1982年から続けてきた微生物の基礎研究や医療機関における臨床を経て、独自の腸内フローラ移植(便移植)方法を開発しました。微生物たちとの共存共栄には、無限の可能性があると信じています。
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腸内細菌の多様性の大切さを、クロストリジウム・ディフィシル感染症から学ぶ

多様性

「多様性」、あるいは「ダイバーシティ」という言葉をこれまで一度も聞いたことがないという方は少ないでしょう。

いろいろな働き方ができるようにしていこうよ
LGBTや障害だって、互いに認めあっていこうよ
社内で多様性を発揮してもらって、クリエイティブな仕事をしていこうよ

といった感じです。

人間というものはもともと十人十色で、今さらダイバーシティだかなんだか言われなくても多様性に満ちているんやで、とおっしゃる方、まったくその通りでございます。

それでも、そこに存在する多様性を社会が認めようとしているという流れは、社会に余裕がある証拠でもあるし、いいことなんではないかなと思います。

もし人間が一人の例外もなくまったく同じだったら、ある意味で平和かもしれませんが、心底つまらない社会になるのではないでしょうか。
というか、一人の人間が「その人」として存在する意味のようなものが消えてしまうような気がして、怖くもあります。

人間社会でよく使われる「多様性」ですが、一人の人間の腸の中に社会を形成している「腸内細菌たち」にとっても多様性が大事なのをご存知でしたか?

今日は、腸の多様性、それから腸の多様性が失われるとどうなってしまうのかをお話します。

今回はおふざけなしの記事にしようと思うので、みなさん見張っててくださいね。(すぐボケたくなるし、ボケた以上突っ込まないわけにはいかない)

個性豊かな腸内細菌たち

個性

わたしたちの腸内には、わずか全長数マイクロメートルの多種多様で個性豊かな腸内細菌たちがたくさん住んでくれています。
健康な人の場合、細かく分けると3万種類、数は100兆以上にものぼります。

地球上の人類が73億人ぐらいですから、そのそれぞれに100兆匹がいて、しかも他の生物にも腸内細菌はいて、と考えると、この地球を支配しているのは腸内細菌ということになりそうですね。

でも彼ら・彼女らはわりと謙虚な方たちなので、基本的に人間に悪さはしません。
それどころか、人間と腸内細菌は持ちつ持たれつの関係で、これまで共進化してきました。

一般的に「善玉菌」「悪玉菌」「日和見菌」という名前で腸内細菌を区別したりしますが、それはわたしたち人間が勝手にそんなふうに呼ぶだけで、腸に住む菌はみんな必要な菌たちだ、と清水さんがいつも教えてくれます。

例えば、「クロストリジウム」という種類に属する菌は一般的に「悪玉菌」と呼ばれています。
ですが、この菌たちがいなくなると、免疫機能が正常に働かなくなってしまうことがわかっています。

わたしはこれ、「ジャイアン死んじゃイヤン」現象と呼んでいます。
ジャイアンは、のび太にいじわるしてくる悪ガキです。
でも、映画ではジャイアンはめちゃくちゃ頼りになります。

ジャイアンがいなかったら、困る。
逆に、のび太ばっかりやったら、なんか世の中頼りなくなりそう。
悪玉菌って、イメージそんな感じ。

そもそも人間の腸内細菌たちは、人間の免疫機能がわざわざ選んで住み着いてもらっている「選ばれし精鋭たち」なので、どれも必要な菌であることは言わずもがななのです。
その話をしだすとまた長くなるので、別の機会に。

腸内細菌の多様性が崩れたら

多様性崩れる

これまでの話で、どの菌が身体によくてどの菌が身体に悪いかということは一概には言えない、ということがおわかりいただけたかと思います。
それぞれがそれぞれの役割を果たしてくれている。

