1982年から続けてきた細菌の基礎研究や医療機関における臨床を経て、独自の腸内フローラ移植(便移植)方法を開発しました。微生物たちとの共存共栄には、無限の可能性があると信じています。
シンバイオシス -腸内細菌たちの研究所-
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あなたのうんちが誰かの役に立つ。腸内フローラ移植のドナーについての考え方。

うんち

ドナドナドーナードーナー。
こうしをのーせーてー。

小学校のとき、絶対歌う曲。
わたしは声が低いので、絶対下のパートでした。

ドナドナドーナードーナー。(文字では伝わらんけど、平坦な感じ)

この歌、実はユダヤ人迫害の歴史と深く関連しているという説があるそうです。
最近読んだ本が、『アンネの日記/アンネ・フランク』、『悪童日記/アゴタ・クリストフ』、『騎士団長殺し/村上春樹』と、ことごとくユダヤ人やナチス・ドイツに関連することで、この歴史的事実に自分の人生における重要な示唆が含まれているのではないかと感じています。
目を背けたくなるような内容ですけど。

ドナドナドーナードーナー。
を小学校で歌っているときは、「牛を市場に売るのに、なんでこんな陰気臭いねん」と思っていましたが、大人の世界は日常生活のあらゆるところに「比喩」を紛れ込ませているんですね。
複雑な世の中です。

というわけで今日は、前回の記事に引き続きドナーのお話です。(「ドナー」のひと言を言うのに、えらい回り道したな)

以前、こんな記事を書きました。

腸内フローラ移植(便移植)で使う便のドナーはどんな人か?

この記事では、以下のようなことを紹介しました。

  • 一般的な方法におけるドナー
  • 「腸内細菌たちの研究所」のフローラバンク
  • ドナーの選定基準

一般的な腸内フローラ移植のドナーの考え方や、当研究所のドナーの考え方はおわかりいただけたかと思うのですが、今日はもう少し突っ込んでお話してみたいと思います。
もうこの記事を書いて半年経ったわけで、わたしたちのドナーへの考え方もちょっと変わってきています。

「二親等以内ではなく、まったく環境の違う健康な第三者の便がいい」ということですが、「第三者」ってめちゃめちゃ漠然としてますもんね。
健康っていうのも、定義が曖昧やったりしますし。

人類みな兄弟、っていう考え方もあるし。(そういえば、近所に「人類みな麺類」っていう有名なラーメン屋さんがあるらしい)

腸内フローラ移植におけるドナーバンクの必要性が徐々に認識されつつある中で、理想のドナーについてもう少し掘り下げた、最新の見解を書いてみます。

ドナーは基本的に誰でもなれるのではないか

便移植ドナー

さらっと書きましたが、これめちゃくちゃ重要、かつ最先端の研究見解らしいですよ!
テストに出ますよ!

二親等以内のドナーは、遺伝子情報や生活環境が似通っているため、フローラバランスも似たものである可能性があります。
当然ながらその場合、生着率云々の問題以前に、同じようなフローラバランスを移植しているわけですから、劇的にフローラバランスが変わることは考えにくいわけです。

「お父さんと似てるフローラバランスとか、さいあく! むり! きもい!」などと思われた女子高生のみなさん、あなたの身体の半分はお父さんからもらったものです。
フローラバランスを変えたければ、もっとストレスを抱えて生きましょう。
ストレスはフローラバランスが崩れる一番の要因です。

そこで、当研究所のフローラバンクでは、「第三者の健康な方の便」を移植菌液に採用しています。

ストレス耐性や食生活の観点から、アスリートの便を多く採用してきましたが、近頃「それはそれで偏っているのではないか」という方針に切り替わってきました。

わかりやすく言うと、こういう感じです。

免疫が過剰な状態になっているアトピーの子どもに最適であろうと思われるドナー
  • 60歳を超えてもお肌ぷりぷり
  • 好き嫌いなくなんでも美味しくいただきます
  • 多少ホコリっぽいところでも咳ひとつ出ないし、風邪なんてここ40年ひいたことないですわ
神経質で弱気、お腹の弱い系の男性に最適であろうと思われるドナー
  • 「え、ごめん。忘れてた! アハハハ」が日に5回
  • 「私、実はこう見えて結構繊細なのよ」と自己申告する人
  • 好物は、肉とチーズと美味しいパン。でも玄米と納豆と漬物も好き。てゆうか、なんでも大好き!

