1982年から続けてきた微生物の基礎研究や医療機関における臨床を経て、独自の腸内フローラ移植(便移植)方法を開発しました。微生物たちとの共存共栄には、無限の可能性があると信じています。
シンバイオシス研究所 -微生物との共存共栄-
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腸内フローラ移植(便移植)のドナーに国籍は関係あるのだろうか?

便移植ドナー

最近、腸内フローラ移植臨床研究会に所属する臨床医の先生方とお話する中で、
ドナーってどんな人なん?
どんなフローラバランスなん?
どういう検査してるん?」というお問合せをよくいただくようになりました。

移植をお受けいただく患者様にとっても、「どんな人の便が移植されるのか?」という情報が少しでもある方が安心していただけるのではないかと思いますので、このサイトでもちょっとずつドナーについてお話できればと思ってます。

今日は特に、「外国の方はドナーになれるのか」「日本人ドナーの腸内フローラを外国の方に移植できるのか」の部分を掘り下げてみたいなと。

外国人はドナーになれるのか

「海外から日本に旅行しているあいだに、腸内フローラ移植したいなぁ〜」とか、
「日本でドナーバンクを作って、海外に輸出しよう!」とか考えたとします。

それ、法的なことは横に置いておくとして、技術的にどうなんでしょうか。
結論からずばり、ハッキリ申し上げます。

「数多くのエビデンス的なものがあるわけではないんですけど、たぶん、あんまり意味ないんではないかと思います」(全然ハッキリ申し上げてないやないか)

前回の記事で、住んでいる国によってフローラバランスの傾向があることはお話しました。

腸内フローラの3つのタイプと、フローラバランスを決める要因の関係。

腸内フローラバランスは、食生活の影響だけではなく、緯度・経度による気温、気圧、体温も影響します。
それに加えて、国民性(≒性格)と腸内フローラバランスの関係は非常にリンクしています。

性格がフローラバランスに影響しているのか、それともフローラバランスが性格を決定しているのか。
いずれにせよ、こういった理由で、今の時点では「ドナーは国境を超えられない」と判断しています。(正確には、「海を超えられない」と言ってもいいかも)

人種によってもともと持っている理想的なバランスがそもそも違いますし、帰国したらまたもとの生活、もとのフローラバランスに戻ってしまう可能性も否めないわけです。
もっとも、実験的なことをしたわけではないので、もう少し研究所で予算が回せるようになれば、積極的に実験・開発をしていきたい。(新しいことはどうしても経済的優先順位が下がりがちですよね)

ただし。
ただし!!!

外国人の方もドナーになれる、あるいはご病気の外国人の方でもその国のドナーの便が使える場合があります。
肝になるのは、「その国の滞在期間」です。

外国人がドナーになるための滞在期間

外国人がドナーになるための滞在期間

例えば在日外国人が日本でドナーになるには、最低14年の時間が必要です。
これは全身の骨が入れ代わるのに必要な時間と同じだからです。

皮膚や髪の毛を想像してもらうとわかるんですが、日々剥がれたり抜けたりして入れ替わっていますよね。
こんな風にして、わたしたちの肉体は刻一刻と新しく更新されています。

一番入れ替わりが遅いのが骨で、骨が入れ替わるのに14年の歳月を要します。
てゆうか、骨が入れ替わるってことにまずびっくりやけどな。
あんなに堅いのに。(アホっぽい発言)

14年前といえば、わたしは中学一年生だったんですが、その頃に比べると物理的に「別人」なんかぁと思うと、ちょっと不思議な感じがしますね。
わたしたちは14年で別の生命体になるけど、人生の辻褄を合わせるために、意識は連続して持っているってことですよね。
こういう話、どっかで読んだな。中村文則の『教団X』やったかな。

言い換えれば、14年間日本のものを食べ、日本の空気を吸い、日本で暮らせば、まさに「骨の髄から日本人」になるわけです。肉体的には。
14年という数字は、人類進化の時間の最小単位と言えそうです。

『千と千尋の神隠し』で、異世界に迷い込んだ千尋の身体が消えかかって、ハクが「この世界のものを食べなければ、そなたは消えてしまう」的なことを言って、ハクにもらった団子的なやつを食べたら、「ハイ、この世界の身体になりましたー」みたいな簡単な話ではないんですね。

ちなみにジブリが大好きでして、中でも『千と千尋の神隠し』は個人的ベストではないにせよ、世界に誇る傑作だと思います。
この映画のおかげで、海外ですぐに名前覚えてもらえるようになったもんな。
「ちひろ」って発音は難しいらしいけど。(ちきろ、しちろ、ちちろ、とか色々言われた)

世界の食生活の変化と、腸内フローラの変化

世界の食生活の変化

この100年あまりで、日本を含めた世界の食生活は急激に変わりました。

ファストフードは世界じゅうどこに行っても同じような味が保証されています。
流通の効率化のため、保存料などの添加物の使用はもはや必須になっています。
腐った食べ物よりは、すぐに身体を壊すわけではない添加物のほうが都合がいいですもんね。
消費者に文句も言われへんし。

