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【自閉症その後】便移植におけるプロトコルや改善までの時間差についての考察

自閉症と腸内細菌

こんにちは。
最近、職場にたどり着くまでに2リットルぐらい汗をかいてしまうので、替えのエアリズムを持参しています。

わたしの汗腺、どうなってんねやろ。
これって、毛穴がきゅっとひきしまってる美しい女性は、汗をかきにくいとかそういうことなんでしょうか。(毛穴開栓状態)

けど、汗を止めてしまうと体に良くないことはわかるんで、制汗剤とか脱毛は一切していません。
電車ん中で、「うわっ! この人くっさ!」って思われてたらどうしよう……まあ、わたしの健康のほうが大事やんな。

さて、前回の記事は、自閉症と腸内フローラ移植は相性がいいらしい。【対象疾患と方法についての考察】でした。

自閉症と腸内フローラ移植は相性がいいらしい。【対象疾患と方法についての考察】

実はこの研究には後日談があって、便移植後に2年間の追跡をした際の報告が今年の4月に出されています。

自閉症と腸内フローラにおける腸内細菌移植療法の長期的効用

自閉症と腸内細菌

研究内容そのものは、前回の記事で確認してくださるとうれしいです。

今回の追跡調査、実はもともと予定されていなかったものだったそうです。
ただ、移植を受けた子の親御さんたちが、「めっちゃ良くなってますよ! え、これ他の人もそういう感じ? なんかじわじわと良くなって来て。」
との声がたくさん寄せられ、研究チームが動いたのだとか。(かなり意訳)

親って、すごい。
ほんまに、すごい。

研究チームと子どもたちの2年ぶりの再会で、「久しぶりやなあ、大っきくなって」とか、「いや、えらい男前なってるやん」っていう会話があったんでしょうか。和みますねえ。

Long-term benefit of Microbiota Transfer Therapy on autism symptoms and gut microbiota

前回の結果は、胃腸症状の指標であるGSRSが80%も改善して、自閉症状も大幅に改善。移植後8週間後まで効果が持続したという内容でした。

研究チームによると、2年後の調査時点で胃腸症状は概ね改善状態が保たれていて、自閉症のほうは驚くほど改善していたんだそうです。

具体的には、例えば自閉症の指標であるChildhood Autism Rating Scale (CARS)。
この指標の改善度が、移植8週間後の時点では23%の改善やったんです。
それが、 2年後には47%になっていた とのこと。

もともと、移植療法の前には、83%の子どもたちが「重度」のASD症状を持っていました。
それが、 2年後には17%が重度、39%が軽度から中程度、残りの44%の子どもたちはカットオフを下回っている、つまり健常化していることがわかりました。 

腸内細菌の多様性も向上し、自閉症の子どもたちに少ないとされている菌たちも増えていました。

もちろん、17%の子どもたちは重度のままです。
この子たち本人、親たちからしたら、「はあ、何喜んでんの? 治ってないねんけど」って感じやと思います。

そもそも、これは医療に限らないことですが、「生き物を数字で語ること」そのものが、傲慢やしナンセンスかもしれない。

でも、自閉症の明確な原因や根本的な治療法がない中で、この成果は素晴らしいんじゃないかと思います。
研究チームは、「プラセボ効果を排除した研究が望まれる」みたいなことを謙虚に書いていますが、個人的には、臨床医がいかにプラセボ効果を最大限に引き出すかに努めながら、どんどん子どもたちを治してほしいなと思っています。

こんなん言ったら怒られそうやけど、医療というものはプラセボ効果ありきであるような気がしています。

口から腸内フローラ移植をするということ

さて、前回の記事で、読者様からコメント欄で以下のような質問をいただきました。
「嫌気性菌を経口摂取した場合、うまいこと腸にまで「生きたまま」届くと考えられるのでしょうか?」

確かに、普通の状態ではほとんど胃酸で死んでしまうと言われています。(ほとんどであって、全部ではない)
ただし、死菌でも役に立つということがわかってからは、プロバイオティクス業界も勢いづいているようです。

