【前編】若々しさも病気知らずも長寿も、DNA修復力(と有機酸)にかかっている!
「涙もろくなったなぁ」と思うことがよくあります。
90歳の祖父の同級生(お葬式が初対面)のお葬式で、ぼろぼろ泣いたり。
YouTubeでBGM代わりに流してる曲すべてに感動して、泣きすぎて仕事の手が止まったり。
「みんな、頑張ってるよなあ」と突然のねぎらいの気持ちが訪れたり。(重症)
こんなふうに感情があふれるのは、体のどこかに不調があるサインかもしれないんですって。
わたしたちの身体の不調、病気、老化につながる「DNAの損傷」を修復するために、身体や腸内細菌たちがすごく頑張ってくれていることがわかってきました。
今日はみなさんに、その一部をお話しします!
目次
病気の原因にも結果にもなる、「DNAの損傷」とは?
まずこれだけは言わせてください。
わたしたちの身体は、神がかっています。
こんなん、人間ごときはせいぜい「ある程度解明」することはできても、人間の身体と同等の仕組みを作り出すことはできへんと思う。
そういえば、前に読んだ小説でこんなセリフがありました。
「人類は、人類が作り出したものではないのだから、人類が何をしでかそうと、どこへ向かおうと、我々に責任はないのだ」
まあ、確かに筋は通ってるよな。(その発言した人、なんか企んでるで)
我々ヒトの身体には、37兆(〜60兆)個の細胞が存在し、それらが日々コピーされて役目を終えて入れ替わりながら、常に新しいメンバーが働いてくれています。
その細胞の中には、わたしたちを作る設計図である「DNA」が細胞ひとつひとつに入っています。
このDNA、ものすごく重要なわけやから、さぞかし厳重に管理されていると思うでしょう。
コカ・コーラの製法ぐらい見つかりにくい場所にあって、5億円の金の延べ棒くらいのセキュリティレベルで、
「指一本触れられねえ! 何なら、この目で拝むことさえできやしねえ!」って感じだとお思いでしょう。(キャラ設定が謎)
実は、DNA分子の損傷は正常な代謝の過程でも1日1細胞あたり5万〜最大50万回程度発生することが知られています。
大事な大事な箱入り娘だと思っていたんですが、実はDNAって傷だらけの戦士だったんですね。
ちなみに、DNAにはチミン アデニン グアニン シトシンの「塩基」と呼ばれるパーツが、ある一定の順番に並んでいます。
DNAの損傷というのは、例えばその塩基が酸化したり、DNAをコピーする時に塩基の並び順がおかしくなったりすること。
英語のテストで間違えた単語を10回ずつノートに書かなあかんくて、
orange、orange、orenge、orenge、orenge、orenge、
うーーーーーわ!!!!
途中からミスってるやん。。。。やり直しやん。。。。
ってイメージな。
でも大丈夫。間違ってても、「DNA修復」という仕組みが備わっているんです。(赤ペン先生やな)
ちなみに、「人間の身体は神がかってるのに、なんでこんなに損傷が起こりまくるんか?」って思いません?
先ほどのorangeの例で言うと、途中からorengeってなってることに気づかずに、orengeで覚えちゃいましたってことありますよね。
ほんでその人が「オックスフォード英英辞典」みたいなんの編集長になって、世界的にorengeのほうが浸透しちゃいましたってパターン。(orangeの綴り間違える人が、英英辞典の編集者ってのも無理あるけどな)
これが、突然変異というやつです。
突然変異が起こると、進化のスピードが一気に速まります。
DNAの損傷にも意味があったんですねえ。神秘ですねえ。
DNAは損傷し、そして修復していく
普通に暮らしているだけで、DNAは損傷していきます。
つまり、普通に細胞が代謝されて、入れ替わる中でエラー(損傷)は起こっていくんですということ。
それに加えて、以下のような環境要因もDNAを損傷させます。
- 「ああっ、太陽が、太陽がぁぁぁ」(紫外線)
- 電子レンジで冷凍食品チンしながら、テレビ見てスマホ見て、IHクッキングヒーターでお湯沸かす(波長の短い電磁波の照射)
- タバコ、柔軟剤、洗剤、化粧品など(人造の変異原性物質)
- 癌の化学療法あるいは放射線療法
- 精神的なストレス
進化にとっては有益な面もある「DNAの損傷」ですが、儚くか弱い生命体であるわたしたち(個体)は、それでは困ります。
だって80年か90年か100年か、それくらいしか生きられへんのに、「2万年後の人類のために、今の損傷を受け入れよう」ってなれる?
そんなん、「会社の200年後の業績アップのために、1年間徹夜してくれへん?」って言われてるようなもんやで。
無理やわ。っていうか、嫌やわ。
一方で、生きているだけで起こる1細胞あたり1日5〜50万個の損傷を、同じスピードで修復していってくれる仕組みが、わたしたちの身体にはあります。
そろそろ「今年の汚れ、今年のうちに!」というカビキラー系のコマーシャルが流れ出す時期ですが、
まさに「今日の損傷、今日のうちに!」の勢いで、一生懸命修復してくれます。
DNAの損傷スピードが修復スピードを上回ると?
このように、DNAの損傷に対してDNAの修復がきちんと働いていると、個体の健康は維持されたまま、進化の可能性も残すことができます。
年を取っていくとDNAの修復スピードが遅くなって、老化(細胞老化)が起こり、やがて死に至ると。
けれど、先ほどの損傷の原因を見てもらったらわかると思うんですが、現代人の生活ってDNAの損傷が起こりまくっているんですね。
DNA修復がDNA損傷の発生に追いつかなくなると、まずは老化(細胞老化)が起こるはずなんです。
損傷のスピードがあまりに早すぎるか、修復のスピードが遅すぎると、細胞の自殺(アポトーシス)が起こります。
これ、細胞にとっては苦肉の策なんです。自分の細胞がガンにならないための。
ここまでをまとめると、DNAの損傷が修復スピードを追い越してしまうと、このような事が起こります。
- 老化(細胞老化)が起こる。
- 細胞の自殺(アポトーシス)が起こる。
- 最悪の場合、細胞がガン化する。
今、人類にとってガンが脅威になっていますが、本来の人間の身体は細胞がガン化しないような仕組みを持っているはずなんです。
その仕組みではカバーできないほど、不自然な暮らし方をしているということ。
ガンだけではなく、DNAが損傷しっぱなしになっている状態が、ほとんどの病気の原因になっていると言っても過言ではないんです。
アカン!!!
できるだけ損傷したくない!
そしてできるだけ修復したい!
と、まあ思いますよね。
できるだけお金をかけずに!
つらい食事制限とかもなしに!
便利な生活も手放さずに!(わがままやな)
そんなわたしたちに救いの手を差し伸べてくれているのは、またしても腸内細菌でした。
次回に続きます。
【後編】若々しさも病気知らずも長寿も、DNA修復力(と有機酸)にかかっている!
この記事を書いた人

- 研究員(菌作家)
-
自分の目で見えて、自分の手で触れられるものしか信じてきませんでした。
でも、目には見えないほど小さな微生物たちがこの世界には存在していて、彼らがわたしたちの毎日を守ってくれているのだと知りました。
いくつになっても世界は謎で満ちていて、ふたを開けると次は何が出てくるんだろう、とわくわくしながら暮らしています。
個人ブログ→千のえんぴつ
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