アトピー患者にとって、エクオール産生株の腸内細菌がいかに大事かという話。

手が荒れています。
ここのところ、ブログが書けていなかったことからお察しいただけるように、バタバタしていました。
生活習慣も乱れてたかもしれん。
体調不良やストレスの指標っていろいろあると思うんですが、わたしは手荒れや爪のボコボコとして現れます。
でもね、言わせてください。
仕事で使っている以上、パソコンを触らないわけにはいかないじゃないですか。
そりゃ多かれ少なかれ、ストレスもあるじゃないですか。
料理とか洗い物とか、掃除機とかトイレ掃除とか、あるじゃないですか。
いつでも気の向いたときにお花畑に花を摘みに行く人生じゃあるまいし。(やさぐれてますねぇ)
週末に行った楽しい淡路島家族旅行も、温泉が手にしみて悲しかったです。
まあでも、ご飯もソフトクリームも美味しかったし、星も綺麗やったし、布団もふかふかやったし、温泉を楽しまれへんぐらいどうってことないけど。ただの濁った湯やん。(変な方向にポジティブが開花してへん?)
目次
幼少期のアトピー、大人になってからのアトピー
まずはわたしの手の写真から。
ちょっと小さめにしておきますね。
こんなん、ほんまのアトピーの人からしたら、全然たいしたことないです。
屁みたいなもんです。
それでも、今回の手荒れはステロイドでもなかなか治まらず、苦戦しています。
手の甲も、謎のブツブツ。

これはたぶん、おととい淡路島に旅行に行って、ひまわりが手に触れたからやと思う。
あまりに綺麗で、我を忘れてはしゃいだから。
- 痒くて痒くて、掻かないという選択肢を取れない
- その後、体液出まくり&痛すぎ。後悔。
- コーヒーカップが持てず、机でわずかに傾けて飲むスキルがつく
- キーボードに体液がつかないよう、ティッシュで拭きながら仕事
- 風呂場で二分ほど熟考し、「一日くらい髪の毛を洗わなくてもいいのでは」という寛容さを手に入れる。(免疫の寛容さを手に入れたい)
- 鶏肉を切りながら悟りを開き、逆に痛みを感じなくなる瞬間がある
- 手首から先がなくなればいいのにと思う
どうでしょうか。
これだけの軽症でもわりと生活に支障が出ることがおわかりいただけたでしょうか?
食べ物などのアナフィラキシーショックではなく、肌がむちゃくちゃ荒れるみたいなタイプのアトピー・アレルギーの場合、命にすぐにかかわらないのであまり大変さがわかってもらえません。
でも、歩く度に皮膚がボロボロ落ちたり、入浴や物を持ち上げる度に痛みがあったり、眠れないほどかゆかったり、街ですれ違う人が振り返るほどのアトピー・アレルギーだったら。
「別に死ぬ病気じゃないんだから」と簡単には言えないはずです。
わたしの場合、幼少期のアトピーはほとんど治り、今は不摂生やストレスがかかったときに手に少し出る程度です。
免疫力の教育が終わる18歳以降になっても治らないアトピーを完治させるには、免疫システムを再教育させるとともに、メンタル面のケアも必要になります。
エクオール産生株の腸内細菌

「エクオール」というのは、美容のサプリなどで耳にすることの多い言葉です。
大豆製品などに含まれるイソフラボンを、エクオールなどに代表される「線維芽細胞活性化物質」というものに変えてくれるのが、「エクオール産生株」と呼ばれる腸内細菌たちです。
線維芽細胞の説明は割愛しますが、これを活性化することで、血管を通じて皮膚角質層の再構築・細胞単位での保水性向上・皮膚の再バリア化を内側から順番に行ってくれます。
時間はかかりますが、根本的に治すにはこれが一番の近道です。
このエクオール産生株、平均して日本人の約半数しか持っていません。
若い人ほど、エクオール産生株を持っている比率は下がっているそうです。
つまり、お肌にいいと信じてせっせと大豆製品を摂っていても、お肌ぷるぷるに役立っていない残念なケース、50%以上。(人生の過酷さを物語っていますよね)
エクオール産生株を獲得し、育てるには
エクオール産生株を持っていないなら、まずはエクオール産生株を獲得してから、大豆製品摂ればいいんじゃない?
そう。そうなんです。
それができるなら、それが一番いいんです。
ヒト由来以外の菌は、腸には住み着けないし、
ヒト由来やとしても胃酸でほぼ死ぬし、
肝臓でほぼ解毒されるし、
ウンチを食べたとして、腸内細菌が生きたままうまく住み着いてくれるとも限らんし。(他にいろいろ弊害生じるわ)
腸内フローラ移植(便移植)
ごめんなさい、ごめんなさいね。
エクオール産生株をまったく持っていない人は、腸内フローラ移植(便移植)しか今のところ解決策がなさそうです。
私も、移植前はエクオール産生株がないタイプだったそうです。
はじめての移植前後の肌の状態。


