腸内フローラ移植はどんな病気に効果がある?腸疾患、うつ、アトピー?

便移植の効果

わたしたちが「腸内フローラ移植」と呼んでいる方法は、学術的には「(糞)便微生物移植」と呼ばれます。
最近、テレビなどでこの方法が取り上げられる機会も徐々に増えてきており、通称「便移植」と呼ばれることもあるそうです。

わたしはもう最近「便移植」と聞いてもなんとも思わなくなりましたが(うんちってほんと、素晴らしい)、やっぱりこの名前って抵抗ありますよね。
個人的には「腸内フローラ移植」がいちばんオブラートに包まれている感があるので、これ推しでいきたいところです。

まだまだ新しいこの方法ですが、実際にどんな病気に効果があるのでしょうか?

一般的な方法で治験として行われている腸内フローラ移植の論文はこちらから。

当研究所の方法でこれまで効果があった症例

健康

腸内フローラは、糖尿病(Ⅱ型)、アトピー、がん、うつなど、幅広い疾患に関連があると言われます。
健康なヒトの腸内フローラを移植することで、それらの病気が治るかもしれないという可能性が、世界中で検証されています。

「そんななんでもかんでも効くことあるかいな」と眉に唾をつけたくなるかもしれません。

わかる。その気持ち、めっちゃわかる。(誰)

そういうわけで、今日は実際の症例のお話をしたいと思います。

当研究所の提携医療機関におけるこれまでの臨床研究で比較的腸内フローラ移植の効果が高く、短期間で主治医から寛解の見解を得られた病は、「潰瘍性大腸炎」です。

潰瘍性大腸炎(かいようせいだいちょうえん)は、ひどい下痢と腹痛を伴う大腸の炎症性疾患です。

難病指定されている腸疾患で、潰瘍性大腸炎は安倍首相が退陣された理由として知られています。
同じ腸の症状で、下痢や便秘を繰り返す過敏性腸症候群にも有意な効果が見られています。

また経験則的に見て、乳児から幼稚園児くらいまでの「アトピー」「自閉症」にもおすすめです。

なぜ乳児から幼稚園児かというと、人間の免疫力は17歳頃にピークを迎えるから。
アトピーの場合、17歳から20代前半頃に外から移植を試みても、自分自身の免疫力に跳ね返されてしまう場合が多く、たくさんの回数・長い期間がかかってしまいがちなのです。

そういうわけで、まだ自分の免疫システムができあがっていない6歳頃までのお子さんには特に腸内フローラ移植をおすすめしています。
わたしも小さい時、それはそれはひどいアトピーでした。
でもステロイドしか選択肢がありませんでした。今の子どもたちがうらやましいです。

一見関係ないように思えますが、一部の精神疾患にも効果があると言えそうです。
ただ精神疾患は少し特殊で、腸内フローラ移植によって治る準備は整うけれど、完全に治るには本人の意志と努力も必要なのではないかと、個人的には感じています。

頑張っても頑張っても自分に裏切られて、報われない、うまくいかない状態だったのが、頑張ろうと思えば前よりうまくいくようになる。
でも、他人任せにしていては、精神疾患は良くならないような気もします。

もちろん、病気の種類や個人差はあると思うんですけど。

年齢、病歴と治りやすさ

年齢と治りやすさ

アトピーのところで「乳児や幼稚園児が治りやすい」と書きましたが、これはどの疾患にも言えることです。
あくまでも経験則になりますが、小さいお子さんは移植の効果が早く見られる傾向にあるようです。

人間のからだというのは不思議なもので、長い年月をかけて構築してきた今の状態を保ち続けようとするホメオスタシス(恒常性)という機能が働いています。
つまり、歳を重ねるほど、自分の腸内フローラバランスを変えて症状の改善を目指すことは難しくなってきます。(逆に免疫力が落ちているために変わりやすい場合もあります)

同じ理由で、その症状や疾患にかかっている年数の長さと、移植の効果は相関関係にあります。
病歴が長いほど移植の回数も多く必要で、完治までに時間がかかります。

一方、病気になってまだ間もない患者さんは、短期間・少ない移植回数で完治に向かうことができると認識しています。

わたしが移植を受けたときは26歳でした。
そして最初にうつ状態に陥ってから、5年が経過していました。
この病歴を「短い」と見るのかは難しいところですが、ありがたいことに短期間のうちにフルタイムで働けるほどに回復しました。

しつこいようですが、回数には個人差があります。
これまでの病歴や生活習慣、病気の状態や性格まで、移植効果に影響すると考えています。

厚労省の主導のもと、全国の大学病院で臨床治験が行われているとは言え、まだまだ耳慣れない型破りな治療法だと思います。

でも、でもね。
今病気で苦しんでいる人にとっては、「治ったらなんでもいい」んです。
少なくともわたしはそう思って移植を受けました。

この記事を書いた人

ちひろ
ちひろ研究員(菌作家)
自分の目で見えて、自分の手で触れられるものしか信じてきませんでした。
でも、目には見えないほど小さな微生物たちがこの世界には存在していて、彼らがわたしたちの毎日を守ってくれているのだと知りました。
いくつになっても世界は謎で満ちていて、ふたを開けると次は何が出てくるんだろう、とわくわくしながら暮らしています。
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《特許出願中》
腸内フローラ移植

腸内フローラを整える有効な方法として「腸内フローラ移植(便移植、FMT)」が注目されています。
シンバイオシス研究所では、独自の移植菌液を開発し、移植の奏効率を高めることを目指しています。(特許出願中)