腸内フローラ移植(便移植)の研究開発機関です。腸内フローラ移植臨床研究会の専属研究機関として、全国の医療機関と連携しています。
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【その1】バイオインフォマティクスで生命を読み解く。医療を支えるのは、人の目かデータか?

バイオインフォマティクス

何でもかんでも自動化されるのって、便利さと寂しさの両面がありますよね。

疲れ切って、イオンの店員さんとさえ話したくないときは、セルフレジで済ませられるありがたさを感じる。
一方で、昔ながらの八百屋のおばちゃんと「寒くなってきたねえ」なんて会話を交わしながら、閉店間際にアジの刺身を勧められて断れず買ってしまう心地よさもあったりする。(あれ、八百屋では)

どんどんデータが蓄積されて、傾向を読み解いて、Amazonの「あなたへのおすすめ」がかなり的確にツボを突いてくるようになった今日このごろ、
「人類はどこへ向かっているのだろう」としんみりする瞬間もあったり。

今日は、大量のデータを解析することで、我々の世界(そして医療界)が明るくなるのかどうか、ちょっと考えてみたいと思います。
Amazonの「おすすめ」のようなビッグデータによる消費者行動分析が目立ちやすいですが、ヒトや細菌たちの「生命」に関わる分野では、エライことになっています。

仮説・実験・観察

細菌実験

微生物学を含めたこれまでの生物学は、仮説・実験・観察の繰り返しで進められてきました。

「ネコの毛を青く染め、どら焼きを与え続けるとドラえもんになるのではないか」
これが仮説ですね。

そして、あらゆる要素を少しずつ変えながら、実験と観察が繰り返されます。

ネコの種類を変えるべきか?
やはりどら焼きは三笠でいくべきか?
あのぽっちゃりフォルムを実現するためには、日に10個は与えるべきか?

ここで、仮説はあくまでもこれまでの経験と知識から構築されるもので、「研究者の勘と頭脳頼み」になります。
膨大にある可能性を絞り込んでいくには、とにかく手を動かして実験して確かめる以外にありません。

生物学ではないですが、発明王として有名なエジソンは、こんな言葉を残しています。

I have not failed. I’ve just found 10,000 ways that won’t work.
「私は失敗したことがない。ただ、1万通りのうまく行かない方法を見つけただけだ。」

トライアル・アンド・エラー。
成功するまで、ただひたすら仮説と実験ですね。

こういった研究のあり方を一変させたのが、ヒトゲノム計画を代表例とするDNAの塩基配列解析です。

大量のデータをどう読み解くか? バイオインフォマティクスとは

バイオインフォマティクス

最近、次世代シーケンサーで腸内細菌たちの一部の遺伝情報を見る作業に携わらせていただくようになり、実はものすごく腰が引けています。

「ちょっと待って……こんなん何もわからんで……」

シンバイオシス研究所で、自分が文系出身なりに日々勉強させていただきながら試行錯誤してきましたが、急にレベルアップしている感がある。

次世代シーケンサーというのは、とにかく生きてても死んでても、遺伝子のタンパク質の情報を読みに行くことで、その有り様を解明しましょうということです。
ヒトゲノム計画で、人間の遺伝子が全部解明されたので、お次は人間以外、例えば腸内細菌たちの遺伝子も見ちゃいましょう! と、「ヒトマイクロバイオームプロジェクト」が始まってから、もう10年以上が経過しました。

塩基配列というものがわかるようになってから、もうとにかく大量のデータだけは出てくるようになりました。
でもこんなん、真剣に頭いい人しか読み解かれへんで……

ちなみに、塩基配列というのは、「ちみん あでにん ぐあにん しとしん」とか言われるアレです。

ゆうたら、レゴブロックの「赤 黃 青 緑」みたいなもんです。
それがどういうふうに組み合わされるかによって、どういう「指示書」になるかが決まります。
(ハイ、君の手は二本ねー。え? 三本ほしい? だめだめ、気持ちはわかるけど。)

ちなみに、先日うちの研究所でマウス実験した際の、腸内細菌たちの塩基配列をちらっとお見せします。
(ちみん あでにん ぐあにん しとしん)

