1982年から続けてきた微生物の基礎研究や医療機関における臨床を経て、独自の腸内フローラ移植(便移植)方法を開発しました。微生物たちとの共存共栄には、無限の可能性があると信じています。
シンバイオシス研究所 -微生物との共存共栄-
上記の電話は腸内フローラ移植臨床研究会につながります
受付時間:10:00〜17:00(土日祝除く)

過敏性腸症候群と、善玉菌・悪玉菌の関係を考える

過敏性腸症候群

ほんの少し前まで、腸内細菌の分野はどちらかというと風紀の先生のような役割でした。
どういうことかと言うと、「下痢や食中毒の原因になる菌を見つけて、排除する」ことが主な目的だったわけです。

腸内フローラが、心と身体全体の健やかさに関わっているということがわかりだし、本格的に世界で研究が始まってからまだ数十年。
腸内フローラ移植(便移植)の研究が活発にされるようになってから、まだ10年も経っていません。

校則違反をしている生徒を見つけてひたすら叱りつけていた風紀の先生が、
「よーしよし。夏休み、髪染めもピアスも、アルバイトもしなかったんだねー。宿題はバッチリやっているし、模試の成績も悪くないし、ご両親もさぞ鼻が高いだろう。エライねー。君のような善良な生徒が増えてくれたら、世界はもっと平和になるのにねえ」と、廊下を歩いている善良な生徒を褒めて回っている感じです。

そういえばうちの学校は仏教校で、校則違反の罰則は写経でした。筆ペンで書くとめっちゃ達筆に見えて楽しかった。

でもこの「ちゃんとしている子を褒めるスタイル」、よく考えたら悪い子を取り締まるだけの校内風紀維持よりも効果的な気がしますよね。
それにいち早く気づいたのが、細菌研究の分野です。(微生物を擬人化しすぎて、近頃言動がおかしなってるで)

今回は、悪者を取り締まるだけでは解決しない代表例とも言える「過敏性腸症候群(IBS)」についてのお話を少し。

消去法的につく「過敏性腸症候群」の診断

過敏性腸症候群診断

このブログを見ている方で、過敏性腸症候群の診断がついている方も少なくないのではないでしょうか。

実は、日本人の10〜15%が過敏性腸症候群(IBS)を発症しているという統計もあります。
消化器外来を受診する人の半数以上が過敏性腸症候群であるとも言われるほど、一般的な症状です。

診断がついていなくても、「もしや僕、過敏性腸症候群では……」という方も多いんじゃないでしょうか。
最近ネットでいろいろ調べられますし、「わたし、SIBO(小腸内細菌異常増殖症)なんです!」ってクリニックに行き、先生のほうが知らないこともあるほど。

ちなみに今、「SIBO」って調べたら、うちの研究会理事である城谷先生の「ルークス芦屋クリニック」が1位で出てきました。おどろき。
城谷先生、お忙しい中でも論文に目を通されていたりして、臨床と基礎のバランスがむちゃくちゃいい先生です。(しかもかっこいい。非の打ち所がない)

話を戻すと、過敏性腸症候群というのは、それだけ「診断名がつけられやすい」病気でもあるということです。

「うーん、血液検査でも異常なかったし、大腸カメラで見ても炎症は起こってなさそうだし、便検査でも食中毒の起因菌はなさそうだし……でもお腹いたいんだもんね? 過敏性腸症候群ってとこかな」
みたいなノリでつけられることもあります。

過敏性腸症候群診断

これは決して医師の怠慢ではなく、検査で異常がなくても症状はしっかり出ている場合につけられる、れっきとした病名です。
「たぶんストレスから来るもんやろうねえ。ほう、不眠とイライラ、不安感もある? 自律神経失調症も併発しとるかもねえ。向精神薬と抗不安薬もいっとく?」となるのは、わりと自然な流れです。
逆もまた真なり。