つまり、腸内細菌たちは学芸会で行う「シンデレラ」の役を演じているようなものです。

継母がいて、いじわるなお姉さんがいて、魔女がいて、かぼちゃがあって、もちろんシンデレラと王子様がいて、木や小動物の役の子なんかもいたりして。
みんながみんなシンデレラと王子様を演じたら、わけがわからなくなってしまいます。

クロストリジウム・ディフィシル感染症

腸内細菌の多様性を語るうえで外せないのが、「クロストリジウム・ディフィシル感染症」です。

クロストリジウム・ディフィシル感染症は、「偽膜性大腸炎」とも呼ばれ、下痢や吐き気を引き起こし、さらには敗血症、最悪の場合には死に至ります。
特に欧米で患者数が増えていて、年間1万4千人の死者が出ているとも言われます。

聞きなれない病気かもしれませんが、この病気はまさに腸内細菌の多様性が失われることで起こる病気です。

どういうことか?
感染症にかかったり、外科手術をする場合、強い抗生物質を多量に摂取することがあります。
わかりやすい例で言えば、風邪をひいて近くの診療所に行った時に出される薬も、多くは抗生物質です。

抗生物質は身体で悪さをする菌を殺してくれる一方で、身体に有益な腸内細菌たちもたくさん殺してしまうのです。
それで腸内フローラバランスが崩れてしまうだけならまだ救いがあるのですが(それでも十分悪いのですが)、なんと抗生物質に耐性を持つ菌だけが異常繁殖してしまうことが起こることがあるのです。

この菌が、「クロストリジウム・ディフィシル」です。
環境に適応し、より強い抗生物質にも耐性を獲得してしまうこの菌のことを知り、わたしの頭にはゴ○○リの姿が浮かびました。
彼らは台所などでかさかさと動いているだけなので、クロストリジウム・ディフィシルよりも害が少ない存在かもしれません。

腸内がクロストリジウム・ディフィシル一強状態になってしまうと、腸から血液中などに毒素が漏れ出し、悪さをしてしまいます。

多様な腸内細菌を育てるために

腸内細菌を育てる

「クロストリジウム・ディフィシル感染症」が抗生物質の多量摂取で起こる可能性があるとはいえ、抗生物質を完全に避けることは時として難しいこともあります。
大きな手術や感染症治療に抗生物質を使わなければ、腸内細菌たちは生き残ることができるかもしれませんが、人体に深刻な影響を及ぼす細菌に命を奪われかねません。それでは本末転倒です。

長いあいだ有効な治療法がないままだったこのクロストリジウム・ディフィシル感染症に腸内フローラ移植(糞便微生物移植)が9割以上の効果をあげ、2014年には米国の政府機関FDA(アメリカ食品医薬品局)が腸内フローラ移植を第一に選択すべき治療法であると位置付けました。

このように、自身の努力では改善が難しい場合には、腸内フローラ移植がとても役立ちます。

けれど、日常の積み重ねによって、少なくとも「いい腸内フローラバランス」を目指すことは可能です。

記事が長くなってしまったので、この話は次回に持ち越します。
(→腸内フローラバランスを食事で改善するための7箇条

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自分の目で見えて、自分の手で触れられるものしか信じてきませんでした。 でも、目には見えないほど小さな微生物たちがこの世界には存在していて、彼らがわたしたちの毎日を守ってくれているのだと知りました。 いくつになっても世界は謎で満ちていて、ふたを開けると次は何が出てくるんだろう、とわくわくしながら暮らしています。 ご挨拶と自己紹介も併せてご覧ください。
腸内フローラ移植(便微生物移植)を知っていますか?
わたしたちの腸に暮らす腸内細菌たちと健康との関連が、世界中で次々に明らかになってきています。 「すべての病気は腸から始まる」と言われるように、腸内環境が崩れると病気を引き起こすことが知られています。
健康な人の腸内フローラを移植することで、ふたたび健康を取り戻そうという治療法に期待が高まっています。
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