1982年から続けてきた微生物の基礎研究や医療機関における臨床を経て、独自の腸内フローラ移植(便移植)方法を開発しました。微生物たちとの共存共栄には、無限の可能性があると信じています。
シンバイオシス研究所 -微生物との共存共栄-
上記の電話は腸内フローラ移植臨床研究会につながります
受付時間:10:00〜17:00(土日祝除く)

【前編】自分の細胞と闘っている!(腸内細菌とがん免疫療法)

がん免疫療法

2人にひとりががんになる。
3人にひとりががんで死ぬ。

わたしたちが天寿を全うできない理由の一つに、がんの存在があります。
(それより上のがんもどきの画像についての言及は)

でも、「はい、あなたがんです」と病院で言われたら、かなりショックですよね。
心の準備なんてまったくできてない。
自分だけは、2人のうちの「もうひとり」やとどこかで信じています。(だってタバコも吸ってないし、あんまり外食もせんし、そんな馬鹿な)

がんになるまでの道のりと、がんになってからの道のり

胃がん、肝臓がん、膵臓がん、乳がん、子宮頸がん、大腸がん、前立腺がん……などなど、
「がん」と言ってもいろいろあって、原因も治療法も違います。

今は三大標準療法(外科手術、放射線治療、化学療法(抗がん剤))があり、初期に見つかれば標準療法で完治する人も多くいますが、ステージが進んでしまうと標準療法のおかげで体力が奪われ、寿命を縮めてしまう人もいるそうです。

罹患数の多さや、原因やアプローチの多様さから、がんに関してはとにかく溢れかえるほどの情報と、民間療法と呼ばれる保険適用外の治療法が存在します。

先日の記事で、人間の細胞には日々エラー(損傷)が起こっていて、それが修復できなくなると細胞ががん化してしまうことがあるというお話をしました。

【前編】若々しさも病気知らずも長寿も、DNA修復力(と有機酸)にかかっている!

細胞のがん化は、それだけでは「がん」と診断されるところまでは進みません。
自然免疫をはじめとした自分の身体の免疫システムが、がん細胞の芽が小さいうちに摘んでくれるからです。

がん細胞はもともと自分の細胞だったものです。
なので、わたしたちの身体はその「仲間」をできるだけ殺さなくても済むように修復するのですが、
残念ながら細胞ががん化してしまったときは、その細胞が増殖して自分を攻撃してこないうちに殺してしまいます。

なんとかなだめすかしていた社員がついに「サボろう病」にかかってしまって、
それが他の社員にうつるまえに彼を暗殺してしまう人事課みたいなもんですね。(これがほんまのブラック企業や)

免疫力が落ちるとがんになる

残念ながら「がん化」してしまった元・自分の細胞を死に導く人事課の役割を果たしてくれているのは、NK細胞などの自然免疫チームがメインです。
あれ、NK細胞? 自然免疫ってなんやったっけ? という方はこちらに書いております。

自然免疫がしっかり働いてくれているあいだは、がん化した細胞は小さいうちに叩かれます。
会社(身体)という大きな組織を守るために、小さな犠牲はやむを得ないというわけです。

ところでみなさん、思い出してください。
獲得免疫は一度獲得すれば一生忘れることがないのですが、自然免疫は身体や心の状態によって落ちることがあることを……

獲得免疫はアップデートできる?なぜ他人の腸内フローラが定着するのか。【腸と免疫シリーズ11】

こんなにアホほど過去記事を引用しているのは、わたしが一夜漬けタイプだからです。すみません。(書いたことさえ忘れている)

NK細胞をはじめとした自然免疫は、歳を取ったり、悪い生活習慣、ストレスで弱ってしまいます。
飢餓や感染症などで死亡することの少なくなった現代人は、寿命が圧倒的にのびました。

つまり、「高齢になるまで生きている=自然免疫力が落ちながらも生きている」ということになり、がん細胞をやっつけることができずにがんを発症してしまっているようです。
それに加えて、生活習慣やストレスは思い当たることいっぱいですね。
健康志向が高まっているはずなのに、食生活や睡眠、仕事や家庭環境から受けるストレスは増える一方な気がしています。

がんの怖いところは、今の生活の良し悪しが、5年や10年しないとわからないこと。
繰り返しお話しているように、がんというものはそうそうなるもんじゃありません。

  1. DNAの損傷を修復しきれなくなり、
  2. 損傷の激しい細胞が空気を読んで自分で去っていくのさえ追いつかず、
  3. がん化した細胞の芽を自然免疫がカバーできなくなり、
  4. がんになる。

がんになるまで、身体の中でこんなに何重にもそれを阻止する機構が働いているのに、2人にひとりががんになる。

5年10年前と今を比べて、果たして世界は人類の身体に優しい環境になっているかというと、残念ながらどうもわたしにはそう思えません。
だって高校生のときは、おやつにラーメン食べても胃もたれしなかったじゃないですか。(それお前が老いただけや)

がんになると免疫力が落ちる

免疫力(自然免疫力)の働きが弱るとがんを発症しやすいということがわかりました。
今度は逆に、がんになると免疫力が落ちてしまうこともわかっています。

がんは自分の細胞なので、免疫などの自分を守るために発達している仕組みを悪用して増殖します。
代表的なものが、「免疫細胞の働きを弱める」というものです。
この働きには、2つあります。

1,T細胞(CTL)の活性を抑制

細胞が完全にがん化すると、T細胞(CTL、キラー細胞)ががんを攻撃しに行きますが、がん細胞はずる賢いのでその働きを弱めてしまいます。
ちなみにここで言う「T細胞」とは主に獲得免疫の場面で活躍する子で、先ほどのNK細胞とはちょいと違います。

この一連の流れ、ちょっと絵で説明しますね。

がん細胞とT細胞
まず、これががん細胞とT細胞。(手書きと写メーーー!!!! アナログ!!!)

