腸内フローラ移植(便移植)の研究開発専門クリニックです。腸内フローラ移植臨床研究会の専属研究機関として、全国の医療機関と連携しています。
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微生物は殺さずに味方につけるべし。抗菌薬の限界点。

微生物

小学生ぐらいのとき、クラスの中でなんとなく派閥というか、コミュニティのルールみたいなのってありませんでした?
あれ、今思い返すと、ある意味で大人社会よりめんどくさい世界やったわ。

で、担任の先生が変わると、その構成とか、エバりだす生徒のメンツが変わることってありましたよね。これ、うちだけ?

子どもというのは恐ろしく敏感で、柔軟で、時に冷酷なものです。
先生が手を変え品を変え、子どもたちに勉強させようとしたり、いじめをなくそうとしたりするわけですが、その努力を巧妙にかわしてきます。

それと同じようなことが、病原菌と抗菌薬(抗生物質)のあいだで行われているのです。

そういうわけで今日のキーワードは、「薬剤耐性菌」、「菌交代現象」です。

薬剤耐性菌とは

薬剤耐性菌

薬剤耐性菌というのは、その名の通り「薬剤に耐性を持った菌」であり、言い換えると「薬が効かない菌」ということになります。
薬のスペックはどんどん上がっているはずなのに、うまく薬が効かない病気がますます増えているのは、この薬剤耐性菌が増え続けているからなんです。

先生と生徒の話に例えると、
4月とか5月とかは、先生が怒るとみんなしゅーんとして、言うことを聞くわけです。
生徒のほうも先生のことをよく知らないし、とりあえず無難に振る舞うんですね。

で、夏休みも近くなってくるころには、生徒の方もわかってくるんです。

「この先生は、給食を残すと特に怒るよなあ」とか、
「髪型を褒めると、トーンダウンするよな」とか、
「怒られているあいだは晩ごはんのことを想像しておこう」とか、

こんなふうにいろいろと対処法を考え出すんですね。
その結果、先生が怒ってもまったく効果がなくなってしまうと。

このとき、薬剤耐性菌の中でなにが起こっているのかというと、こんな感じ。

薬剤耐性菌

  1. 細菌自体を覆っている膜を変化させて、薬が入って来づらくする(外膜変化)
  2. 細菌に入ってきた毒を外に汲み出してしまう(排出ポンプ)
  3. 細菌の中で抗菌薬が作用する部分を変化させ、いざ抗菌薬が入ってきても効果が出ないようにしてしまう(DNAやRNAの変異)
  4. 細菌に届く前に化学反応で分解してしまう(ベータラクタマーゼ)
  5. 大量のネバネバ液で細菌自体を覆い、薬から身を守る(バイオフィルム)
かしこく治して、明日につなぐ~抗菌薬を上手に使ってAMR対策~

これ、厚生労働省委託事業の会社のサイトなんですけど、わかりやすいですよね。
さすがやわ。

非営利なら引用してもいいらしくて、うちは民間ですけど、非営利と原価割れの区別すらついていないような研究所なんで、かまいませんでしょうか。
薬剤耐性菌について、啓蒙活動をしてまいりますのでね!

菌交代現象とは

菌交代現象

せっかく抗菌薬で病原菌を殺そうと思っても、その結果として薬剤耐性菌がどんどん出てきてしまうと、延々と続くいたちごっこになってしまうんです。
人類がいつまで経ってもエイズウイルスを克服できないのは、こういう理由やったんですね。

人間の体内外には、「常在細菌」という細菌たちが暮らしています。
消化管だけでも1,000兆匹いるといわれるこの細菌たちが、抗菌薬によって弱ってしまうことはよく知られています。

常在細菌たちがわたしたちの健康を守ってくれているのは言わずもがなですが、それを犠牲にしてでも感染源の菌・ウイルスを殺さないと命が危ない、という時に抗菌薬は頼りになる存在です。

でも、肝心のやっつけたいヤツに薬が効かず、まわりの菌たちが被害をこうむるだけだとしたら?
本末転倒もいいところです。

また先生の話に戻ります。(なあ、逆にわかりくくなってない? なあ。)

小学校の先生って、なぜか熱血の人が1学年に1人くらいはいませんでした?
だいたいはめちゃくちゃいい先生なんですけど、たまにめんどくさいときがあるんです。

例えば、終わりの会の延長戦。

沢井 「今日、昼休みに松田くんが小林さんの筆箱を投げて、小林さんの鉛筆が折れました」

日直 「松田くん、なんでですか」

松田 「すみませんで〜した〜ぁ〜」

日直 「松田くん、気をつけてください。それでは終わりの会を終わります。みなさんさような…」

先生 「ちょっと待ってくれるか。これは、小林さんだけの問題ではない。物を大切にする心や、友人との関係づくりにも関わる。今日はとことん、みんなでこの問題を話し合わないか?」

その後、先生による説教二時間。
松田くんは、大乱闘スマッシュブラザーズのことを考えていたので、全く反省せず。

他の生徒、とばっちり。

この二時間、先生の説教を聞いて他の生徒はげんなりしたでしょうし、習い事に遅れた生徒もいるでしょうし、当の松田くんにはまったく効果がないし、
これぞ薬剤耐性菌の悪なるゆえんなわけです。