2つ前の記事で、カナダの「経口カプセル便移植」の際に、菌が生きたまま腸まで届くのか? という疑問について少し触れました。

便移植における腸内細菌のお届け方法が選べるようになるかもしれん【経口カプセルvs大腸内視鏡】

ここでは、「胃酸で確かに死ぬけど、いっぱい入れたから大丈夫やったんやと思う!」という見解でした。(むっちゃ乱暴に書いてますけど)

今回紹介している自閉症の研究では、胃酸抑制剤を飲んでから経口移植しています。
これも、胃酸でのロスを少なくするためと考えられます。

ただ、繰り返しになりますが、口から入ってくる感染源から体を守るために胃酸のpHが低いわけです。(空腹時1.0〜2.0、食事後3.0〜4.0と言われる)
それやのに、胃酸を抑えてしまうことで、自分を危険にさらしてしまう可能性も否めないと思いません?
最近、何でもかんでも胃薬(胃酸の分泌を促すタイプも、抑制するタイプもあるんですが)を出しすぎて、腸まで届いたらあかん口腔内細菌が届くことで、何らかの炎症が起こっている可能性まで指摘されています。

疾患ごとに理想的なプロトコルがあるのか

FMTプロトコルにもいろいろあることは前回も触れましたが、今回のFMTに特徴的な点を挙げてみましょう。

  1. 2週間の抗生剤事前服用(バンコマイシン)
  2. 胃酸抑制剤の使用
  3. 腸管洗浄剤の使用
  4. 複数回にわたる移植(経口と直腸経由)

腸内フローラ移植とか、便移植とか、FMTとか、いろいろな言い方してすいません。
世界でも言い方定まってなくて、こっちも悩むんです。

これ、どの疾患にも理想的な方法というわけではなさそうです。
例えば、クロストリジウム・ディフィシル感染症の場合、胃酸抑制剤が症状を悪化させるということが知られていて、カナダの研究でも胃酸抑制剤を避けていました。

腸管洗浄剤は、MOVIPREPという日本でも使用されているものを使用しています。
今回の研究チームがどのような意図で腸管洗浄剤を使用したのかは不明ですが(患者さんの腸内細菌を減らしておこうと思った?)、下記の国立がん研究センターの報告から、腸管洗浄剤で腸内フローラは変わらないことが示されています。

大腸内視鏡検査により腸内細菌叢は変動しないことを確認

この記事は、大腸内視鏡検査前の腸管洗浄剤服用におけるデメリットはないことを示そうという意図があるようですね。

そして、腸内細菌はわたしたちヒトと違って、世代交代が早く、またたく間に増殖できることはご存知のとおり。
毎日のように出るうんちには、毎回1兆個近くの細菌が含まれています。

あ、でもドナーの便量を見ていると、わたしの便量多いみたいやしな……計算しないでくださいね。
わたしのように大食いやと、うんちの量が増えます。(当たり前や)

このように、疾患やその進行具合、患者さんの年齢などによっても、プロトコルは柔軟に変えたほうがよさそうですね。
弊所の提携医療機関では、菌液の作り方と送達ルートだけは同じですが、その他は厳密なプロトコルは定めていません。

臨床研究会は、「臨床医が中心となって」と書いてはいるものの、それが本当に意味するところは「患者さんが中心となって」ということです。
わたしたちが見逃していることがあるかもしれません。
もし、海外の論文などで、「この疾患にはこの方法がいいのでは。ぜひやってみてほしい」などがあれば、一度問い合わせてみてください。

うちであれば、実現率は高いと思います。
保証はできませんが。。。(ごめんなさい)

移植をしてから効果が出るまでに時間差がある?

