シンバイオシス研究所は腸内フローラ移植(便移植)の研究開発機関です。腸内フローラ移植臨床研究会の専属研究機関として、全国の医療機関と連携しています。
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便移植の未来はブレンドか、培養か、それとも。

便移植の未来はブレンドか、培養か、それとも。

最近ありがたいことにドナーさんが増えて、マイナス80度の冷凍庫がパンパンなのでもう一台買い足したいシンバイオシスです。

でもいろいろと大人の事情で、別の機械が優先されることになりました。
こうなったらお小遣いためて個人的に冷凍庫を買って、ドナーのうんこ独占しよ。

ほんで冷凍庫を自販機に改造して、研究所でうんこ足りんくなったら社内販売しよ。(悪徳)

さて今日は、「ドナーさんの便を加工して移植する今の方法が将来的にどうなっていくんか」を考えてみたいと思います。

今の便移植いろいろ

便移植プロトコル

便移植のはじまりは、4世紀の中国。
その頃の具体的な方法が資料として残っているかはわかりませんが、便移植には実はさまざまなプロトコルが存在します。

2013年に世界的な注目を浴びた、オランダでのクロストリジウム・ディフィシル感染症に対する便移植。これはAmsterdam Protocolと呼ばれて便移植のスタンダードになりつつあります。

他にも、

  • 潰瘍性大腸炎の患者さんに対して40回移植してみたり
  • ドナー便をブレンドしたり
  • 事前に抗生物質を飲んでもらったり
  • 便をいったん凍らせたり
  • ドナーに食事指導をしてみたり
  • もはや菌はなしで代謝産物だけ移植してみたり

少し調べるだけで、ここには書ききれないくらいの方法が出てきます。
世界中の試行錯誤のドキドキが伝わってくるほどに。

自閉症向け、炎症性腸疾患向け、などというふうに疾患ごとにプロトコルを分けようという試みも出てきています。

培養は便移植の突破口になるか

培養の可能性

ヨーグルト、乳酸菌サプリ、納豆メーカー、細菌検査など、細菌の業界では培養が基本です。

じゃあ便移植でも培養したら、ドナーさんも少なくて済むし、含まれる菌のバランスや量も一定にできるし、理想なんでは? と思いません?

わたしは小難しいことはわからんので「ウンコ出すほうが早いし楽やん」と考えてしまいがちですが、将来的に薬の位置づけになるのであれば品質は一定であるほうがいいのでしょう。

ただ培養があまり現実的ではないいくつかの障壁があります。

菌の多くが培養難しすぎる問題

腸内細菌の多くは「難培養性」と言われる培養が難しいものです。
酸素が苦手な菌(偏性嫌気性菌)を培養できるようになって「革命じゃー!!!」と微生物界が湧いたのが50年ぐらい前。

ここ10年くらいで遺伝子解析が行えるようになり、「こ、こんなにいただと……!!」と再び微生物界に激震が走りました。

つまり、培養技術は向上し続けているのに、培養できない菌がまだ山ほどいるわけです。

そのうえ、菌によって培地(培養するための環境)を変えてやらないとうまく育たなかったりで、便を人工的に作るのはめちゃくちゃハードルが高そうです。

単一、または少ない菌種なら培養できそうですが、「便移植で多様性を取り戻す」という概念からは外れてしまう。

予期せぬ遺伝子変異が起こるかも問題

微生物の細胞が増殖する際、環境やその他の予期せぬ因子によって遺伝子変異が起こる可能性があります。

細胞増殖のときに遺伝子変異が起こるのは、わたしたちの体でも毎日普通に起こっていることですので、何も不思議なことではないです。

ただわたしたちの体の場合は免疫細胞が変異した遺伝子を治したり排除したりしてくれるんですが、培地の場合はそうはいきません。

ぬくぬくと、理想の条件下で変異した細胞が増え続けます。

これを移植してしまうというのは、ちょっとリスクが高い気がしませんか。
素人目線からすると、遺伝子組み換え食品を食べるのと似ている印象を持ちます。

培養、ハードル高いですね。

それやのに毎日まんべんなく色んな菌を含んだウンチを生産してくれる身体ってすごすぎません?

将来は自分の便を移植するようになるのか

自分の菌たちを将来の自分に贈ること

これはへその緒を保存しておいて、将来病気したときに飲む的なやつですね。

小学生の時に学校の授業で自分のへその緒を持っていったことがありますが、正直言って「これは絶対に食べたくない」と思いました。

そういう意味では有効な健康法かもしれないです。「これを食べないといけないような病気はぜったいしない」と誓いましたから。

実は便移植でも似たようなことができるのではないかという試みは、近いうちに出てくるのではないかと思っています。

健康な時の自分の便を、将来なにか病気をしたときに腸に戻してやる。
そのほうが効果が高いのかどうかはまだわかりませんが、心理的なハードルは一気に下がりそうです。

保険の加入と同時に、便を提出しておくなんてことが現実になるかもしれません。

ただ現時点では、マイナス80度の環境下で細菌が死滅しないのは1〜3年と言われています。
うちのドナーバンクでも、便の有効期限を採取日から半年と定めています。

これをもっと伸ばそうと思うと、めちゃくちゃコストが上がるけれども液体窒素で保存するか、凍結乾燥の技術向上を待つしかなさそうです。

わたしは謙虚な人間なんで、自分の便よりドナーさんの便のほうが優れているやろう精神で、迷わずドナー方式選びますけどね。(それは謙虚とはちょっとちゃうんではないか)

究極のテーラーメイド菌液

画一的な方法ではいずれ限界が来る……かも

便移植の多くでは、ドナーや濃度を患者さんごとに変えることはしていません。
当研究所ではこれを試行錯誤ながらに実施しているのですが、実はもっとやってみたいことがあります。

それは、患者さんの腸内と菌液の○○と□□を合わせること

ここで言うことができないのが申し訳ないですが、研究会第3回総会でひょっとしたら発表があるかもしれませんので、よかったら足をお運びください。

来られない方のためにヒント。
実はこの○○と□□の違い、どれだけ調べてもわたしにはいまいちわかりません。

正解者には、
ジャコウネコの腸内の消化酵素の働きや腸内細菌による発酵を経てできる世界一高価なコーヒー「コピ・ルアク」ならぬ、

ちひろの腸内の消化酵素の働きや腸内細菌による発酵を経てできるコーヒー「コピ・ち(やめなさい)

コーヒーを飲みながら本を読んでたら、誰にでも優しくできます。

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自分の目で見えて、自分の手で触れられるものしか信じてきませんでした。 でも、目には見えないほど小さな微生物たちがこの世界には存在していて、彼らがわたしたちの毎日を守ってくれているのだと知りました。 いくつになっても世界は謎で満ちていて、ふたを開けると次は何が出てくるんだろう、とわくわくしながら暮らしています。
腸内フローラ移植(便微生物移植)を知っていますか?
わたしたちの腸に暮らす腸内細菌たちと健康との関連が、世界中で次々に明らかになってきています。 「すべての病気は腸から始まる」と言われるように、腸内環境が崩れると病気を引き起こすことが知られています。
健康な人の腸内フローラを移植することで、ふたたび健康を取り戻そうという治療法に期待が高まっています。
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一般財団法人腸内フローラ移植臨床研究会

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