記憶力と砂糖、砂糖とメタボ[2021.4.12]腸内細菌最新トピック

脂肪肝・脂質代謝の異常は砂糖のとりすぎによる腸内環境の変化が原因

High sucrose diet-induced dysbiosis of gut microbiota promotes fatty liver and hyperlipidemia in rats – ScienceDirect
The Journal of Nutritional Biochemistry Volume 93, July 2021, 108621
名古屋大学プレスリリースはこちら
(日本語解説:メタボにつながる脂質代謝の異常は腸内環境の変化が原因、名大が解明 | TECH+

先週の記事で解説しています。(糖は太るの本当の意味と、腸内細菌のB/F比だけで肥満が測れないワケ

孤独感や頭の良さが、腸内細菌の多様性とその構成に関わっている

Association of Loneliness and Wisdom With Gut Microbial Diversity and Composition: An Exploratory Study | Psychiatry

28歳から97歳まで184人を対象とした研究で、主に腸内細菌の多様性がどう関わっているかを報告しています。

腸内細菌の多様性と様々な疾患についてはたくさんの報告がありますが、この論文では「よりよく生きる」といったような人生の豊かさに関わる指標までもが、腸内細菌の多様性によって左右されると示唆しています。

社会との関わりと腸内細菌の多様性の相関も示されており、個人的にはコロナ禍によって人と人の生身の接触機会が減って、みんなの腸内細菌の多様性が下がるんじゃないかと危惧しています。

幼少期の砂糖過剰摂取が、腸内細菌の変化と脳の記憶力に影響する

Gut microbial taxa elevated by dietary sugar disrupt memory function | Translational Psychiatry

幼少期に不健康な食生活(砂糖の過剰摂取など)をすると、記憶力が悪くなる。
不健康な食生活(砂糖の過剰摂取など)が、腸内細菌のバランスを変える。

この二つの事実の関連性を調べたのが、今回の論文です。

今日の記事の最初で紹介した論文では、砂糖の摂取によりBacteroides門が相対的に増加し、メタボリックシンドロームにつながる恐れがあることを示していました。

今回の論文でも、砂糖の摂取によりBacteroides門の中のParabacteroides属が増加し、脳の記憶力に悪影響を及ぼすという内容でした。

Bacteroides属の菌たちは基本的に短鎖脂肪酸という良質な物質を出してくれますが、彼らを含む仲間たちは日和見菌とも呼ばれ、環境が整わないとその能力を発揮できません。

人工的につくられた砂糖など、自然界には存在しないものを日常的に摂取するようになったおかげで、腸内細菌界に激震が走っているのかもしれません。
菌たちが一定の挙動を示さずに慌てふためいているさまを想像すると、胸が痛みますね。

この記事を書いた人

ちひろ
ちひろ研究員・広報(菌作家)
自分の目で見えて、自分の手で触れられるものしか信じてきませんでした。
でも、目には見えないほど小さな微生物たちがこの世界には存在していて、彼らがわたしたちの毎日を守ってくれているのだと知りました。
目に見えないものたちの力を感じる日々です。
いくつになっても世界は謎で満ちていて、ふたを開けると次は何が出てくるんだろう、とわくわくしながら暮らしています。
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