これをもっと生化学的に、もちろんフローラバランスも加味しながら行いますが、ドナー選定として上記のような基準はあながち間違ってはいないと考えています。

ドナーになるためには、「健康である」という前提条件が必須なのは言うまでもないことです。
ちなみに当研究所では、登録しているすべてのドナーを対象に、フローラバランスのチェックはもちろん、73項目の血液検査も行っています。

これにより、一般的な健康状態に加えて、感染症や悪性腫瘍の可能性を取り除きます。

以下の記事で、外国人のドナーが難しいというお話をしました。

腸内フローラ移植(便移植)のドナーに国籍は関係あるのだろうか?

これらを総合して、同じ国に住んでいる期間が長ければ原則として誰でもドナーになれる、というのが今の時点での考えです。

ただし、特定の個人に対して誰でもドナーになれるというわけではありません。
どんな方のフローラバランスでも、きっと誰かの役には立てるということです。

これ、めちゃくちゃ素晴らしくない?
万人にとっての絶対的な理想のドナーが存在するという考え方よりも、誰かが誰かの役に立つという考え方。
多様性に満ちた地球に生まれたことに感謝したくなりますね。

ちなみに、近々ボランティアドナーバンクの設立も予定していますので、「毎朝出るし、うんちあげるわ」という方はぜひご一報を。

ドナーという意味合いにおいて、腸内フローラ移植が優れているところ

ドナー

腸内フローラ移植は、他の移植や投薬治療と違い、優れた点がいくつかあると思っています。

まあ、「誰かのうんちをおしりから入れる」という治療を大真面目に研究している時点で、この窮屈な現代社会における希望の光であることは間違いないんですけど。(言いたいことも言えないこんな世の中じゃ POISON)

ドナーにとっても、患者にとっても負担が少ない

これが何より最高。
ドナーは、特別な手術も何もいらない。

いつも通り、うんちするだけ。(採便をしてもらわないといけないので、いつも通りというわけにはいかないかも)
ぶりぶりっと出していただいたあなたのうんちが、誰かを救うのです。

患者様に移植する際も、基本的には肉体的苦痛の少ない「カテーテルによる注腸方式」で移植を行います。
けたたましい痔とかでない限り、ほんとうに痛みなく、短時間で終わります。
(弱い麻酔のゼリーを塗るので、痔でも大丈夫な場合がほとんど)

今の医療全般に言えることですが、「治るための肉体的代償」みたいなものが大きすぎる治療が多い気がします。

「良薬口に苦し」と言ってしまえばそれまでなんですが、ただでさえ病気でしんどいのに、さらに治療でしんどいとか、もう踏んだり蹴ったり。

同じドナーを何回でも使える

これもいい点ですよねぇ。
臓器移植などと違って、うんちは毎日のようにフレッシュなものが出てくれます。

ドナーのフローラバランスが大きく崩れたり、病気になってしまわない限り、同じドナーの便を何回でも使えます。

死んで天国行きか地獄かが決まる時に、「君のうんちで500人のうつ病患者が治ったから、天国にしてあげる」とかいう流れになるかもしれへん。

患者様が将来のドナーになるかも

腸内フローラ移植で患者様のフローラバランスが改善するということは、患者様が将来のドナーになってくださる可能性もあるわけです。
これって素晴らしすぎませんか?

以前、すごく良くしてくださった方に恩返しがしたい、と言ったときにこんな言葉をいただいたことがあります。

「返してもらおうと思って良くしたんじゃない。次の人に恩を送りなさい」

めっちゃいい人。
この人も天国行き確定。(そう次々に殺しなさんな)

医療現場では、高機能な機械を駆使した手術や、莫大な投資をして成分を開発した薬がしばしば使われます。
でも、健康ってもっとシンプルなものなのかもしれない。

正しい食事、睡眠、運動、それから感謝の気持ち。
そのバランスが崩れて健康を損なったら、だれかのうんちが助けてくれる。

こんなふうに、うんちを通して人々が支え合える世界になるといいなと思います。

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自分の目で見えて、自分の手で触れられるものしか信じてきませんでした。 でも、目には見えないほど小さな微生物たちがこの世界には存在していて、彼らがわたしたちの毎日を守ってくれているのだと知りました。 いくつになっても世界は謎で満ちていて、ふたを開けると次は何が出てくるんだろう、とわくわくしながら暮らしています。 ご挨拶と自己紹介も併せてご覧ください。
Comments (2)
  1. 匿名 より:

    いつも大事なことを笑いを交えて書いてくれてありがとう神経質で押しの弱い、しかも人の意見に振り回されるがちなある管理職の男性から、僕のドナーになってくれーと❣️そういうことだったんですねえ。

    1. ちひろ より:

      そういうことです!
      足りないところをうんちで補えあえる時代が来たらいいのに、と思います。

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