ウンコが出るとなぜあんなにも気持ちいいのか

ちひろです。

切れ目のない、とてつもなく長いウンコが出ました。
最高の気分です。

ながーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーい

一本の、

今日のウンコー。

と思わずTwitterでつぶやいたほどです。(京都銀行に怒られるやつや)
写真が載せられなかったのが無念。(Twitterにも怒られるやつや)

さて、今日はエビデンスもなんにもない話をします。
菌職人の清水さんと排便の気持ちよさについて語り合ったとき、嘘かほんとか知りませんが教えてもらった話です。
研究員の小噺としてお聞きください。

ウンコ後の快感は腸内細菌の置き土産

よいウンコ体験というのは、どういう体験でしょうか。

たくさん出ること、
適度な硬さであること、
残便感がなくスポンっと出ること、
午前中に出ること。

人によってそれぞれかと思います。

わたしは上の全部を満たしてほしい派ですが、逆に一日出なくてモヤモヤして、翌日めっちゃ出たときは幸せも2倍ですよね。(何の話や)

夏のウンコは、スイカとトマトの影響でやや赤みを帯びます。(なあ、もうウンコの話やめへん?)

ウンコの話をやめるということは、このブログを閉鎖するということになりますよ!(たしかに)

さて、実は「ウンコの快感」には腸内細菌の置き土産が含まれているんですって。
活躍してくれていた菌たちを送り出すのはちょっぴり寂しい気もしますが、彼らの置き土産がぽっかり空いた胸の穴を埋めてくれるかもしれません。

世代交代を人間に教えるために○○を出す

まず、腸内細菌は何のために置き土産をしていくのでしょうか。

それは、「我々ここで一旦、世代交代終わりましたよ〜」と宿主である人間に教えてくれるためです。
世代交代が終わったと言っても、ウンコに含まれる菌たちは決して役に立たなくなったわけではありません。

ウンコの中でもしっかり生きているし、だからこそFMTにとってありがたい存在になるわけです。
彼らは健康な腸の中で自然にどんどん増殖しますが、それだと腸がパンパンになってしまうので、定期的にウンコとして出ていって循環しているだけなんです。

いつまでも引退せずに、旧態依然とした既得権益にしがみつくどっかの爺さんたちに見習ってほしいですね。

では、世代交代をしたというメッセージの正体は何なんでしょうか? それは人間にとってどんな意味があるんでしょうか?

実は、メッセージの正体はみなさんもよくご存知の短鎖脂肪酸です。
酢酸、酪酸、プロピオン酸に代表され、今や腸内フローラ界で大人気の物質と言ってもいいでしょう。
もうすぐ乳酸菌をしのぐ可能性すらあると個人的には思います。

粘液バリア強化指示

短鎖脂肪酸には、「さあ、また今から粘液層を厚くして、外敵から身を守る準備を始めてください」という意味があります。

ウンコは、大腸の蠕動運動やヌメヌメの腸粘液層の働きによって外に出されます。
それが終わると、腸管内は一気に免疫強化モードに突入します。

腸の免疫機構には、菌たちそのものの存在の他に、粘液バリアと呼ばれる物理的・化学的バリアも存在します。(参考:四段構えで身体を守ったり保ったり【腸と免疫シリーズ3】

この粘液バリアを厚くするための指示は、腸内細菌の置き土産である短鎖脂肪酸が担ってくれています。

腸内細菌が炭水化物や食物繊維を異化することにより産生される酪酸,プロピオン酸,乳酸などの短鎖脂肪酸は,生体のエネルギー源として利用されるのみならず,腸管上皮細胞の増殖を促進し杯細胞からの粘液の産生を亢進させるといった粘膜バリアの維持にも重要である。

腸管上皮細胞と腸内細菌との相互作用 : ライフサイエンス 領域融合レビュー

このほか、同じく菌たちの代謝産物であるインドールも似たような働きをしてくれています。[1]Commensal bacteria-dependent indole production enhances epithelial barrier function in the colon – PubMed

粘液バリアが薄くなる状態は「腸の透過性が上がる」と表現され、いわゆるリーキーガットをはじめとする全身の炎症を引き起こします。(最悪の場合、血液に細菌が紛れ込んでしまう菌血症になる)