一時的にステロイドも塗ってました、たしか。覚えてないけど。
アトピーの患者さんは、重症度にもよりますが、10回以上移植をされる方がほとんどです。
ビオスリー&大豆で頑張る
今回もなかなか治らないし、つらいので、移植をしても良かったんですが、、、
死にたいほど精神的につらいわけでもないし、何回か移植してもらってすでにエクオール産生株はいるわけだから、その子たちに頑張ってもらうことにしました。
移植だって、ペーペーの一般的な労働従事者にとっては、気軽に受けられる値段じゃないんで。
そう考えると、人って精神的に追い込まれたときに一番財布のヒモが緩むんかも。
全国の精神科、心療内科の先生方は、ぜひ良心的な診療をお願いしたいです。
わたしも心療内科行ってた時、「え、さっきの5分で1,410円!?」ってなったし。
それが普通かもしれんけど。
「ビオスリー」というお薬を見聞きされたことはありますか?
乳酸菌、酪酸菌、酢酸菌などの菌たちが入っている、粉or錠タイプの薬です。
整腸薬として登録されていますが、実は知る人ぞ知る「アトピー治療薬」でもあるそうです。
味はなかなかGood。ラムネを砕いた感じで、病みつきになります。(危ない発言)
エクオール産生株がまったくいないわけではなく、数が少ない/力を発揮できていないという場合、ビオスリーを服用するとエクオール産生株を応援することができます。
そして、大豆製品。
エクオール産生株がエクオールを作るために、イソフラボンを体に入れてあげましょう。
イソフラボンサプリとかじゃなく、納豆とか豆腐とか、おからとか、そういうので摂ってあげてほしいんです。できたら。

これと、一時的な抗生物質などで、今回は治めてみようと思います。
▼【2018.8.1 追記】▼
読者様から、「抗生物質使って大丈夫なんか?」というご指摘をいただきました。
確かに、抗生物質の多用による腸内細菌をはじめとする常在細菌への悪影響についての検討がされるようになってきており、それを心配して抗生物質を控えておられる方には、疑問の残る書き方をしてしまったようです。
ごめんなさい。
ご指摘感謝します。
抗生物質について、少しだけ追記させてください。
今回は4つの観点から、抗生物質を使いました。
- 大人であること
17歳くらいまでは、胸腺という臓器による免疫力の教育が終わっておらず、腸内フローラバランスも変化しやすいです。
ですが、わたしは28歳なので、すでに一人の人間として安定した腸内フローラを獲得しています。
この場合、多少の抗生物質で大きな影響を受けることは考えにくく、むしろアトピー患者様でも一時的な抗生物質含有ステロイド剤の併用で治りが早かった方もおられます。
- 短期間の使用であること
今回は、抗生物質含有ステロイド剤の使用は6日間でやめました。
自己判断でやめると、薬に中途半端に耐性のある菌たちが増殖してしまうかもしれないので、主治医の指示を仰ぎました。
ていうか、わたしの主治医が田中先生……(鼻血ゲフゥっ)
- 塗り薬であること
今回使用した抗生物質は、塗り薬でした。
普段は悪さをしない皮膚の常在細菌が、体調の微妙な変化による免疫力の低下、汗、その他の家事などで増殖してしまったものと思われます。
消化管を通過するわけではないので、腸内細菌への影響も少ないと判断しました。
- そもそも抗生物質の腸内細菌への影響について
抗生物質万能説から一転、「抗生物質はすべからく悪者!」という認識が一部で広まりつつあります。
使用すると、腸内細菌が死んでしまうという言葉だけが独り歩きしている感じもあります。
今回わたしが使ったのは、「ゲンタマイシン硫酸塩軟膏」というものです。
これは、「細菌のタンパク質の合成を阻害し、増殖を抑える」作用があり、殺すことはしません。
確かに有益な菌の合成も抑えるんですが、一時的にブワッと増えてしまって悪さをしている菌は、一旦「おやすみ」していただこうというイメージです。
プールの中で墨を吐き続けているイカを想像してください。
頑張って水を足して透明に近づけようとするんですが、次から次に墨を吐かれると、なかなか透明になりません。(常在細菌の働きを応援し、ナチュラルに治そうとした場合)
イカの口を抑えて、「なあ、ちょっと静かにしてくれたら、お姉さんうれしいナ(ハート)」とかなんとか言って墨を止めて、透明な水を追加したほうが、早いわけです。(抗生物質の一時的な使用)
逆にわかりにくかったらすいません。
ちなみにこれでイカは死んでいません。イカの周りの、墨を吐かないお魚も死にません。(その時だけ増殖はできなくなるんですが)
ちなみに、せっかく抗生物質を使うのなら、「これは毒だけど一時的に……」という感覚ではなく、「これが今のわたしを助けてくれるいい薬なんだ」という感覚で使っていただくと、臓器間の通信力が高まって、効果も高まるそうです。(肝臓での解毒の采配とかが変わります)
※所長からのコメント
抗生剤とステロイド、どちらも諸刃の剣ですよね。
しかし、不必要に恐ることはありません。ステロイドはヒトの身体でも作っているし、必要なホルモンで、召し上がった物から作られます。
▲ここまで追記▲
シンバイオティクスな食事を目指す
体に有益な菌である「プロバイオティクス」。
腸内細菌たちが活躍する材料となる「プレバイオティクス」。
そのどちらの面も併せ持つ食べものとして、「シンバイオティクス」というものが登場してきだしています。
「りんごとかぼちゃの甘酒ヨーグルト(納豆キムチ味噌乗せ)」みたいなパーフェクトな料理がそれにあたります。(トッピング選んだ奴の顔が見たい)
あと、これ見て。