そして、もっと悪いことに、松田くんが要領よく先生の叱責をかわしているのを見て、第二の松田くん、第三の松田くんがあらわれてくるんです。
こうなると、小林さん的被害を受ける人も多くなるし、先生がいくら怒っても効果は見込めませんし、最悪の場合、クラスの大半が松田くん、みたいな手に負えない状況だって生まれるかもしれません。

これが、「クロストリジウム・ディフィシル感染症」で起こっていることです。

悪い菌を殺そうと思って抗生剤を入れる

悪い菌が思ったよりずるがしこく、薬が効かない

抗生剤でいい菌が弱る

悪い菌ばかりが増殖

こんなふうに、本来は少数派として隅の方でひっそりと生き延びていた菌が、他の菌が弱ることでテリトリーを獲得し、幅を利かせだすのが「菌交代現象」です。

そもそもなんで小林さんの筆箱の件で、沢井さん、あなたが出しゃばるのよという問題もありますが。

薬剤耐性菌については、この記事がすごくよかったです。
2050年までに年間1千万人超!? 専門家が警笛を鳴らすガンよりも怖い「薬剤耐性菌」

キレイ好き・とりあえず薬の弊害

殺菌

薬剤耐性菌、菌交代現象なんていうと、「クロストリジウム・ディフィシル感染症」なんかの重篤な病気や、「メチシリン耐性黄色ブドウ球菌」などの菌が有名です。

でも、これらの現象はけっこう身近な問題でもあるんです。

風邪をひいたら近くの病院やクリニックに行くことがあると思います。
そこで、「とりあえず抗菌薬(抗生物質)」を出してもらうこと、少なくないのではないでしょうか?

実は、風邪の原因はほとんどの場合がウイルス性であることが多く、そうなると細菌や真菌をターゲットとして作られた抗菌薬(抗生物質)は効かないんですよね。
無駄に副作用のみ出てしまいます。

でも悲しいことに、
細菌性の感染症の可能性もゼロではないし、
別に薬で健康被害もないし、
薬を出しておけば保険点数を稼げるから処方しておこう、
という医療機関が少なくありません。

そんなことを続けていると、抗菌薬に耐性がついて、ほんとうに細菌感染症になったときや、手術で感染症予防のために抗生物質を投与しても効かず、最悪の場合は命を落としてしまいかねません。

幸運な場合でも、腸内フローラバランスは崩れてしまいます。(特に子どもが顕著)

腸内フローラバランスが崩れることの悪影響は、みなさんご存じのとおり。

移植患者様のフローラバランスを見ていると、特に長期間にわたって薬やサプリメントを飲みまくってきた方は、この菌交代現象のおかげで本来の腸内細菌の働きが妨げられていることが多々あります。

他にも、「抗菌効果、おどろきの99.8%!」みたいな洗剤もよく見かけますね。
外から帰ってきたら、爪の間まで石鹸で手を洗いなさいみたいなことも言われる。

最近では、米を洗剤で洗うという、完全に方向性を間違った方までおられるそうです。

「大は小を兼ねるって言うし、とりあえず、除菌しとく?」みたいなノリですよね。

人類って、とてつもなく傲慢で、自己中で、救いようのないアホなのかもしれないですね。(反省)

微生物は殺さず味方に

仲良く

わたしたちの研究所は、「微生物との共存共栄」を理念に、シンバイオシスという名前で活動しています。

それは、「どんな微生物も悪くない」というところを入口にしています。
悪いとされる細菌やウイルスも、普段はひっそりと人里離れたところで暮らしているんです。
彼らの弱いところを徹底的に攻撃し、耐性をつけさせ、住処を奪っているのは、どう考えても人間の勝手ですよね。

これは微生物の世界に限りません。
がん細胞だってそうです。

もともとは自分の細胞だったんですから、徹底的にがん細胞を叩きまくるような治療法ではなく、
うまくがん細胞をなだめ、愛を持って受け入れたり叱ったりすることで、自然と消えてくれるかもしれません。

先生と生徒だってそうです。
もし先生が、やみくもに怒鳴りつけたり怒ったりするのではなく、松田くんの話をよく聞いてあげていたら、違った結果になっていたかもしれません。

白い壁に落書きをする子を非難し、清掃員が落書きを消す作業をするような治療ではなく、
子どもたちみんなにクレヨンを渡し、白い壁をカラフルに彩るような治療法が自然と受け入れられる世界になればいいな、と思っています。

手前味噌ですが、腸内フローラ移植はまさにそういう方法だと信じています。

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自分の目で見えて、自分の手で触れられるものしか信じてきませんでした。 でも、目には見えないほど小さな微生物たちがこの世界には存在していて、彼らがわたしたちの毎日を守ってくれているのだと知りました。 いくつになっても世界は謎で満ちていて、ふたを開けると次は何が出てくるんだろう、とわくわくしながら暮らしています。 ご挨拶と自己紹介も併せてご覧ください。
腸内フローラ移植(便微生物移植)を知っていますか?
わたしたちの腸に暮らす腸内細菌たちと健康との関連が、世界中で次々に明らかになってきています。 「すべての病気は腸から始まる」と言われるように、腸内環境が崩れると病気を引き起こすことが知られています。
健康な人の腸内フローラを移植することで、ふたたび健康を取り戻そうという治療法に期待が高まっています。
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