すい臓のどこを切除するかで糖尿病発症率が変わる。鍵は腸内細菌![2021.3.24]腸内細菌最新トピック

膵臓部分切除術後の糖尿病発症に関与する因子を解明

膵臓部分切除術後の糖尿病発症に関与する因子を解明 腸内環境と膵臓内分泌細胞の可塑性が重要 九州大学、国立国際医療研究センターなど | ニュース | 糖尿病リソースガイド

糖尿病(特にⅡ型)と腸内細菌の関係はたびたび報告されていますが、今回は膵臓(すい臓)の切除手術と糖尿病発症のお話。

糖尿病というのは、インスリンという血中の糖度を下げてくれる働きのあるホルモンが正常に分泌されない、もしくは分泌されているのにうまく血糖値が下がらない病気です。
このインスリンを分泌してくれるのが膵臓。

膵臓の部分切除は、腫瘍がある場合によく行われる方法だそう。
切除部位によってPDとDPという2種類があるんですが、どちらも膵臓の一部を切っているにもかかわらず、その後の糖尿病発症率が全然違ったそうです。

以下本文より

PDでは、近位小腸のバイパス手術により術後6ヵ月の腸内細菌叢の様相が著しく変化し、糞便中の短鎖脂肪酸と小腸のL細胞に由来するインクレチンGLP-1分泌の増加にともなってインスリン分泌が増加し、糖尿病発症に抑制的に作用することが示唆された。 一方、DPでは、術後5年間に約60%が糖尿病を発症するが、切除膵臓の病理組織学的解析により、細胞の可塑性のマーカーであるALDH1A3の発現増加をともなう膵島の腫大(膵臓β細胞面積の増大)が糖尿病発症に関連することが明らかになった。

膵臓部分切除術後の糖尿病発症に関与する因子を解明 腸内環境と膵臓内分泌細胞の可塑性が重要 九州大学、国立国際医療研究センターなど | ニュース | 糖尿病リソースガイド

そうです。
PDのほうは、菌たちが頑張ってくれています。
ちなみにインクレチンというのもホルモンの一種で、巡り巡ってインスリンの分泌につながるホルモンです。

これはサラッと興味深いニュースでした。同じ腫瘍でも、部位によってこんなに違うとは。

高齢者型の腸内細菌叢が加齢性疾患を促進させる可能性を確認

高齢者型の腸内細菌叢が加齢性疾患を促進させる可能性を確認|森永乳業株式会社のプレスリリース

(原文)Full article: Enriched metabolites that potentially promote age-associated diseases in subjects with an elderly-type gut microbiota

若い人とお年寄りで腸内フローラバランスが違っていることは、近ごろよく知られるようになってきました。
「年相応」という言葉があるように、ある程度は年齢による変化が好ましいという可能性もあります。

その研究の次の段階として、「高齢者で、腸内フローラも高齢者タイプ」と「高齢者で、腸内フローラが若いタイプ」の場合の便の代謝産物の比較実験が行われました。

でね、年取ったら動脈硬化とか大腸がんとかなりがちじゃないですか。
そういう疾患って、ふんたからんたらアミンとかいう名前の代謝産物と深い関係があるんですって。

そしてなんと。
「高齢者で、腸内フローラが若いタイプ」の人たちは、この代謝産物が抑えられていたんですって。

というわけで、今回の研究では、年不相応タイプのほうが健康でいられるっぽいということが示されました。
みんな若作り頑張りましょう。

糞便移植が治療抵抗性メラノーマに有用 抗PD-1抗体薬が有効に

糞便移植が治療抵抗性メラノーマに有用 抗PD-1抗体薬が有効に : yomiDr./ヨミドクター(読売新聞)

ある種の腸内細菌が存在すると、がんの免疫療法の奏効率が高いという報告が以前ありましたが、それに関連して。

皮膚がんの一種であるメラノーマで、FMT(便移植)を施行したあと、効かなかった薬が効くようになったという報告がありました。
この報告を行った研究者は、今後ほかの種類のがんにも応用していきたいと話していて、これからの研究が待たれます。

てゆうか、あれ?
このニュースなんかデジャヴやねんけど…

と思ったら、前回の最新トピックですでに紹介済みやった。めんごめんご。

この記事を書いた人

ちひろ
ちひろ研究員(菌作家)
自分の目で見えて、自分の手で触れられるものしか信じてきませんでした。
でも、目には見えないほど小さな微生物たちがこの世界には存在していて、彼らがわたしたちの毎日を守ってくれているのだと知りました。
いくつになっても世界は謎で満ちていて、ふたを開けると次は何が出てくるんだろう、とわくわくしながら暮らしています。
個人ブログ→千のえんぴつ
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《特許出願中》
腸内フローラ移植

腸内フローラを整える有効な方法として「腸内フローラ移植(便移植、FMT)」が注目されています。
シンバイオシス研究所では、独自の移植菌液を開発し、移植の奏効率を高めることを目指しています。(特許出願中)