1982年から続けてきた微生物の基礎研究や医療機関における臨床を経て、独自の腸内フローラ移植(便移植)方法を開発しました。微生物たちとの共存共栄には、無限の可能性があると信じています。
シンバイオシス研究所 -微生物との共存共栄-
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糞便微生物移植は、厳密には「うんち」を移植するわけではないのにな

微生物

基本的に「うんち」をさわる機会ってあんまりないですよね。
自分のうんちを触ってしまう事故はごくまれに発生するけど。(トイレットペーパーの限界)

うんちもおしっこも、ツバとか鼻水もそうですけど、自分の身体から出たものであっても、それが一旦外に出てしまうとすごく汚く感じたりしません?

一万円あげるからコップ一杯の自分の唾液飲んでって言われても無理やもん。
それやったら11時間バイトしますってなる。(大阪府の最低賃金がまた上がりました)

一旦出たうんちを、また自分の大腸に戻しましょうってのは、さらにハードルが上がる気がする。
ましてや、複数人のうんちをブレンドして自分の大腸に入れるなんて、信じられへん。

あ、腸内フローラ移植や。。。(墓穴)

冒頭からうんちとかおしっことかツバとか連発してしまって、お食事中の方は本当に申し訳ございませんでした。

ただね、うんちってほんまに汚いんやろうかって思うんですよね、最近。
この仕事をさせていただきはじめて、そのへんの感覚が麻痺してきてるんかもしれませんけど、うんちほど謙虚で素直で健気な存在って、なかなかおらんと思う。

往診で移植菌液持っていくって話すると、「え、かばんにウンコ入ってんの!!!」って笑われたりするけど、
「いやいや、あんたもいま、自分のお腹の中に後生大事に入れて持ち運んでるやん」って思う。
そんなこと言わへんけど。

うんちの定義

うんち

うんちは、食べたもののカスだけでできているわけではありません。
下痢便や硬い便などによって含まれる水分量が変わりますが、水分を除いた3分の2は世代交代を終えた腸内細菌たちです。

腸内細菌がうんちとして出ていったあと、若い世代の腸内細菌たちは「対数増殖」と言って倍、倍、でどんどん新しく増えていってくれます。

残りの3分の1は、剥がれた小腸の壁と食物残渣(食べ物のカス)です。

このあたりは、前の記事「うんち(便)には、現役バリバリの腸内細菌がどっさりいた」でもお話しました。

小腸は、十二指腸でどろどろになった食べ物から栄養を吸収してくれたあと、ただちに剥がれていきます。
だいたいどんな人でも、小腸の壁の寿命は一日。
その証拠に、「小腸がん」というのはありません。

栄養を吸収されたあとの食べ物が大腸に到着すると、大腸は水分を吸収してくれます。
この「栄養を吸収されたあとの食べ物」には、食物繊維も含まれています。
なぜなら、人間の身体は食物繊維を栄養として利用できないからです。

そこで腸内細菌の登場です。
主に大腸の中に住んでいる腸内細菌たちが、この食物繊維を分解して、人間の身体に有益な物質をたくさん出してくれます。
大腸で水分が吸収されるのと同時に、この有益な物質も身体に吸収されていきます。

水分、
栄養を吸収してくれた小腸の壁、
食べたもの、
それから愛すべき腸内細菌たち。

これらでできた「うんち」を、わたしたちは汚いと感じてるんです。
汚いのは、わたしたちの心かもしれない。(ネガティブスイッチ)

ちなみに、うんちのにおいは主にメタンガスと胆汁酸のにおいです。
腐りかけの牛乳を飲んだり(腐り〜かけの〜milk〜♪)、ウィルスに感染したりすると、下痢を促す方向へ腸内細菌が働きます。
この下痢を引き起こす菌たちというのは、メタンガスやアンモニア臭もたくさん出すので、においもきつくなってしまいます。

それから、あの色。
茶色なんてごくありふれたオータムカラーやのに、小学生にかかると高確率で「うんち色」とバカにされますよね。

あの茶色は、胆汁の色です。
肝臓から出る胆汁は、胆嚢で一旦濃縮されて、十二指腸などの消化管にそそがれます。
これが油を分解する役割を果たしてくれています。

この胆汁の元というのは、ビリルビンという成分で、その前の物質は赤血球です。
うんちが茶色いということは、この一連の働きがちゃんと機能していますという証拠なんですね。

腸内フローラ移植に使う菌液のこと

ハーブティー
(菌液のかわりにハーブティーの画像にしてみました)

仮に、仮にですよ、うんちが汚いとします。

たしかにわたしも、目の前に「ドン」とうんちが置かれている状態だと、仕事に集中できないと思います。
道端では犬のウンコを避けて通りますし、排泄後のうんちに頬ずりしたりもしません。
なぜなら、汚いから。(←今までの熱弁はどこに行った)

ただ、こと「腸内フローラ移植」に使う菌液となると、話は変わってきます。
腸内フローラ移植は、学名で「糞便微生物移植」という名前がついています。

この名前や、「人のうんこ入れるんやろ?」のイメージのおかげで、移植に抵抗を感じる方もおられます。

ただ、ここまで読んでいただいた方はおわかりかと思うんですが、
「腸内細菌を移植する」
というのは
「うんちを移植する」
というのとはちょっと違うんですよね。

ドナーの便から、小腸の壁や食物残渣をできるだけ取り除いて、腸内細菌たちばっかりが含まれた「菌液」の状態になれば、それはもう「うんち」ではないですよね。

溶解加工を施したあとは、においもかなり軽減されます。

ここで、勘の良い方は気づかれるかもしれません。
「ちょっと待って。世代交代後にうんちとして出てしまった腸内細菌って、またお腹に入れて元気に動いてくれるん?」

素晴らしい質問ありがとうございます。(上から目線)
が、ご安心ください。

うんちの中の腸内細菌たちも、死んでしまっているわけではないんです。
むしろまだまだ働けるけど、もっと若い世代がどんどん生まれてくるものやから、仕方なく引退しただけなんです。
フィギュアスケーターみたいなもんですね。(真央ちゃんありがとう)

なので、また腸内に戻してやると、そこで対数増殖を繰り返して新しい世代を生み続けてくれるわけです。
この対数増殖にかかる時間は、4時間から6時間ほど。

そのため、早い人では腸内フローラ移植6時間後くらいから、手足がぽかぽかする、視界が明るくなるなどの体感がある方も少なからずおられます。

菌液は厳密にはうんちではない、という話と、
別にうんちだって汚くないよ、という話でした。

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自分の目で見えて、自分の手で触れられるものしか信じてきませんでした。 でも、目には見えないほど小さな微生物たちがこの世界には存在していて、彼らがわたしたちの毎日を守ってくれているのだと知りました。 いくつになっても世界は謎で満ちていて、ふたを開けると次は何が出てくるんだろう、とわくわくしながら暮らしています。 ご挨拶と自己紹介も併せてご覧ください。
腸内フローラ移植(便微生物移植)を知っていますか?
わたしたちの腸に暮らす腸内細菌たちと健康との関連が、世界中で次々に明らかになってきています。 「すべての病気は腸から始まる」と言われるように、腸内環境が崩れると病気を引き起こすことが知られています。
健康な人の腸内フローラを移植することで、ふたたび健康を取り戻そうという治療法に期待が高まっています。
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