生きづらさから見る発達障害と繊細さと天才の境界線

発達障害というと、どんな状態を想像しますか?
知恵遅れなんて言われた時代もあったようですが、頭が悪いという認識を持たれる方は、さすがに最近は少なくなっているのではないでしょうか。

話をしていて目が合わない、言葉が通じない、行動パターンが同じ、感情表現に乏しい、繊細すぎる、注意力が散漫、集中力がなかったり集中しすぎて疲れたり…
実は発達障害の特徴は、全部の色のペンキをぶちまけたみたいに多彩で、とてもここには書ききれません。
一人として同じ特徴の方はいないとさえ言われるほど。

これらの特徴をまったく持ち合わせないヒト科の生命体はたぶんいないと思われる。
つまり、発達障害であるか否かの境界線は、国境のようにはっきりとはしていなくて、グラデーションのようになっていると考えるのがいいのでしょう。

わたしは発達障害や精神科分野の専門家ではありませんが、自分が「なんでただ生きるだけでこんなに必死になって苦しまねばならないんや」と思い悩み、死ぬ以外の解決策が見つからなかった時期があるので書いてみます。

発達障害が表に顔を出すとき

発達障害と言っても、前述のとおりその特徴は挙げればきりがありません。
現代になって社会の心が狭くなるのに伴って、その診断数は増え続けています。(生活習慣の変化や遺伝変異の要素もあるでしょうけど)

現時点で一般的には、主だった特徴別に下記のような分類がされています。1)発達障害を理解する:発達障害とは – 発達障害情報・支援センター

  • 自閉症スペクトラム・アスペルガー症候群・広汎性発達障害(ASD)
  • 注意欠如・多動症(ADHD)
  • 限局性学習症(SLD)、学習障害(LD)、発達性協調運動障害(DCD)

ちなみに精神発達関連分野の症状・障害の分類は日々アップデートされていて、さらには学者によって分類や意見がまちまちであることも多く、専門的な診断をできる人も限られています。

以下にそれぞれの特徴と困りごとをざくっとまとめてみます。

●自閉症スペクトラム・アスペルガー症候群・広汎性発達障害(ASD)

一人大好き系人間。

・めちゃくちゃ集中力がある
・特定の分野で他人の1000倍くらい賢い
・空気読んで上司にゴマすったりしない
・女子会的な意味のない会話に時間を浪費しない

などの素晴らしい特徴を備えておられます。2)自閉スペクトラム症の子どもの特性 | すまいるナビゲーター | 大塚製薬

このカテゴリの人たちを、わたしは尊敬をこめて「天才」と呼んでいます。
わたしはASDグレーゾーンと医師に言われたことがありますので、天才のグレーゾーンですね。微妙やな…

困りごととしてはこんな感じでしょうか。

・相手の気持ちを読み取れない
・急な予定変更が無理
・世間話が苦手で「はみ子」にされがち
・世界がうるさすぎるし、まぶしすぎるし、くさすぎるし、何もかも味が濃すぎる! と怒りたくなる

主に他人に合わせて行動しないといけない場面で困った立場に立たされてしまうことがあります。

●注意欠如・多動症(ADHD)

あれもしたい、これもしたい、もっとしたいもっともっとしたい系人間。(byブルーハーツ)

・ある意味勇気があるとも言えるエイヤー的な行動
・こちらが話題を振らなくても永遠に勝手に喋ってくれる
・こまめに動くので運動不足知らず
・大事な会議中でも安眠可能

など、こちらも素晴らしい特徴をお持ちです。3)子どもの発達障害 「注意欠如・多動症(ADHD)」とは?症状など徹底解説 | NHK健康チャンネル4)大人の発達障害 : 発達障害とは – 株式会社Kaien

外向的な方が多いイメージで、わたしとしてはうらやましいなーと思ったり。
ちょっと待てよ。
わたしの母、チェックリスト16個全部チェックつくやん…

困りごととしてはこんな感じでしょうか。

・いろいろ中途半端になってしまって成果につながりにくい
・よく忘れ物やなくし物をする
・常に締め切りぎりぎり。待ち合わせぎりぎり。しばしばアウト。
・人の話を遮ってでも自分の話をする

母と喋っているとき、話を聞いてもらっているつもりやったのに、いつの間にか毎回話題を持っていかれるんですがこれが原因か。
そう思うと腹も立たんな。

●限局性学習症(SLD)、学習障害(LD)、発達性協調運動障害(DCD)

文科省の学習指導要領には従いたくない系。
知的発達の遅れはないものの「聞く」「話す」「読む」「書く」「計算・推論する」能力に困難が生じる状態です。5)大人の学習障害(LD)とは?主な3つの症状と発症の原因について解説します | LITALICO仕事ナビ

・学校の枠になんてはまらないぜー!
・声帯を使って凡人と話すのではなく、精神を使って天と話すのだ。
・文字にしてしまった時点で、それは真実性を失ってしまうのだ。
・世の中に数字と論理を使って説明できることがいったいどれだけあるというのだね、え?