CGCTCCTTCCTT
CGAGCGCCGTCC
TCGAGAGTCCGG
GCTCGGCCGGCC
AGCTCAGTCCGG
ACTGCCGCGTCC
TTACTTCTCCGG
TGACGCGCGGCC
AATGATCTCCGG
AAGCGTACGTCC
TTATCAGTCCTT

例えば腸内細菌の中の大腸菌は、このアルファベットが460万個あるんですが、そのうち1,500個を読むことで、「あなたこのグループね」と分類するのが次世代シーケンサーです。

意味わからないですよね。わたしもわからないです。(最近、この分野の迷宮にハマってる)

話を簡単にすると、腸内細菌たちの集合体である腸内フローラを、大阪市の中学校が合同で開催する合唱コンクールやとしましょう。
みんな同じような年齢で、顔も体型も似たような感じで見分けがつきません。

そこで、学校ごとに違う制服を来ているおかげで、「君、東中の子か」とわかるというわけです。
この制服の役割が、1,500個の塩基配列。(16Sと呼ばれます)

バイオインフォマティクスで何が可能になるか?

未来の医療

バイオインフォマティクスのすごいところは、その処理能力です。
人間の頭では到底処理しきれない大量のデータを、目にも留まらぬ速さで計算し、その傾向や類似性を見つけてくれます。

バイオインフォマティクスはまず、「むっちゃ速く正確に計算する」、「条件に当てはまるものを絞り込む」というところから始まりました。

婚活サイトで、条件を絞り込むときのことを想像してください。
「70歳以下で、年収は100万円以上で、日本在住」
(条件ゆる!!!)

こういう感じで絞り込んだ上で、「そのうち朝食がパンの人とご飯の人の比率」なんてことが、一瞬でできてしまいます。
(その数値にいったいどれほどの意味が)

そのバイオインフォマティクス、実はすでに第2世代に突入していると言われています。

「ヒトと腸内細菌たちのゲノム(遺伝情報)を比較すると、人間と細菌たちがどのように共生し、進化してきたかがわかるのでは」というのも、
このバイオインフォマティクスの考え方を基本としています。

それから、病気になりかけている細胞を見つけ出すのにも有効です。
わたしたちの細胞は日々新しく生まれ変わっているわけですが、それを複製する時にどうしてもエラーが起きてしまいます。

細胞の中の塩基配列(ちみん あでにん ぐあにん しとしん)の並び順は、健康だと基本的に変わらないのですが、
ちょっとストレスがあったり、風邪を引いていたりすると、コピーの時に順番を間違えてしまうことがあります。

これ、放っておくと細胞がガン化してしまうので、早めに修復してやらないといけませんが、パット見ではわからないので、深刻な状態になるまでなかなか見つけられないんですね。

バイオインフォマティクスの技術が進むと、こういった「順番間違ってまっせ〜」というのをいち早く見つけてくれるようになるかもしれません。
遺伝子レベルの検査が、これからどんどん出てきそうですね。

長くなったんで、次回に続きます。
次は、データを細かく解析することで、どこまで「個人」に向けた医療ができるようになるのかを考えてみます。
【その2】バイオインフォマティクスで生命を読み解く。医療を支えるのは、人の目かデータか?

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自分の目で見えて、自分の手で触れられるものしか信じてきませんでした。 でも、目には見えないほど小さな微生物たちがこの世界には存在していて、彼らがわたしたちの毎日を守ってくれているのだと知りました。 いくつになっても世界は謎で満ちていて、ふたを開けると次は何が出てくるんだろう、とわくわくしながら暮らしています。
腸内フローラ移植(便微生物移植)を知っていますか?
わたしたちの腸に暮らす腸内細菌たちと健康との関連が、世界中で次々に明らかになってきています。 「すべての病気は腸から始まる」と言われるように、腸内環境が崩れると病気を引き起こすことが知られています。
健康な人の腸内フローラを移植することで、ふたたび健康を取り戻そうという治療法に期待が高まっています。
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