身体に悪影響があったとしても、じわじわと蝕まれていけば、ひとつの企業に責任がかかるわけでもない。
企業の立場に立てば、やむを得んのかもしれん。

「働き方改革」とか言われて、実家から離れて暮らしている共働きの夫婦なんかは、「毎日手作りでご飯作ってる暇なんてないねん」って思いますよね。
子どもがいた日には、もう日々戦争やと思う。
しかも、スーパーのお惣菜とか外食って、わりと美味しいし。

わたしなんて、気ままな独身生活やのに、晩ごはんめんどくさくて、料理もしたくないし食器も洗いたくない、でも外食も嫌なんてときは「マシュマロ1袋、ヨーグルト1パック、ほたての貝ヒモ、玄米フレーク、ナッツ、酒」みたいなことしちゃうときもあります。(たまやから許して)

ただ、「いちおう知っている」というのは大事だと思います。

添加物が山ほど入った食品を食卓に並べて、土曜日の朝はアメリカの某ハンバーガーチェーンに行くのが定番でも、いいと思うんです。
それが肉体的・精神的に楽だったり、家族のささやかな楽しみとしてあってもいい。

でも、「ひょっとしたら腸内細菌には悪いことしてるんかもな」とチラッとでも思ってもらえると、その意識が日々の小さな行動の変化につながっていくはずなので。

国ごとのフローラバランスのアイデンティティ

国ごとのフローラバランス

前回の記事と少しかぶるところがありますが、国や人種ごとに違ったフローラバランスが理想とされるのには、ちゃんとした理由があります。
欧米の人は狩猟民族として生きてきた歴史が長く、日本人は米食を中心とした農耕民族としての歴史を歩んできました。

「いつ獲物が現れるかわからない」という状況下では、飢えていても満腹でもいつでも戦闘態勢でいなければいけないし、食べられる時に腹いっぱい食べるぞ、という生活スタイルになります。(Oh, meat! Let’s go!)

一方で、農業を営みながら規則正しい生活を送っていると、どちらかというと性格も温厚になります。(おーい、与作ぅ。母ちゃんに握り飯こさえてもらってけろー。)

欧米人と日本人のうんちの質が全然違うことからも、生活パターンが腸内細菌に与える影響を表していると言えるでしょう。

大陸か島国かどうかでも、食べるものに違いは出てきます。
日本人だけが、海苔を分解することのできる腸内細菌を持っていることも有名な話です。

ちなみに、ここまで読んでいただいた方なら、あることにも気づいていただいたはずです。

「アメリカで流行している健康にいい無添加のオーガニックフードでも、日本人の身体にとってはあまり恩恵のない食べ物もあるのかもしれない」と。

その通り。(アタック25、昔よう見てたなぁ)

インスタとかいうアプリが流行っているらしく(特に写真映えする日常送ってないんで、わたしは使ってないけど)、
海外のセレブがヘルシーな感じの食べ物の写真をめちゃくちゃアップしていますよね。

で、それが日本に輸入されて、健康意識の高い人はせっせと食するわけです。

それ、ほんまに「ええことなん?」と立ち止まる機会を持っていただくことは可能ですか?(お願いします)

情報の伝わり方をはじめとして、スピードがめちゃくちゃ早い時代です。
食べ物のことにせよ何にせよ、目新しいものがもてはやされます。

でも、人間の身体ってそんなに早く変われないんですよね。

骨は14年で入れ替わると言いましたが、人間の遺伝子はもっと長い時間をかけて進化していきます。
遺伝子よりも柔軟に変化できるように腸内細菌たちが頑張ってくれているわけですが、それにも限界があります。

見た目の可愛さとか、情報とか、いろいろあるんでしょうけれど、
「自分の身体の声」をちゃんと聞いてあげられる両耳を持った人間になりたいなと思いました。

いつか、日本人の腸内フローラもアメリカ人と同じになって、英語が世界共通語になるように、人類の腸内フローラも世界共通になる時が来るかもしれません。
それはそれで、進化のあり方のひとつですよね。

もちろん、そうなるには何世代も何世代もかかるでしょうし、今のわたしたちにできることは「今世の自分の身体を大事にしながら、楽しく生きる」ことだと思っています。

よし、今から業務時間のうちでもっとも楽しみな昼ごはんです。(これ公開されるのは夜やけど)

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自分の目で見えて、自分の手で触れられるものしか信じてきませんでした。 でも、目には見えないほど小さな微生物たちがこの世界には存在していて、彼らがわたしたちの毎日を守ってくれているのだと知りました。 いくつになっても世界は謎で満ちていて、ふたを開けると次は何が出てくるんだろう、とわくわくしながら暮らしています。 ご挨拶と自己紹介も併せてご覧ください。
腸内フローラ移植(便微生物移植)を知っていますか?
わたしたちの腸に暮らす腸内細菌たちと健康との関連が、世界中で次々に明らかになってきています。 「すべての病気は腸から始まる」と言われるように、腸内環境が崩れると病気を引き起こすことが知られています。
健康な人の腸内フローラを移植することで、ふたたび健康を取り戻そうという治療法に期待が高まっています。
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