などなど、実はもっとも哲学的で尊い存在ではないかと個人的には思っています。

発達障害はとにかく生きづらい

社会の心の狭さと、発達障害の方の生きづらさは比例します。
それは、発達障害というのがいい意味でも悪い意味でも凸凹だからです。
誰にも負けない得意分野がある一方で、全体のバランスがちょっと歪みがち。
大学受験でセンター試験7科目の総合点では合格できへんけど、英語の1科目だけやったら私大の奨学生で入れた! みたいな感じやな。

これからは総合点の高い商社的な人が成功するのではない、特定の分野に秀でた個人の専門家(職人・研究者)が報われる時代だとも言われていますが、まだまだ世界が変わるには時間がかかるでしょう。
世界の変化にも、ホメオスタシスが働いているのでね。

発達障害は天才とほぼ同義だと思っているのですが、現時点では広義な意味での発達障害に分類される方々をわたしはこう呼びたい。

次世代の主人公。

世界のほうが変わるのを、僕たちはただ待てばいいじゃない。
これは、最近わたしが好きな歌です。

大人の発達障害ってやつが増えている

最近ものすごく増えています。ANY TIME FITNESS並に増えています。
大人の発達障害。

これはどういうことかというと、特徴や困りごととしては子どものそれと変わらないんですが、
大人の社会のストライクゾーンが狭すぎるために、発達障害のゾーンに入る人がぐんと増える現象。

学生時代は「子どもらしい」とか「負けず嫌い」とか「変人」とかで済んでいたのに、サラリーマンがうまくこなせない。
「博士」っていうあだ名やった天才くんも、自分に合わない進路に進んでしまうと大人の発達障害になってしまう。

大人の発達障害は子どもの頃の発達障害と同じで、「生活に支障があるかどうか」で診断名が下るかどうかが決まります。
これが普通の病気と違うところ。

客観的に明確な基準があるというよりも、周りの環境がその人の特徴(特性とも言う)を受け入れる器があるか否かで、診断名の有無が決まるとも言えますよね。
理解者が周りに少ないなら、せめて診断名をつけて公的な支援が受けられるようにしようという、社会からの罪の償い的な何かなんでしょうか。

家族の受け入れ力が高かったり、起業とか芸術方面で自分なりの居場所を見つけられた人は、むしろ人生の成功者、勝ち組と称されているケースも多いんですこれが。

生きづらさという点で似た特徴を持つ「HSP」「内向型」「アダルトチルドレン」

「HSP」「内向型」「アダルトチルドレン」という人類分類カテゴリーも存在します。

どれも病気ではないんですけど。
「エー、あたし占い師タイプだったー」みたいな、カテゴリー分けが好きな人々が考え出した分類なのかもしれませんが、この概念の広まりによってわたしは結構助けられています。

「HSP(Highly sensitive person)」というのは、ざっくりいうと繊細な人ということです。
疲れやすいくせに完璧主義でやりすぎる、人付き合いが苦手、自己評価低めというちょっとメンドぅーな性質ですが、良いところもいっぱいあります。
自分のHSP度を測れるサイト(HSP診断テスト – 選ぶだけの簡単セルフチェック)で、-52〜140の幅のうち137を叩き出しました。
うーん、わたしって繊細。

ちょっと似たような概念でちょっと違う「内向型」という分類分けも存在します。
発達障害やHSPと同じく、明確な境界線というよりも「どちらかというと」的な感じで分類されます。
そういう意味では血液型とはぜんぜん違う。(あなたはどちらかというとB型Rhマイナスです、とか言われたら困らん?)
スーザン・ケインさんの『内向型人間の時代』を読んだとき、どれだけ救われたか。