わたしがひいきにしている、ビスコ様からシンバイオティクスが登場していました。
実際の効果はわかりませんけど、好きなんで食べます。
「これはエクオールになるんだー!!」って思いながら、食べます。
アトピー患者さん、肌荒れにお悩みのみなさん。
少しでもエクオール産生株を持っているタイプなら、この方法をで一緒に頑張りません?
持っていないなら、もしよければ移植を検討してみてください。
エクオール産生株持ってるかわからん!
という場合は、簡単に検査できるキットもいくつか販売されているようですので、見てみてください。
乾燥肌と言えば冬ってイメージですが、汗をかくとアトピーなどの肌荒れは悪化しやすいので、クーラーの効いた部屋でお過ごしください。
肌がつるつるで、むしろ脂ギッシュだぜって方は、クーラーの電気資源をアトピーの方に回してください。
汗をだらだらかきながら、ビール飲みましょうビール。(誰かビアガーデン一緒に行きましょ)
この記事を書いた人

- 研究員(菌作家)
-
自分の目で見えて、自分の手で触れられるものしか信じてきませんでした。
でも、目には見えないほど小さな微生物たちがこの世界には存在していて、彼らがわたしたちの毎日を守ってくれているのだと知りました。
いくつになっても世界は謎で満ちていて、ふたを開けると次は何が出てくるんだろう、とわくわくしながら暮らしています。
個人ブログ→千のえんぴつ
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《特許出願中》
腸内フローラ移植
腸内フローラを整える有効な方法として「腸内フローラ移植(便移植、FMT)」が注目されています。
シンバイオシス研究所では、独自の移植菌液を開発し、移植の奏効率を高めることを目指しています。(特許出願中)
“アトピー患者にとって、エクオール産生株の腸内細菌がいかに大事かという話。”へ4件のコメント
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いつも楽しく拝読し、勉強させてもらってます。
今回の記事中の下記が気になりました。
>これと、一時的な抗生物質などで、今回は治めてみようと思います。
抗生物質ですか?
抗生物質を服用すると、どんと腸内細菌が減って、ええことなど何にもないという認識でおりましたが、これは「毒も使いよう」ということですか?
読者が闇雲にマネするのは良くないので、差し支えない範囲で、原理だけでも追記していただけるとうれしいのですが、いかがでしょうか?
タペタ王子さん
コメントありがとうございます。
確かに、細菌への影響を考えて抗生物質の使用を控えられている方には「?」な書き方をしてしまいました。
ご指摘ありがとうございます。
早速、追記いたします!
さっそくの追記をありがとうございます。
そうか、ゲンタマイシン入りの軟膏ですね。
私もコメント書いて1時間くらいしてから「あれ、ひょっとして軟膏のことだったんちゃう?」と思い至った次第です。
これからも楽しくて有用な記事をたくさん、期待してます。
よろしくお願いします。
タペタ王子さんのように、私よりもはるかに知識のある方が読んでくださっていると思うと、緊張でちびりそうです。笑
とても勉強になり、励みになります。
ありがとうございます。
今後とも精進してまいります!