がん細胞とT細胞
1,がん細胞が怪しい動きを見せる(抗原提示)

がん細胞とT細胞
2,それにT細胞が気づき、攻撃を仕掛ける

がん細胞とT細胞
3,ここからが、がん細胞の本領発揮です。
わたしたちの免疫は、自分を間違って攻撃してしまわないように、攻撃担当細胞(T細胞)の好みを熟知しています。

がん細胞はもともと自分の細胞だったので、T細胞の好みの情報は漏れてしまっているんですね。

例えばT細胞が攻撃してくると、
「はい、白ワインお好きでしょう」と白ワインを差し入れしてきます。

それがまた、T細胞の好みドンピシャなわけ!

免疫チェックポイント
4,それだけで騙されるほどT細胞もアホではないのですが、さらにツボをついた貢ぎ物をしてきます。

普段たくさん働いて肩が凝っているT細胞に、最新のマッサージ機をプレゼントしてくれることもあります。
ちょうど肩が凝っているT細胞は、
「いやー、自分わかってるやん」と骨抜きにされてしまいます。

3や4で、こんな文字を書いています。
PD-1(T細胞側)やPD-L1(がん細胞側)
CTLA-4(T細胞側)やB7(がん細胞側)

これは、T細胞の細かい好みに対して、がん細胞がドンピシャの貢ぎ物をしているという意味です。(鍵と鍵穴という言い方をされたりもします)
これによって、T細胞はがん細胞を攻撃する気が失せてしまいます。

2,Tregなどの免疫抑制細胞を誘導

T細胞の好みを熟知して、それを適切なタイミングで差し出すなんて、まるで高級スナックのママか一流秘書みたいですよね。

ところがこれだけでは終わらないのが、がん細胞。
普通の細胞は、自らの役割も引き際もちゃんと知っていて、働いたあとは次の世代に場所を譲ります。

でも、がん細胞は違います。
自分が増殖することしか頭になく、そのためにはどんなことでもします。

T細胞の好みを知っていても、たった一つ知らないものがあったら、攻撃されるかも知れない。
そう思ったがん細胞は、Treg(制御性T細胞)という細胞に取り入ります。

Tregとは、みなさんご存知のとおり「T細胞の働きを抑える」という働きがあります。
これは、攻撃役のT細胞が間違って無害な食べ物や、自分の細胞に対して反応してしまわないようにするために、とても大切な細胞です。

言うところの、T細胞の「オカン」みたいな感じですね。

T細胞:「あ! 食べたことのないチョコレート入ってきた!」

Treg:「大丈夫やねんで。それ、美味しいやつやからな」

という感じで、チョコレートでアレルギーを起こさないようにしてくれます。(経口免疫寛容)

がん細胞はオカンを連れてきて、取り入ります。

免疫チェックポイント
※突然画像が明るくなったのは、この時点で「スキャンすればいいんや」と気づいたからです。

ここではこんなことが起こっています。

T細胞:「あ! がん細胞や!」

がん細胞:「ちゃうで、ほら。君のオカンと仲良いねんから」

Treg:「そうよ。ほらこの子、あたしの大好物のチーズケーキ持ってきてくれたんだから」

T細胞:「くっそ〜。オカンが近くにいたら、攻撃できない。。。」

がん細胞:「愚民がぁ〜。あーはっはっはっは」

ね。
がん細胞、なんてずる賢くて卑怯者なんやろ。
元・自分の細胞やったとは信じがたいわ。

次回は、こんなずる賢く増殖するがん細胞に対抗する救世主が現れたお話と、腸内細菌が「がん」とどんな関係があるのかというお話。

The following two tabs change content below.
自分の目で見えて、自分の手で触れられるものしか信じてきませんでした。 でも、目には見えないほど小さな微生物たちがこの世界には存在していて、彼らがわたしたちの毎日を守ってくれているのだと知りました。 いくつになっても世界は謎で満ちていて、ふたを開けると次は何が出てくるんだろう、とわくわくしながら暮らしています。 ご挨拶と自己紹介も併せてご覧ください。
腸内フローラ移植(便微生物移植)を知っていますか?
わたしたちの腸に暮らす腸内細菌たちと健康との関連が、世界中で次々に明らかになってきています。 「すべての病気は腸から始まる」と言われるように、腸内環境が崩れると病気を引き起こすことが知られています。
健康な人の腸内フローラを移植することで、ふたたび健康を取り戻そうという治療法に期待が高まっています。
logo
腸内フローラ移植(便微生物移植)とは

移植の流れ・費用

移植が受けられる医療機関

お問合せ・移植相談

コメントを残す