水分再吸収指示

大腸は、小腸などの消化管で吸収しきれなかった水分を再吸収する役割があります。
なんでわざわざ再吸収するのでしょうか。
また新しく水を飲めばいいのではないでしょうか。(マリー・アントワネットもびっくりの恵まれた境遇)

大腸に届いた時点で水分が少なすぎると、食物繊維や腸内細菌、その他老廃物などを含んだ「ウンコの源」が大腸内をスムーズに移動できません。

かと言ってそのまま出てしまうと、水のような便になってしまいます。

そこで大腸は水分を適度に吸収しながら「ウンコの源」を肛門まで運び、そのあいだに腸内細菌たちが出した短鎖脂肪酸、ミネラル、ビタミンなどを一緒に吸収していると考えられます。

肛門に尿道なし

これは©清水真です。
はじめて聞いたとき、笑いすぎて腹筋崩壊した。

ここでちょっとだけ話が脱線することをお許しください。

おしっこしたあとも、気持ちよくないですか?
特に、ちょっと膀胱が痛くなるくらい我慢せなあかんかったあとの排尿なんて、鳥肌もんです。

おしっこの場合は、腸内細菌における短鎖脂肪酸のようになんからのメッセージがあるんでしょうか?

清水さんに言わせると「肛門に尿道なし」ということになるそうです。(ちょっと意味不明やけど)

つまり、菌不在の膀胱や尿道においては、大腸での排便のようなメッセージのやり取りは行われていないようです。
腎臓や膀胱によるおしっこの生成は単純な仕組みで、排尿すると体温が奪われるので、ブルッと震えるそうです。(あれ気持ちいい)

そして排尿を合図にまた原尿を作り出します。
夏にたくさん汗をかくのと同じで、排尿は体温調節に一役買っているんですね。

腸内細菌は、人間とはそもそも違う生き物です。
そのため、出ていくときにもっと複雑なメッセージ(短鎖脂肪酸)を残すというわけ。

気持ちいい排便が妨げられるとどうなるか

気持ちのいいウンコは、精神状態を安定させます。
一日の活力も湧くし、身体も軽やかになります。

毎日当たり前に出ている人にはなかなか実感しにくいかもしれませんが、便秘や下痢を体験するとそれがよくわかります。

例えば便秘の場合。

前にも書きましたが、腸内細菌たちは終止コドンを持っているので、それが発動するとそれ以上増殖しなくなります。(参考:便秘の人の腸がうんこで爆発しない理由を考えた

活発に腸内細菌が代謝や発酵をしないと、当然のごとく代謝産物である短鎖脂肪酸なども減ってくるはずですが、大腸はせっせと水分を再吸収し続けます。
大腸は大腸なりに、便秘でも大腸が爆発しないようにウンコの体積を小さくしないといけないので。

それで最終的に数日に一度、お尻の穴を痛めながらコロッコロのウンコをする羽目になったり、
下剤を飲んで無理にでも出す羽目になるんです。

例えば下痢の場合。

病原菌を外に出すなどの理由以外の下痢の場合は、本来のタイミングではないタイミングで排便をしていることになります。

その場合、腸内細菌が代謝を行う暇もなく、大腸が水分や代謝産物を吸収する暇もなく、便が出ていってしまっていると思われます。

便秘にしろ下痢にしろ、まったく腸内細菌の置き土産を受け取れていないと言うつもりはありません。
菌たちは優しいので、どんな状況でも宿主にとって「ベストではないかもしれないけれど、そのときのベター」な方向へ持っていってくれています。

ただ、気持ちのいい排便体験ができないと、腸内細菌たちのバトンリレーを満喫できていないのかもしれません。

便秘や下痢を自分の努力で治すというのはなかなか難しいかもしれませんが、
食事や睡眠、日々のストレス管理に少し気をつけることで改善することもあります。状況が許す限り、日々のウンコの優先順位を少し上げる暮らしをしてみませんか?

この記事を書いた人

ちひろ
ちひろ研究員・広報(菌作家)
自分の目で見えて、自分の手で触れられるものしか信じてきませんでした。
でも、目には見えないほど小さな微生物たちがこの世界には存在していて、彼らがわたしたちの毎日を守ってくれているのだと知りました。
目に見えないものたちの力を感じる日々です。
いくつになっても世界は謎で満ちていて、ふたを開けると次は何が出てくるんだろう、とわくわくしながら暮らしています。
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