソッド的なものは、世の中にあふれています。
そんな、「腸内細菌にとって」、あるいは「身体にとって」いい生活をしているつもりなのに、不調を感じたり、病気になってしまうことが多々あります。
いくつか例をあげてみます。
食物繊維とりすぎな人
腸内細菌が元気になるからと言って、せっせと食物繊維をたっくさん食べておられる方がいらっしゃいます。
野菜大好きなタイプならまだしも、野菜嫌いなら地獄ですよね。
よほど忍耐強い人か、よほど真面目な人か、ちょっとマゾ傾向のある人か。(つらさが快感)
でも残念ながら、食物繊維ばかりを摂りすぎて、動物性タンパク質が足りてない場合は、ごっつい便秘になります。
ダイエット中の女の人とか、ベジタリアンにもこのパターンが多いです。
おなら臭い組。(失礼やな)
こういう人たちのフローラバランスは、乳酸菌・ビフィズス菌過多の「平和ボケ」タイプになっていたりします。
必要以上の絶食
1日のうちで7〜8時間の絶食絶水が腸内細菌を元気にしてくれることはよくお話しますが、それ以上の絶食(ファスティング)は、わたしたちの考えではあまりお勧めしていません。
いや、別に悪くないとは思うんですけど(なのでどうか攻撃しないで)、「お腹すきません?」って話。
わたしたちがお腹すくだけやったらまだいいにしても、腸内細菌までお腹すかせるのってかわいそうです。
「もうちょっと待って! 肉はちょっと焦げたくらいがおいしいねん」っていう肉奉行のせいで、全員がなかなか肉食べられへん、みたいな。(こういうはた迷惑な人って、一定の確率でおる)
サプリメント飲みすぎ
この項目は敵を作りそうなので、割愛。
農薬、添加物にまみれた「健康的な」食品
これ、意外と落とし穴にはまってる人多いかもしれません。
例えば、漬物って乳酸菌たっぷりで身体にいいですよね。
おむすびと漬物っていう食事をしている人が、不健康になるはずがない。
でも、その漬物がスーパーで買ったパック詰めの漬物やったとしたら?
その野菜、農薬まみれの海外産ではないですか?
保存料や着色料がたっぷり入っていませんか?
安心な野菜で家で作ったとしても、漬けるのに「スグツカール」みたいな簡易漬物液みたいなやつを使ってたら?(ネーミングセンス)
もちろん、それが悪いと言っているのではありません。
このご時世、有機野菜で、塩と糠だけで、お家で漬物を作っている人なんてそうそうお目にかかれないでしょう。
めんどくさいし、場所取りますしね、けっこう。
怖いのは、身体に悪いことをしている意識がない、ということ。
身体にいいものを摂っているつもりで食べているものが、実は身体にも腸内細菌にも悪影響を及ぼしているかもしれない。
この可能性を、ぜひ頭の隅に置いておいていただきたいんです。
わたしは、マシュマロもアイスクリームも、「身体に悪いかもしれんけど、こういうのもかえって身体にいいねん」と思って毎日食べています。(毎日あげたい、心の栄養)
(いや、実を言うと、心の栄養のみならず、腸内細菌にとってもたまにアンヘルシーなものを食べるのはいいことなんです)
え、うそやん。最高やん。(マシュマロむしゃむしゃ)
「いい食事」の本当の意味。幸福感と多様性。

いい食事というのは、科学的なデータに基づいた「有用成分」の含まれるものを摂取するだけではなく、どう感じながら食べるか、というのも栄養吸収にかかわってくるとわたしは思っています。
知り合いのオーガニックフード大好き人間が、「友達と楽しく食べるマクドナルドは、家で一人で寂しいと思いながら食べるマクロビより、物理的に体にいい」と言っていたのを良く覚えています。
人間の心と身体はつながっているので、すごく大雑把な言い方をすると、何を食べても心の持ちよう次第で身体にいい形で摂り入れてくれようとするんだと思います。
健康的な食事なんて、義務感で食べても幸福感ゼロですから。
幸せじゃない食事するくらいなら、飢えて死にたい。(生きるために食べるのではなく、食べるために生きているのかもしれない)
もうひとつ、腸内細菌にとって多様性が大事であるお話はしてきましたが、「健康的な食事」というのもある意味で偏ってるんですね。
「たまにはカップラーメンでも食べて、腸内細菌を戦闘モードにしたらなあかんよな」
というのは、週に3回くらい昼食にカップラーメンを食べていながら、めちゃくちゃフローラバランスのいい、うちの清水の言葉です。
焼肉とかね。皆さん、たまには行ってください♡
腸内細菌の多様性については、こんな記事も書きました。
幸福感と、多様性のある食事。これテストに出ます。
ちなみに、腸内細菌たちがわたしたちの食の好みをコントロールしているかもしれないんです。
実は、腸内フローラ移植後に、食事指導を一切しなくとも、食の好みが変わったという方がたくさんおられるんです。
好き嫌いがなくなったり、イライラして過食に走る、いわゆる「emotional eating」がなくなったり。
逆に、味覚が敏感になって添加物たっぷりの食品が食べられなくなったり。
このあたりについてもうちょっと詳しく書きたかったんですが、今日も4,000文字を優に超えてしまっているので、来年のお楽しみってことにしましょう。
なんでいっつもこんな長くなるんやろ……
来年の抱負は、「簡潔な女」です。
おそらく年末年始はアンヘルシーな食生活が続きそうなんで、それも別に悪くないけど? むしろいいけど? という壮大な言い訳にお付き合いいただきましてありがとうございました。
皆さま、よいお年をお迎えください。
この記事を書いた人

- 研究員(菌作家)
-
自分の目で見えて、自分の手で触れられるものしか信じてきませんでした。
でも、目には見えないほど小さな微生物たちがこの世界には存在していて、彼らがわたしたちの毎日を守ってくれているのだと知りました。
いくつになっても世界は謎で満ちていて、ふたを開けると次は何が出てくるんだろう、とわくわくしながら暮らしています。
個人ブログ→千のえんぴつ
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《特許出願中》
腸内フローラ移植
腸内フローラを整える有効な方法として「腸内フローラ移植(便移植、FMT)」が注目されています。
シンバイオシス研究所では、独自の移植菌液を開発し、移植の奏効率を高めることを目指しています。(特許出願中)