腸内フローラ移植(便移植)の研究開発専門クリニックです。腸内フローラ移植臨床研究会の専属研究機関として、全国の医療機関と連携しています。
FMTクリニック(シンバイオシス研究所)
上記の電話は腸内フローラ移植臨床研究会につながります
受付時間:10:00〜17:00(土日祝除く)

身体に覚えてもらうために、複数回の腸内フローラ移植(便移植)が必要であること

生着率

当研究所の腸内フローラ移植は、基本的に複数回の移植を行います。
少ない人で3回、中には20回、最多で50回を超える移植を行っている患者様もおられます。
寛解後も、安心材料として移植を続けていただいている場合も多くあります。

病気の種類や状態、罹患歴に加え、年齢や生活習慣などによっても必要な回数が異なるため、回数には個人差があります。
他の臓器移植と違って、移植したら「はい、終わり」というわけにはいきません。

前回の記事で触れたとおり、人体の組織そのものの移植ではないためリスクは少ないと考えられる反面、腸内細菌たちが出してくれる有用な物質が身体の働きそのものを正しい方向へ戻してくれるまで、時間がかかるのです。

「それなら、自分の腸内細菌をいったん全部殺してしまってから、ガッツリたっぷり新しい腸内細菌移植菌液を入れれば、早く効果が出るんじゃないの」と思われるかもしれません。

たしかに。
もし「免疫」ってやつがなかったら、そのほうが早いかも。

これも前回の記事で言ったことですが、基本的には移植された菌は、自分の免疫(IgA抗体)の許可がないと腸管内に生着できません。

当研究所の移植菌液は、「村上春樹に作ってもらったオススメの本リスト」にすることで、新しい腸内フローラを身体に覚えてもらっています。(「は? リスト? ってなった方は、前回の記事をお読みください」)

身体に新しい腸内フローラを覚えてもらうことはいいことばかりのようですが、実は生着せずにそのまま体外へ排出されるのに比べると、リスクが上がります。(生着せんかったら、そもそも移植してる意味ないやん、って話なんで)

移植菌液の「覚えてもらいやすさ」が高いゆえに、起こりうること

注意

また前回の記事の例え話を引用して恐縮なんですが、いくら大好きな村上春樹の一押しとは言え、わたしの本棚なんです。
例えばあんまりにもハードボイルドな、自分のアイデンティティが否定されるような本が並んでしまうと、ちょっと落ち着かない気持ちになります。

今まで読んでいた本に戻りたくなるし、なんなら前よりももっと偏屈野郎になって、同じ本ばっかり読むことになってしまうかもしれへん。

本ならいいんですが、これが多様性を良しとする腸内フローラで起こるとちょっとまずいです。
この現象を、わたしたちは「リバウンド」と呼んでいます。

簡単に言うと、もともとの自分の腸内フローラが、「変わるもんか」と抵抗することがあるんです。
人間の持つ恒常性(ホメオスタシス)という大切な機能が、新しい腸内フローラを異物だと認識してしまう可能性がある、ということです。
(ホメオスタシスについては、こちらも参考にしてください:「腸内フローラ移植は、何歳で受けるのが一番いいのかを考える」)

新しく入ってきた腸内フローラバランスと、もともと自分が持っている腸内フローラバランスが、小競り合いをはじめてしまうと、ちょっと厄介です。
一時的に症状が悪化したように感じることもあります。

この「リバウンド」が起こりやすいのは、免疫がよく働いている方です。
つまり、免疫の学校である胸腺の教育が終わる17〜18歳くらいからおおよそ10年くらいは、免疫力は高い状態であり、なかなか簡単には新しいフローラバランスに変わってくれません。

また、疾患別で言うと、免疫が過剰な状態にある「アトピー・アレルギー」や、「潰瘍性大腸炎」「クローン病」などの炎症性腸疾患もリバウンドが起こりやすいと言えます。

リバウンドをなるべく起こさない移植方法

リバウンドをしない

リバウンドは起こらないほうがいいです、もちろん。
覚えてもらいやすい菌液のままで、1回だけの移植でリバウンドも一切起こりません、みたいな夢のような話があったら、「夢やがな」って言う。(大木こだま・ひびきを知らない人はいないという前提で話してます)

ただ、この現象は自分の免疫力が自分の身体を急激な変化から守ろうとしてくれているわけなので、ありがたいことっちゃありがたいことなんです。
ありがた迷惑やけど。(お前には謙虚さを移植してやりたい)

そこで当研究所は、「なるべくリバウンドなく、徐々に自分の身体に新しい腸内フローラバランスを覚えてもらう方法」を採用しています。

一言で言うと、「だんだん濃度を上げる」という話なんですが、
この
・2回目、3回目、それ以降の濃度をどれくらいにするか
・量をどれくらいにするか
・頻度をどれくらいにするか
の按配が難しい。

本当に、難しい。
同じ病気でも人によって違うし、主治医と一緒に経過を見ながら決めています。

リバウンド以外にも、気を付けないといけないことは、「あかん菌の生着」のリスク。
誤ってウイルスや感染症の原因になる細菌を生着させてしまっては大変です。
ここにも、当研究所の菌液は死ぬほど気力とお金と時間をかけます。
検査費って、こんなに高いん……って感じです。

これまで600例以上の移植を行っていますが、重篤な拒絶反応や副作用と思われる例は1件もございませんので、ご安心くださいね。

今後も我々は、ちょっとでも患者さんの負担が少なく、最大の効果が出せるように考えて考えて考え抜いて研究をすすめていきます。
移植をお受けになった/これからお受けいただく皆さんも、移植前後の経過はできるだけ詳しく主治医と共有してください。

お願いします!!!

The following two tabs change content below.
自分の目で見えて、自分の手で触れられるものしか信じてきませんでした。 でも、目には見えないほど小さな微生物たちがこの世界には存在していて、彼らがわたしたちの毎日を守ってくれているのだと知りました。 いくつになっても世界は謎で満ちていて、ふたを開けると次は何が出てくるんだろう、とわくわくしながら暮らしています。 ご挨拶と自己紹介も併せてご覧ください。
腸内フローラ移植(便微生物移植)を知っていますか?
わたしたちの腸に暮らす腸内細菌たちと健康との関連が、世界中で次々に明らかになってきています。 「すべての病気は腸から始まる」と言われるように、腸内環境が崩れると病気を引き起こすことが知られています。
健康な人の腸内フローラを移植することで、ふたたび健康を取り戻そうという治療法に期待が高まっています。
logo
腸内フローラ移植(便微生物移植)とは

移植の流れ・費用

移植が受けられる医療機関

お問合せ・移植相談

コメントを残す