「アダルトチルドレン」はその人の本来の性質に発端しているという意味ではちょっと概念がずれてくるんですが、背後に発達障害が隠れていることも多いんだとか。
幼少期に十分な愛情を受けられないまま、自尊心がうまく育たずに心身に影響が及んでくるアダルトチルドレン。愛着障害と呼ぶこともあるそうです。
愛着は知的な発達にも影響を及ぼして、親や周りの人々に自分のできないことばかりを指摘されたり、怒られることでさらに自尊心を失ってしまうケースもよくあるらしい。

なぜ発達障害という枠に収まらなくてはならないのか

ここまで見てきたように、発達障害は病気ではありません。生活に支障さえなければ、障害ですらない。
「発達障害は個性だ」という大層なものでもなく、ヒトとしての幅の広さを体で表現しているだけだとも言えます。

共通しているのは、社会が押し付けてくる「ちょうどよさ」が欠けていることくらいでしょうか。
散々悩んできたわたしがいま思うのは、「なんで発達障害っていう枠に収まらなあかんねん」ということ。

嫌なもんは嫌やし、苦手なもんは苦手やし、うるさいもんはうるさい。
2時間で終わる仕事を8時間かけてやる意味もわからんし、
失礼なことを含めて本音で話をしないから、誤解とか生まれるんちゃうんって思う。
わたしはお金が数えられないんですが、経理が好きな人がやってくれたら良いと思う。その代わりにその人が苦手なことするし。

いろんな人間がいて、いろんな職業があるって、そういうことじゃないん?
ビジネスマナーとか、就業規則とか、わたしの能力発揮には逆効果すぎる。

できないことが多いから自分は発達障害なんやって思ってふさぎ込んでしまう前に、
他人よりも秀でていることを誇りに思って生きていきたい。

わたしはグレーゾーンではあるけれど、ここにたどり着くまで、家族(母と妹)による絶大なサポートと、清水さんという上司による褒めて育ててくれる環境がものすごく助けてくれました。

診断名がつくメリットとデメリット

発達障害を発達障害と呼ぶことを全面的に否定する気はないです。
少なくとも今の世の中では、精神的にも経済的にも、診断名のあるほうが本人と家族が楽になることもあると思う。

わたし自身、発達障害や、HSP・内向型などの人の特徴を表す概念に出会えたことで、これまで周りに教えられてきた&自分で勝手に形成してきた「○○ねばならない」の鎖が外れた感じがあって、すごく楽になりました。
あと、自分が悪いわけではなくて、もともとこういう性質なんやって思えたし。

ただ、診断名の枠の中に逃げてしまうのはちょっともったいない気もします。
だって天才なんですよ、我々。
こんな世の中ですけど、まあまあいいところもあるし、それをもっと良くできる能力を有する我々の可能性を潰してしまうことにもなりかねないのではないでしょうか。

発達障害は治さなくて良い世界になってほしい

繰り返し述べているように、発達障害の診断は「生活に支障が出るかどうか」で決まります。
つまり、世界の器がでかくなれば、発達障害なんていう診断名は消え去り、得意分野を持つ人々は世界の主人公になれます。

当の本人たちはそんなことに興味がないかもしれませんが、せめて彼らがもっと生きやすい世界を作っていきたい。

そうそう、ちょっと予告です。
現在、自閉症スペクトラムのお子さんを対象とした腸内フローラ移植の臨床試験を計画中です。
先ごろ、腸内フローラ移植臨床研究会で、このためのチームが結成されました。
いくら天才とはいえ、世間の荒波を渡っていく子どもたちに、もう少し世間と折り合いをつけられる能力を身に着けてもらいたい。
そう願う親心は、痛いくらい感じています。

近く情報公開できるかと思いますので、お楽しみに。

この記事を書いた人

ちひろ
ちひろ研究員(菌作家)
自分の目で見えて、自分の手で触れられるものしか信じてきませんでした。
でも、目には見えないほど小さな微生物たちがこの世界には存在していて、彼らがわたしたちの毎日を守ってくれているのだと知りました。
いくつになっても世界は謎で満ちていて、ふたを開けると次は何が出てくるんだろう、とわくわくしながら暮らしています。
個人ブログ→千のえんぴつ
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《特許出願中》
腸内フローラ移植

腸内フローラを整える有効な方法として「腸内フローラ移植(便移植、FMT)」が注目されています。
シンバイオシス研究所では、独自の移植菌液を開発し、移植の奏効率を高めることを目指しています。(特許出願中)

References   [ + ]