今回、移植をしてから2年という長い期間を経て、症状が劇的に改善していました。
これは偶然の発見でしたが、通常であればこのように治療効果のタイムラグがあることは珍しいそうです。

治験などで何年も経過観察をするのは、「後から悪影響がないか」を中心にみています。
そんなんしてくれるなら、「人工甘味料が長期的に人体に及ぼす影響」とかもちゃんと調べてほしいものですね、金儲け主義のブタが!!!(なんかあったん)

ブタ、ごめん。

ちょっと話が逸れてすいません。

実は、腸内フローラ移植臨床研究会の患者さんでも、数ヶ月のタイムラグがあってから症状が劇的に改善した症例がありました。
この症例は、他の要素のおかげで改善した可能性があるので、どうかな〜と言っていたのですが、腸内フローラ移植では普通にそういうことがあるんですね。

気になる方は、研究会第3回総会(2019年9月23日開催)に足をお運びください。
一般の方のご参加も歓迎です。

●「腸内フローラ移植後4か月経過して改善を認めたアトピー性皮膚炎の症例」
ルークス芦屋クリニック 院長 城谷昌彦先生

という発表内容で、他にもいろいろ盛りだくさんです。
それに何よりも、わたしに会えます。(その自信を見習いたい)

もちろん、すぐに変化が見られる患者様もいらっしゃいます。

なぜ、腸内フローラ移植は治療からタイムラグがある場合があるのか?

その理由は、2つあると思っています。

 1つめは、対症療法的に作られた薬ではないこと。  薬は、よくできているなあと思うんですが、症状が起こっているところに直接アプローチします。
一方で、腸内フローラを整えることは、どちらかというと統合医療に近い考え方をします。

これが、腸内フローラ移植がなかなか今の西洋的な医療に受け入れられない理由なのかもしれませんが……

 2つめは、腸内細菌は「最初の鍵」であることが多いこと。  つまり、体やこころがすべてつながっているという考え方に立つならば、表面的な症状にたどり着くまでにいくつもの鍵を開け、回路の切り替えをしないといけないはずです。

たとえば、「娘としゃべれない」って症状があるとします。

なんでか?
おもんないって言われたし、口クサいって言われたから。(お父さん……!!!)

なんで口クサいのか?
加齢に伴う抗えない現象や、親子は遺伝学的にクサく感じる仕組みになっているとか、お父さんが2日に1回しか歯を磨かないとか。

このように、因数分解していくといろいろ原因が見えてくるわけです。風が吹けば桶屋が儲かる的な感じで。
じゃあもしかしたら、毎日朝晩歯を磨くようになれば、口臭もなくなり、案外娘が話をしてくれるようになるかもしれません。
口臭が消えるまで2年くらいかかるかもしれんけど。

ここで言う、「歯磨き」が「腸内フローラ移植」ではないかとわたしは考えます。
それだけが原因ではないかもしれないけれど、そこを変えることで、他の原因も解決していくかもしれない。
最終的に、娘と仲良くなれるかも。

ちなみにわたしは、お父さんとめちゃくちゃ仲良しです。

書いてみると、理由は2つではなく同じ1つに集約されましたね。

このあたり、心理学はわりと早い段階で気づいていたようですが、肉体を触る界隈の医療では、まだまだメジャーな考え方ではなさそうです。
前にこんな記事も書きました。
腸内細菌とわたしたちはひとつであり、統合医療は物語である

それでは今日は、このへんで。

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自分の目で見えて、自分の手で触れられるものしか信じてきませんでした。 でも、目には見えないほど小さな微生物たちがこの世界には存在していて、彼らがわたしたちの毎日を守ってくれているのだと知りました。 いくつになっても世界は謎で満ちていて、ふたを開けると次は何が出てくるんだろう、とわくわくしながら暮らしています。
腸内フローラ移植(便微生物移植)を知っていますか?
わたしたちの腸に暮らす腸内細菌たちと健康との関連が、世界中で次々に明らかになってきています。 「すべての病気は腸から始まる」と言われるように、腸内環境が崩れると病気を引き起こすことが知られています。
健康な人の腸内フローラを移植することで、ふたたび健康を取り戻そうという治療法に期待が高まっています。
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