こんなふうに消去法的に分けられてしまうために、過敏性腸症候群にはいろいろなパターンがあります。

  • 下痢型(ひたすら下痢。次の駅まで我慢不可)
  • 便秘型(うんちなんて出ないのがデフォルトなんやわ。食べたものはどこか時空の歪みに消えていくんやわ)
  • 下痢と便秘交互型(なんでこのタイミング!いつも殻にこもったヤドカリみたいに出ませんやん!なんで今から飛行機乗りますってタイミングで!)
  • ガス型(何を食べたら腹が張らないのだろうか。お尻すぼめたら、音が出ないだろうか。周りにクサいと思われていないだろうか)
  • 腹痛型(え?うんちは普通ですやん。これは、腸が痛いの?皮膚が痛いの?それとも思い込みなの?)

暗くなってしまうのでポップなテンションで書いていますが、生死にかかわらないだけに周りからはあまり大変さをわかってもらえず、本人はかなり苦しい思いをしている方も多くいらっしゃいます。
そしてそのストレスでさらに症状悪化……わたしでよければ抱きしめてあげたい。(2ユーロ/回)

これ、確かに「病は気から」みたいなところもあると思います。なにごとも悪い方向に考えてしまう性分とか。
脳腸相関からも、「はあーあ。超憂鬱」っていう気分が、下痢を引き起こすことももちろんあります。

でも、今の検査で発見できていないだけの原因がある場合も結構あると思うんですね。
例えば腸内フローラバランスが崩れてるとか。(いや、まじめに。)

過敏性腸症候群の腸内フローラバランス

腸内フローラ

過敏性腸症候群にいろいろなパターンがあることは上述のとおりですが、
このうえさらに本人の年齢、性別、性格、生活習慣、周りの環境なんかにも大きく左右されます。

そうなってくると、たとえば対症療法に頼るにしても、もはや何に対してどう対処していけばいいか、ご本人もお医者さんも悩むことになります。

ただ、過敏性腸症候群の場合、腸内フローラという観点から見るとだいたい皆さん同じような崩れ方をしています。
これ、「崩れ方をしています」とかドヤ顔で言ったけど、わたしはまだまだ崩れ方のパターンを見極める力はありません。

うちの所長である清水が見て、「あー、典型的な過敏性腸症候群やね。問診ともズレてないし」というコメントを発するので書いているだけで。
わたしからすると、「は?全然違いますよ! ほらここのクロストリジウム14aとバクテロイデスのバランスとか、乳酸菌もこっちのが多いし」となるんですが、
「いや、崩れ方としては同じやで」ということだそうです。

手前味噌ですが、すごい人だなと思います。
その一方で、「見てみて! インプラント前の仮歯が前に出てきて、外人っぽい発音できるねん。マウッッッセ!(マウス)」などと言ってくるので、すごさが霞んでしまいます。

その崩れ方をひとことで言うと、「免疫力を司る菌たちのアンバランス」ということになります。

乳酸菌サプリメントの摂取で改善?

腸内フローラ

過敏性腸症候群に、乳酸菌のサプリメントや、その他のプロバイオティクスが有効かもしれないという研究もあります。
(プロバイオティクスとは、身体にエエ菌たちです。味噌とか漬物とか納豆とか、そういうのの入ったサプリとか)

ただ、サプリメントの菌は残念ながら腸に住み着くことはほとんどできません。

  1. 胃酸で死なず、
  2. 肝臓で解毒されず、
  3. 生きて腸まで届いたうえで、そのままウンコにならず腸粘膜下で住み着く

この厳しすぎるハードルを超えないと、自分の菌として増殖してくれることはできません。

うまく生着してくれれば、この記事の最初で述べた「善良な生徒を育てる」方針の整え方ができるんですけどねえ。

もちろん、一時的にいい働きをしてくれて、それが最終的に「あれ、いつの間にか居着いてしまったワ」ということもありえます。
そのあたり、前に書きましたね。

うんちはどこまで自分の「真の腸内フローラ」を反映しているのか問題

悪玉菌を味方につけること

腸内フローラ改善

言ったことをいきなり覆すようでアレなんですが、わたしたちが過敏性腸症候群の方向けに移植菌液をつくるとき、「乳酸菌を増やそう!」という方針で行うことはあまりありません。

