帝王切開でも大丈夫。産後にお母さんの便を赤ちゃんに摂取してもらえばいい[2020.10.23]腸内細菌最新トピック

高齢ドナーマウスから若齢マウスへのFMTで、若齢マウスの学習と記憶が衰える

Faecal microbiota transplant from aged donor mice affects spatial learning and memory via modulating hippocampal synaptic plasticity- and neurotransmission-related proteins in young recipients | Microbiome | Full Text
(日本語題)高齢ドナーマウスから若いマウスへの糞便微生物移植は、海馬シナプス可塑性と神経伝達関連タンパク質を介して空間学習と記憶に影響を与える。

↑これ、DeepL翻訳っていうサイトにお世話になったんですが、意味不明ですみません。それとも医学的な知識のある人には普通に意味わかる翻訳なん?

お年を召したマウス(24ヶ月歳)の便を、若いマウス(3ヶ月歳)のマウスに移植しましたという検証。
比較対象として、若いマウスの便を若いマウスに移植する検証も行っておられます。

結果要約

  • 移植された若いマウスは、空間学習能力と記憶力が低下
  • でも神経質さとかは移らんかった
  • 脳の海馬におけるタンパク質の発現、グリア細胞を変化させた
  • 腸の透過性、全身のサイトカインの状態は変化がなかった
  • Lachnospiraceae, Faecalibaculum, Ruminococcaceaeをはじめとする短鎖脂肪酸産生菌の減少
  • Prevotellaceae, Ruminococcaceaeの減少

無菌マウスではBBB(blood-brain barrier, 血液脳関門)の挙動が正常ではないとの理由で、あえて無菌マウスを採用しなかった背景があるそうですが、いやいやいやいや、それより若いマウス気の毒すぎやろ!
せめて年寄りマウスに若いマウスの便を移植してやってほしかった…

ルミノコッカス科、プレボテラ科は主にパーキンソンやアルツハイマーとの関連が指摘されていますが、実験によって有意に高かったり低かったりで、神経系疾患のリスク因子ではあると思われるけど、多いのがいいんか少ないのがいいんかよくわからん菌たち。
でもかわいい(^^)

帝王切開出産児に母親の便の菌叢を移植することで正常の腸内細菌叢の発達を回復できる

Maternal Fecal Microbiota Transplantation in Cesarean-Born Infants Rapidly Restores Normal Gut Microbial Development: A Proof-of-Concept Study: Cell

これめっちゃ素晴らしい取り組み!!!

帝王切開によって、母子ともに命が助かることも増えた反面、成長につれて様々な疾患リスクが高まるという報告が次々出てきています。
その理由は、産道を通って膣から産まれるときに、母親(が、いきんで出てしまったうんこの中)の腸内細菌を受け継ぐことができなかったからではないかということがだんだんわかってきています。

この度、フィンランドの研究チームが「母親の腸内細菌叢を生後2時間で移植する」ことで乳児の腸内細菌叢の形成を手伝おうと試みました。
素敵すぎる試み!

結果は良好。
膣の細菌叢では効果がなかったというので、不思議でもあり面白いです。

ちなみにかなり強調しておかないといけないのは、
「口から」移植してるんですよね。
産まれてくるときは口から摂取してるんやろうから、口から食べなさいよということやろうか。

突っ込みたいところやけど、よくよく考えてみると実は一般的なFMTの方法(肛門から移植)のほうが理にかなってないんやろうか…
わからん…
でも口からは嫌や…

睡眠時無呼吸症候群と腸内細菌が関与している

Fecal microbiota transplantation from mice exposed to chronic intermittent hypoxia elicits sleep disturbances in naïve mice – ScienceDirect

高血圧、不整脈、心筋梗塞、糖尿病、認知機能障害などの生活習慣病との関連が深いとされる睡眠時無呼吸症候群。
お太りの方か、いびきがすごい方の症状というイメージですけど(失礼)、実は腸内細菌と相互に関係しているようです。

睡眠中に呼吸が止まると、当然体の中の酸素が減ります。
この実験では、嫌気性菌が増加していたとのこと。

さらに、睡眠時無呼吸症候群と同じような低酸素状態にしたマウス(ほんまに気の毒すぎる)の便を健康なマウスに移植したところ、睡眠の質に影響がありました。
この研究によって、腸内細菌を大事にすることが、不眠の改善やその他に合併する生活習慣病の改善につながるんじゃないかと期待されています。

↓ラストネームの人のインタビュー記事(めっちゃいいおじさんそう)
Study Finds Gut Microbiome Plays Important Role in Sleep Regulation – MU School of Medicine

↓日本語要約記事
腸内細菌は「睡眠の質」にも影響する:眠りを“調節”する治療にもつながる研究結果 | WIRED.jp

この記事を書いた人

ちひろ
ちひろ研究員(菌作家)
自分の目で見えて、自分の手で触れられるものしか信じてきませんでした。
でも、目には見えないほど小さな微生物たちがこの世界には存在していて、彼らがわたしたちの毎日を守ってくれているのだと知りました。
いくつになっても世界は謎で満ちていて、ふたを開けると次は何が出てくるんだろう、とわくわくしながら暮らしています。
個人ブログ→千のえんぴつ
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《特許出願中》
腸内フローラ移植

腸内フローラを整える有効な方法として「腸内フローラ移植(便移植、FMT)」が注目されています。
シンバイオシス研究所では、独自の移植菌液を開発し、移植の奏効率を高めることを目指しています。(特許出願中)