乳酸菌を増やすというのは、一般的に言うところの「善玉菌を増やす」ということです。
これによって、お腹を穏やかにしましょうということです。

でもね、よく考えてみてください。

自分が「善良な生徒」ではなかったとします。
校則違反のバイトもして、髪はまっキンキン、ピアス5個開け、「宿題?なにそれ食えんの?」って感じの女の子やったとします。

この子を頭ごなしに叱る(排除する)方法が逆効果なのはもちろん、
いい子だけを褒めるのも十分ではありません。

「あたしだって、あの子みたいに恵まれた家庭で愛されて育ったら、ああなってたって。うちは両親が離婚して、母さんは昼も夜も働いてうちにいないし、もちろん小遣いなんてないし、妹のご飯の面倒だってみなきゃなんない。髪染めてピアス開けるくらい、誰にも迷惑かかんないじゃん。なにがダメなの?」
って話です。

そう、決してあなたは悪くない。

ただ、この子たちが先生に頭ごなしに叱られたり、いい子ちゃん生徒だけを褒めると、もっと荒れてしまいます。
結果として、善良な生徒は萎縮して、活動しにくくなってしまいます。
校内の雰囲気も悪くなります。(腸内フローラバランス崩れた)

化粧がうまくて、実は料理もうまい悪玉女子が善玉女子に「アゲマン講座☆」みたいなのを開き、
善玉女子が悪玉女子に勉強を教える。

善玉女子が悪玉女子の妹の面倒を代わりに見てる間に、
悪玉女子が善玉女子のストーカーをしてくる隣の男子校の男をシメに行く。

小悪魔

そんな関係が築けたら理想やなあと思いながら、菌液を調製しています。
結果として、様子を見ていただけの日和見女子たちも、楽しそうに会話に加わってくれます。(個人的に一番キライなタイプ)

思い出してみると、高校時代に校則を破りまくっていた子も、結構いい子が多くて、「プリクラで可愛く撮れる角度」とか教えてくれたもんなあ。

悪玉、善玉、日和見なんて書き方をしましたけれども、みんな必要な菌であることがわかっていただけたでしょうか。

わたしたちは、「クロストリジウムたち」「バクテロイデスたち」「乳酸菌たち」みたいに、だいたい7〜10個くらいの分類でバランスを見ています。

どんな個性を持った子たちも、いいところをちゃんと見て褒めてあげることで、必要以上に他を萎縮させるような増殖のしかたはしません。
彼らがいいバランスを保って、腸という小さな宇宙の平和を保てるよう、わたしたちにできることをしていきたいなと思います。

The following two tabs change content below.
自分の目で見えて、自分の手で触れられるものしか信じてきませんでした。 でも、目には見えないほど小さな微生物たちがこの世界には存在していて、彼らがわたしたちの毎日を守ってくれているのだと知りました。 いくつになっても世界は謎で満ちていて、ふたを開けると次は何が出てくるんだろう、とわくわくしながら暮らしています。 ご挨拶と自己紹介も併せてご覧ください。
腸内フローラ移植(便微生物移植)を知っていますか?
わたしたちの腸に暮らす腸内細菌たちと健康との関連が、世界中で次々に明らかになってきています。 「すべての病気は腸から始まる」と言われるように、腸内環境が崩れると病気を引き起こすことが知られています。
健康な人の腸内フローラを移植することで、ふたたび健康を取り戻そうという治療法に期待が高まっています。
logo
腸内フローラ移植(便微生物移植)とは

移植の流れ・費用

移植が受けられる医療機関

お問合せ・移植相談

コメントを残す